買い物が世界を動かすとき。

EC運営とリアル店舗が共創する新しい売り方

「買い談」は、“心が動く買い物体験”を探り、語る場所です。どうすれば売れるのか。どうすれば響くのか。その仕組みを知れば、日々の暮らしがちょっとだけ楽しくなります。

 リアルとデジタルの間にある、“ちょうどいいヒント”を見つけましょう。

小売店の役割──リアルとデジタル、その間で光る価値

 リアル店舗は、日々の生活を支える存在です。接客や立地、見せ方の工夫で、人の気持ちを動かします。でも今は、オンラインの力も加わっています。リアルとデジタルの組み合わせが、新しい価値を生み出す時代です。

それでは、小売店の役割を支える要素を一つずつ見ていきましょう。

1. ECの基本──まずは2つのタイプを知ろう

ショッピングモール型EC

 楽天市場やYahoo!ショッピングなどがこのタイプ。モールの中に、自分のお店を出すイメージです。ブランドの個性を出しやすいのが特徴です。

参考記事:楽天市場とAmazon比較 異なる商品販売の手法に学ぶ

(【楽天】記事一覧↓)

②出品型EC(Amazon本体など)

 Amazon本体のように、同じ棚に商品が並ぶ形式。価格やレビューが、勝負の分かれ目です。差別化には、商品ページのテキスト、物流(早く届く)などの工夫が不可欠です。

参考記事:Amazon 広告活用する前に おさえておきたい大鉄則

(【Amazon】記事一覧↓)

2. 自社ECとは?──ブランドの“顔”をつくる場所

 自社ECは、自分たちの世界観をそのまま届けられる場所です。ページのデザインも、言葉のトーンも、すべて自由。誰に、何を、どう伝えるか。全部、自分たち次第です。

 さらに、顧客データも手元に残ります。リピーターを育てるための土台になります。手数料も抑えられ、利益率もアップ。

 ただし、課題もあります。集客、運営、分析、そして広告。やるべきことはたくさん。だから、マーケティングの力が問われます。

参考:気付かぬ価値に“気づかせる”自社ECを本質的に解き明かす

(【自社EC】記事一覧↓)

3. マーケティングとは?──顧客への「配慮の設計」

「マーケティング」とは?価値ある体験を届けること

 マーケティングとは何か?と問われたとき、多くの人は「販促」や「売れる仕掛け」と答えるかもしれません。でも、それはあくまで一部にすぎないのです。つまり、下記のように定義できます。

  マーケティングとは、顧客にとっての価値をどう届けるかを設計する思想。

 要するに、顧客の「行動」や「反応」に対して、どんな配慮をすべきか。それを考え、実行に移す。そこに意義があります。

参考:MAでもCRMでもない。「配慮」を設計するという発想──シナブル小林社長の言葉から考える、ECと顧客体験の再構築

CRMの本質(戦略要素)──見えなくても繋がれる

 ということは、すべての部分にマーケティングが関わってきます。その一丁目一番地が接客。でも、その本質は変わらないんですよね。大事なのは、相手に寄り添う姿勢です。画面越しでも、伝わるものはある。

 つまり、メールやチャット、電話など、手段が変わっても信頼は築けます。まさに、それがCRMという概念によって証明されています。

接客の本質(人的要素)──“心を通わすこと”をECに置き換える

 逆に言えば、リアルの接客をデジタルに活かすことが大事です。テクニックではなく、お客様の“不安”に想像力を働かせ、ここでも寄り添う姿勢。それこそが信頼に繋がり、エンゲージメントを高めます。

参考:接客 とは何か ビームス Heg.ちゃんに学ぶ

(【マーケティング・CRM】記事一覧↓)

商品戦略とは?

 お客様を知ることで、商品戦略、つまりマーチャンダイジングができると言っていいでしょう。自ら商品を作るのも、仕入れるのも。単に「どんな商品を、どんな組み合わせで、どんな価格で並べるか」を考えるだけではありません。商品はブランドの魅力を形にし、世界観を表現する重要な方法です。

 また、今はD2Cブランドが注目され、製造から販売まで一貫して行う企業も増えています。こだわりをダイレクトに届けることで差別化を図るのが強みです。

(【商品企画・マーチャンダイジング】記事一覧↓)

4.集客とは?──“まず知ってもらう”仕掛けが肝心

SEO的な観点から

 マーケティングが“思想”だとすれば、販売促進は“届けるための設計図”。特に、SEOや導線設計の分野では、それが顕著に現れます。

 検索行動には“解決したい気持ち”が宿っている。その気持ちにどう応えるかが、販促の本質です。

 この視点に立てば、「売るために何を仕掛けるか」という旧来の発想から、「必要な人に、必要な価値を届けるにはどうあるべきか」へと発想が変わる。つまり、販売促進とは「気持ちへの配慮を、見つけやすくする構造の設計」といえます。

参考記事:自社ECに人を呼ぶために必要な“設計”と“伝え方”──SEOは順位より信頼

SNS的な観点から

 「いかに新しいお客様にアプローチし、ファンになってもらうか」という視点が強調されました。たとえば、SNSでブランドストーリーを発信し、その世界観に共感してもらう。あるいは広告を使って効果的にリーチを伸ばす。さらには、ワークショップやイベントでリアルな接点をつくる──これらがすべて販売促進のアプローチです。

  • SNSや広告で新しいお客さんを呼び込む
  • ・ブランドの世界観を伝えるオウンドメディアの活用
  • ・キャンペーンやセールで集客し、リピーターに繋げる

 こうした取り組みが、「価値ある体験をいかに多くの人に届けるか」というマーケティング本来の目的を支えているわけですね。

参考:インスタグラム集客を加速させる実践ガイド―19万人のフォロワーを集めた宮田綾子さんが語る“バズ”の秘訣―

 最後に、これらを踏まえて、モールにおける集客もまた、自社ECとは違うことを踏まえて、戦略を立てることが大事です。

参考記事:Amazonプライム感謝祭で成果を上げるために

(【集客】記事一覧↓)

5. 物流の重要性──「届く」が未来をつくる

 どんなにいい商品も、届かなければ意味がありません。物流は、ECにおける“最後の接客”です。

在庫管理

 複数の販売チャネルを、一つのシステムで管理。売り越しを防ぎ、スムーズな運営を支えます。この仕組みを支えるのが「一元管理システム(OMS)」。ネットショップを裏で支える、まさに“影の立役者”です。

参考:一元管理システムはネットショップの影の立役者

倉庫運営

 保管、ピッキング、梱包。この精度が、顧客の信頼に直結します。フルフィルメントを活用すれば、さらに効率アップ。倉庫から出荷、そして返品対応までを一手に担う。“物流の全体最適化”を図るうえで、強い味方になります。

参考:ネット通販 初心者のためのフルフィルメント解説

配送

「いつ届くか」が、顧客満足のカギ。ヤマト運輸のように、“欲しい時に届ける”姿勢が求められます。配送の質が、売上にもリピートにもつながります。

参考:配送で差がつくEC運営 ─「配送は購買体験の一部」

(【フルフィルメント】記事一覧↓)

6. 越境EC──「世界に届ける」挑戦

 国内市場が成熟するなか、越境ECが注目されています。でも、ただ海外に売るだけでは足りません。「どう伝えるか」「どう届けるか」「どう支払ってもらうか」。この3つが重要です。

  • • 言語の壁:現地の言葉で説明し、サポートする
  • • 物流の壁:関税や規制に対応し、適切に届ける
  • • 決済の壁:現地の決済方法を導入する

 SNSで海外フォロワーが多いなら、可能性は広がります。訪日観光客との接点から、越境ECが始まることもあります。

参考記事:越境ECで世界とつながる!初心者が押さえるべき日本ブランド発信のコツ

(【越境EC】記事一覧↓)

7. 運営代行という選択──プロと組んで、集中すべきことに集中する

 ネットショップを一人で全部こなすのは、正直、大変です。そこで活躍するのが、運営代行というパートナーの存在。頼れるプロに任せることで、自分たちは“本来やるべきこと”に集中できます。

  • • メリット:作業の効率化、ノウハウの活用、時間の確保
  • • デメリット:ブランド理解の不足、費用対効果の見極めが必要

 委託は「楽する手段」ではなく、「成果を出す手段」。信頼できるパートナー選びが、カギになります。

 ただ、昨今、それだけではなく、顧客との関係を長く続けるための戦略が大事になってきています。その為には、丁寧な接客や満足度を高める対応が不可欠です。

参考:運営代行の視点から見た「楽天市場」の活用と顧客体験戦略

8. リアル店舗とは?ECと連携した新たな役割

リアル店舗とは?ー新しい価値を求めて

 今、リアル店舗は“物を売る場所”ではなくなりつつあります。それは、“ブランドを体験する場”へと進化しているということ。

(【リアル店舗】記事一覧↓)

  • • 実物を試して、ネットで買う「ショールーミング」
  • • ワークショップや接客で、ファンとの距離を縮める
  • • コミュニティの中心として、顧客の信頼を深める 
  • リアルとデジタルがつながることで、顧客体験は立体的になります。

 そこにしかない体験が、人の心を動かすのです。

参考:SOÉJU ソージュ 代官山へ通う目的は購入ではなく“コーディネイト“。

オムニチャネルとは?ーリアルもネットも一つで捉える

 そして、オムニチャネルという考え方が生まれます。リアルとネットを行き来して、顧客起点で物事を考え、在庫なども一つにして、全体最適を考える仕組みです。

(【オムニチャネル】記事一覧↓)


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