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足元を見よ CRM を経営に活かすために 分析診断システム に学ぶ やずや式(後)

 通販は、今売上が伸びているからとはいえずっと続くかといえば「そうではない」。「長くやっていく為のやり方」があるからだ。その証拠にやずやグループ未来館の西野博道さんの元には、売り上げが伸びなくなって焦り始めた通販企業からの相談が多く集まる。そこで彼が、「お客様が商品購入を継続する」ためには、どの数字を可視化しているのか、そこに焦点を当ててみた。

今こそ通販は長期的展望に立って、先を見据える時代

1.足元を見据える「分析診断システム」

 大事なのは、現場は動いているけど、その今のやり方が正しいか否かを数字で判断する事である。それで西野さんは「分析診断システムMIRAI」を例にとって説明してくれたのである。「分析診断システムってなんですか」??それについて西野さんはユーモアたっぷりに「人間ドッグのようなものです」と話してくれた。

 「人間ドッグは今、痛いところを治すわけではありませんよね。このままでは肝臓を悪くしますよ、という具合にその先を見据えて、今の生活改善を促すものです」と。

 この点、結論から言ってしまって恐縮だが、西野さんがやずやで成功を掴んできた理論は稼働顧客を重んじることにある。例えば、売上が減少している傾向にあるお店の多くは、その長期的展望の視野がない。つまり、「その段階ですでに通販企業の根っこである稼働顧客が大きく減少しているということに気づいていないんですよね」と西野さん。

 概して、購入回数が多いお客様や、最近まで買ってくれていたお客様にダイレクトメールを送ったり、盛んに値引きキャンペーンを案内してしまったり。売上が落ちている店舗が陥りがちなことはそれで、さらに買ってもらおうとするから、かえって離脱を招いている。でも、それは「会社にとって」はこの上ない逆効果なのである。

2.年商からその企業に必要なことを洗い出す

 では、長期的視点に立って、何をすべきか。年商(一年単位)で見ることが大事で下記の方程式で示されることを理解する。

年商=稼働顧客数×年間LTV

 先ほどの例でいえば、この「年間LTV」に重きを置いて、単価を上げようとしているわけだ。とは言え、それは企業の都合であることは明白で、やり方を間違えると稼働顧客数を左右する。「そんなことをするくらいなら、稼働顧客数を重視した方がいいのです」と西野さん。稼働顧客数なら、お客様との向き合い方で改善できるもの。純粋にその数を減らさないようにすればよく、はるかに現実的である。

 あわせて「顧客維持率」を見ていきたい。要は「今回買ってくれた顧客が、来年も買ってくれる割合」である。この顧客維持率を、この後で説明する「稼働顧客」の推移と合わせて、毎日監視することで、通販企業の未来設計ができてくる。

 ちなみに「顧客維持率」だが、どのくらいが理想なのか。ネット通販企業は大抵10%程度しかないが、西野さんが意図するのは70%。その理由は3年後の残ったお客様の数を見れば一目瞭然。10%の場合、獲得したお客様はほぼ残っていないからである。安定した経営を考えれば「顧客維持率」が大事なことがよくわかる。

関連記事:やずや “定期購入”で急成長 高い リピート率 のその理由 顧客維持率に着目せよ

稼働顧客と非稼働顧客を深掘りすると未来が見えてくる

1.稼働顧客をさらに因数分解していく

 では「顧客維持率」をどうやって高めるのか。この数字を可視化するにあたり、必要なのが下記の図の発想である。シンプルに一年単位で考えれば、通販のお客様は「非稼働顧客」「稼働顧客」の2つでしかない。

 通販企業の“未来”はその「非稼働顧客」「稼働顧客」の構成要素を分析することで導き出される。そうはいっても難しくはなく「稼働顧客」の構成要素は実は3つしかない

  • a)「新規の獲得」
  • b)「既存の維持」
  • c)「離脱の復活」

 だから、その戦略も下記しかないことがわかるだろう。

  • (1)新規顧客を集客するマーケティング
  • (2)既存顧客を維持させるマーケティング
  • (3)離脱顧客を復活させるマーケティング

 一方、「非稼働顧客」の構成要素は下記となる。

  • d)前年の「稼働顧客数」
  • f)前年の「離脱顧客数」

 だから、今年の「非稼働顧客」で「d)前年の稼働顧客数」の数が多く、今年の「稼働顧客」で「b)既存の維持」が少なければ(2)既存客を維持させるマーケティングに課題があるというわけである。面白いように今がわかる。これこそが西野さんのいう「人間ドッグ」の真意だろう。

2.理論に基づき、適切な数値を洗い出す

 これが全ての本質で数字はこの理論に基づく。具体的には、「稼働顧客」は1年間で何回か買っているお客様だから、その購入回数を「新規(F1)」「定着見込み(F2)」「定着初期(F3-5回以上)」「定着後期(F6-11回以上)」「定着(F12回以上)」という風に振り分けて数字を出すのだ。すると稼働顧客の内訳(顧客ロイヤリティの割合)が可視化される

 その上で「本日」「前月」「3ヶ月前」「6ヶ月前」「前年」で「新規(F1)」から「定着(F12回以上)」のその数をチェックをしていく。するとどの層のお客様がどれだけ増減に転じたのかが見えてくる

 それをリスト化したのが上での表である。いかに縦軸で「新規(F1)」から「定着(F12回以上)」まで引き上げられるかと同時に横軸で「新規(F1)」などを「離脱」させないで「維持」させるかということになってくる。業績が悪化していると上のリストは下記の通りに変化する。

 つまり、「稼働顧客」の推移を徹底して追いかけて、それを現場に落とし込むわけだ。具体的な施策、接客において特に意識的に改善していかないと、徐々にその現象の連鎖が広がるわけである。減少に目を向け、それをいかに軽減していくか、それと連動して「顧客維持率」というのが決まってくる。というわけで、本質的な理解はこのような感じになる。

 ここから先は実際の通販の数値を元に、「このまま推移したらどうなるのか」予測を立てなければならないわけで、「顧客維持率」はそれと連動している。それ故、西野さんはやずやの理論に基づいて「分析診断システムMIRAI」で編み出して、下記のような診断を行っているということになる。

 かくしてそれぞれの購入回数ごとに「危険」「警告」「良好」が可視化されて、それは、やずやのこれまでの実績に裏付けられて、導き出されている。「危険」だとすれば、中身を細かく分析して早く改善行動に移せば、病気のように発見が遅れることはない。

 こうやって「顧客維持率」に繋がる数字を現場を含め丁寧に見ていく。するとそれは「稼働顧客数」を増やすことになり、企業が長期のスパンで経営していく数字面でのベースができていくことになる。

 そこで、稼働顧客の原点となるのは人(スタッフ)であり、接客であるから、それをもたらす社員の研修や必要なお客様へのアプローチを「やずや通販CRM基幹システム」で業務フローとして各自、ちゃんと定着できれば、この数字と業務の一体で捉えていけて、安心した成長絵図を描けるというわけである。

関連記事:奮い立て実力はその程度ではないCRMシステムに学ぶ やずや式(前)

やずやはお客様から企業まで常に併走者として勇気づける

1.それなりの費用も長期的な視野に立てばこそ

 「長くやっていく為のやり方」があるということの意味を理解してもらえただろうか。また、それを長くやっていければ、年商100億円の企業へと一歩近づくことも決して無理ではないことも。

 今回、前後編で理論に紐付けながら、彼らのシステムについて触れてきたが、金額について聞くと「やずやCRM基幹システム」は3億円で「分析診断システムMIRAI」も3000万円を要すると聞いて、少し驚いた。

 ただ、一見すると、相当な金額なようでいて、前後編で話したこれらの仕組みが果たす役割を考えれば、この価格の持つ意味が分かるのではないか。

 一言で言うなら長期的な視点である。お客様との付き合いが単月、単年で考えるべきではなく、ずっと長く続くものであって、企業は例えば、3年間、お客様との関係性を構築するためにはどうあるべきかを考えるべき。だとすれば、の事業計画は3年先を見据え作るべきであって、3年先、お客様に何ができているのかの視点が必要である。

 銀行の融資にしても、三ヵ年計画を立てて、それを踏まえた投資が、毎年、予定通り回収できていれば、逆に融資も受けやすくなるように、企業経営において求められるのは、その長期的視点。つまり、経営に直結する視点がこの基幹システムの中にあるから、彼がこの仕組みを持って、通販企業に呼びかけるわけだ。

2.かつてはやずやで、今も志高き通販企業と並走する

 余談になるが、僕は「やずやCRM基幹システム」と「分析診断システム」の話を聞いて「やずやが長年やってきた動きに似ていますね」と西野さんに話した。やずやの商品は、主には60歳の人たちに、20年先の見えない健康を“補助”し続けるためのものであって、その場でどこかの痛みを解決するものではない。一緒に健康であり「続ける」併走者である。

 それは、ある意味、経営だって同じだ。先の見えづらい20年先の未来に向かって、ひた走る。だからこそ、その20年先の未来を見据えて、この基幹システムで、通販企業の経営の安定化を“補助”して、並走し続け、正しい道を指し示す事を、意図しているわけである。

 通販企業がお客様の心を掴んだのだとすれば、数字と業務のバランスを見ながらやっていくことで、そのポテンシャルは最大化できることを指し示したいのだろう。「自分たちの実力はこんなものではない」ということに気づくに違いない。「私も人生最後の大勝負です」そう言って、西野さんがこれらのシステムをして、やずやだけではなく、通販業界全体をもっと伸ばす意気込みで、熱っぽく語る意味も僕には理解できた。

 やずやだけではなく、通販業界を共に並走したいのだ、発展のために。通販企業は今、変革の時を迎えていて、そこで飛躍できるかは、この知見があるかないかで大きく違うことを、彼は自らの体験を持って実感しているからなのだ。さあ、今が通販企業にとっての転換期となるかどうか。

 今日はこの辺で。

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