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やずや “定期購入”で急成長 高い リピート率 のその理由 顧客維持率に着目せよ やずや理論vol.1

 やずやといえば、健康食品の先駆けであり、その特徴として“定期購入”と呼ばれる手法を取り入れた点にある。つまり、商品をきっかけにして、お客様と深く繋がり、継続してもらうことを念頭に置いているのだ。とはいえ、一人のお客様がずっと同じ会社の商品を買い続けるのはそうは簡単ではない。やずやグループ 株式会社未来館 取締役社長 西野博道さんに、その極意を学ぼうと思う。

定期購入 で リピート率 を高める“やずや”流通販

1.確実に数ヶ月で消費し、継続してもらう

 彼らの商品の代表的なものといえば、「養生青汁」「熟成やずやの香醋」など健康食品であろう。これらには、実は共通した特徴がある。西野さん曰く、そのいずれもが1〜3ヶ月後に消耗することを前提に作られている。

 変な話であるが、薬のように治るようなものではない。え?治らないものを売っているの?。そういわれそうだが、そうではない。例えば、野菜のようなものである。食べ続けることで、20年後の健康が維持できるよ、という話なのである。

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 さて、そうなると、いかにして継続するかが大事になってくる。逆に言えば、そこで健康のための価値をその商品から実感しなければ、お客様は継続しないわけである。そこのメカニズムをここでは追求していこう。

 まず、その点で言うと見るべきは「過去1年間、付き合ってもらえている顧客がどれだけいるか」。その顧客のことを「稼働顧客」と呼んでいる。その稼働顧客が満足して、さらに継続して、何年も続けていけば理想である。顧客が一年以上、継続した場合、その顧客が占める割合を「顧客維持率」という言い方で表現するのだ。

2.理想的な顧客維持率は、70%!?

 この「顧客維持率」が高い通販企業は押し並べて、健全な経営が行われている。ええ?っと驚かれるかもしれないが、西野さんが考える通販企業の「顧客維持率」の理想は70%。確実にお客様が買い続けているから安定感があって、先を見通せるからお客様への相応しい接客もそこを支える投資もうまく歯車として回っていくというわけである。

 ただ、現実的には、ネットで通販企業においては「顧客維持率」が10%程度が標準だと説明する。彼曰く10%では「稼働顧客を礎にしたビジネスモデル」での経営は難しいと指摘する。つまり、ここの顧客維持率を上げていく手法に、通販としての意義がある。また、やずやの躍進を支えたヒントがある。

3.顧客維持率10%程度では企業が続かぬ理由

 70%とする根拠について「計算をすれば一目瞭然」と西野さん。新規顧客で100人を獲得できたとして「顧客維持率」が10%だとすれば、翌年(2年目)購入する顧客は10人だ。その翌年(3年目)も10%だとすればその数は1人になってしまう。つまり、最初100人も顧客がいたはずなのに、顧客維持率が10%ならば、3年過ぎると1人しか残っていない

 もし「顧客維持率」が「70%」であれば3年目には「約5割」となる。雲泥の差である。つまり一年一年の「稼働顧客」を大事にしていくことが大事。それが顕著に「顧客維持率」となって現れる。それが高くなるほど、会社の経営は盤石となるのである。

 実を言えば70%でもまだ足らないと話す西野さん。じゃあどのくらいを?と聞くと『目標は「90%」に置くべき』としている。「90%」であれば5年目でも「5割」以上存在することになるからだ。

ではどうやって70%まで持っていくのか?

1.まずは「ターゲット」設定

 そんな70%なんて、無理だよとそんな声が聞こえてきそうである。それを可能にするために、彼らは何をしたのか。彼らの場合であれば、まずそのターゲット設定が秀逸である。ずばり、ターゲットを60代〜80代の人に設定した。

 なぜですか?その理由について、西野さんはニヤリとして、こう話す。「60代〜80代の世代の人に『20年後の自分を想像してみてください』と聞いてみるのです」と。語弊を恐れず言えば、彼らは「ひょっとしたら死んでいるかな」あるいは「死んでいなくとも寝たきりになっているかな」と、返答をしてくることが少なくないのではないか(苦笑)と。

2.そこから商品の方向性が決まる

 つまり、やずやの商品は、20年後の元気な自分を支える為に、今日飲んだ方が良い商品。そのように定義づけられるから、買い続ける。それを補完するのがコールセンターのスタッフなのである。

 だから健康補助食品であり、あくまで“補助”なのだ。治ってしまったら付き合い続けられない。「ずっと飲み続ける」ことで20年後の未来も明るくなる。そして、商品は顧客の生活の一部になっていく。生活の一部となりつつあるお客様との関係こそが、別の意味で彼らにとって差別化要素であり、商品である。

 だから「稼働顧客」を追うのである。その成長は赤ん坊のようだと西野さんは説く。人の成長しかり、赤ん坊と、2歳児と4歳児ではその扱いが変わるでしょと。だから、その継続の度合いによって、その時々で向き合い方が異なる。だから「接客」はどうあるべきかが大事になって、コールセンターの対応が大事になる。もっと言えば、それを支えるデータがある。それらが一つになって、まるで親戚のような付き合いが形成され、継続するのである。

 今日はこの辺で。

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