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LTVとは?その 計算式 と陥りがちな罠 定期購入 ならではの本質的理解

 昨今、ネット通販では継続的な購入が重要になっている。その中で頻繁に「 LTV (Life Time Value)」というキーワードを耳にするかと思う。 LTVとは 何か。ここではその 計算式 を提示しながらも、LTVをいかにして捉えてビジネスに役立てるか、という事に重きを置いて説明したい。通販でよく言われる定期購入における「LTV」について、やずやの考え方を取り入れながら紐解こうと思う。

LTVとは 何か? その 計算式 は実にシンプル

1.定期購入 で LTV より先に 通販 企業が考えるべきこと

 まずこのLTVに関してだが、日本語に訳すと「顧客生涯価値」。お客様から生涯に渡って得られる利益のことを指す。理屈としてはそれで理解はできると思うが、これをどう通販のビジネスに取り入れて、事業の拡大に繋げればいいのか、それが大事である。僕はこの点、やずやグループ 株式会社未来館 西野博道さんに話を伺うことにした。西野さんは「やずや」の第一線で、そのり土台を作ってきた人で、「LTV」とはずっと向き合ってきた張本人である。

 その西野さんは「LTV」を上記のように「顧客生涯価値」と説明した上で、まずそれを本質的に理解するために、通販企業の「売上構造」をみてみましょうと話して、下記の数式を示した。通販企業の年商を数式で現したものである。

「年商=年間稼働顧客×年間LTV」

 年間稼働顧客?わかりやすく説明するなら「現役のお客様」(=年間通して稼働しているお客様)のことだ。それを「年間にそのお客様が買ってくれるLTV」で掛け算すると、年商が出てきますよね、ということ。もう少し噛み砕いて実例に沿って話してみることにしよう。

 例えば、お客様が1年間のうちにトータルで2万円、買ってくれる(例えば、5000円の商品を3ヶ月に一度、購入するなど)としよう。そういうお客様が10万人いるとすれば年商は20億円となるのは、理解できると思う。

 多くの通販企業が「年商」を伸ばす際に、まず重視しがちなのはこの「LTV」である。そして、企業においては当然、お客様を獲得しなければいけないので、もう一つ指標が用意されることがあって、それは「CPO」である。また難しいキーワードが出てきたなと思われそうだが簡単。「CPO」というのは「一人のお客様を獲得する為の宣伝費」のことをいう。

 確かに、通販企業としては「LTV」と「CPO」を見ることは経営に関わる非常に重要な指標となりそうだ。この二つの数値を見ながら、極力、効率よくまわしたいと思うのは自然な流れだろう。つまり「定期購入」のお客様を効率よく安く新規獲得をして、そこで獲得したお客様からは高いLTVを得るようにしたいという発想に至る。

2.LTVはそう簡単に上がらない

 だから、西野さんは敢えてこの数字を出したわけだ。その理由は、その考え方が当たり前になると罠に陥りがちだからだ。その罠とは「初回は商品を半額にして、まずは定期購入に持ち込んでそれから単価を引き上げよう」という方向へと走ることだという。それであると、企業側の都合が見えてしまう。また最近のお客さんが賢くなっていることもあり「続けてくれない」という現象が起こる。

 「続けてくれること」こそが一番大事なことであることはこちらの記事でも書いたとおりだ。

関連記事:やずや “定期購入”で急成長 高い リピート率 のその理由 顧客維持率に着目せよ

 続けるお客様が少ないので、稼働顧客よりむしろ、売上をあげようとLTV の方を伸ばそうとするので、徐々に「定期購入」の本質からずれていくということになる。

 考えてみれば、わかることなのだがこの「年間LTV」(=年間にそのお客様が買ってくれるLTV」)を例えば、2万円から4万円にすることは至難の技で、現実的に考えれば2万円を2万1,000円にする程度が限界である。

 これで分かる通り「LTVを上げよう」といった声はよく耳にするものの、実際、それらがあまり成果を伴わないのは当然である。

 ここでもう一度「年商」の方程式をみてみよう。

「年商=年間稼働顧客×年間LTV」

以上を踏まえると、上の方程式のうち、「年間LTVの方を上げるのではなく、「年間稼働顧客」を増やす方に力点をおくべきなのである

 でも、それは決して難しい話ではない。「稼働顧客」を増やすというのは、言い換えれば獲得した顧客を「減らさなければいい」ということなのである。なので、今目の前にいるお客様との向き合い方を工夫して減らさなければ、結果的に、稼働顧客数を2倍にも3倍にも増やすことができる、そう考えていくべきなのだ。

 なので、ここの記事でも書いた通り

 もし「顧客維持率」が「70%」であれば、3年目には「約5割」です。実を言えば、70%でもまだ足らなくて、目標は「90%」に置くべきだとしています。「90%」であれば5年目でも「5割」以上存在することになり、企業にとってこの差は大きいのです。

やずや “定期購入”で急成長 高い リピート率 のその理由 顧客維持率に着目せよより引用

 新規で獲得した顧客を、5年後も5割以上の人が付き合えるようにする意味がある、と説明しているのである。

定期購入は手段であって LTVを上げるマジックではない

 改めて「定期購入」というのは手段に過ぎないことがわかる。「初回は商品を半額にして、まずは定期購入に持ち込んでそれから単価を引き上げよう」という具合に、これに持ち込むことが目的になっているうちは、逆説的だが、やればやるほど、定期購入が定着しないことになる。

 西野さん曰く「本来は定期通販などはあくまで、20年後をきっちり元気にして差し上げて、そのために、商品をお届けするんだ。そんなサービスを補完するためのものです」と。「定期購入は、今から25年前、そういう意味で始まったものなのです。お客さんのためのサービスであるからこそ、売る側も経費がかからない分だけお安くしますということ」と言っています。それが原点なのだ。

 だとすると、昨今見られがちな、定期通販が、自分の会社のLTVをあげるマジックみたいなものになっていることに西野さんが違和感を感じるという話には、僕は、素直にうなづけた次第である。

 お客様との関係性をビジネスの軸に置いて、そこから商品作りと、購入するイメージ、長く関係性を築いていく姿勢を思い描く中でこそ、後からLTVが上がって、企業そのものが安定してくるのではないかと思うのだ。

 さて、こういう継続の考え方をベースにして、そのきっかけ作りをするのは「商品」である。今度は長く愛されるための商品とはどんなものなのか、それはこちらの記事に譲ることにしよう。

今日はこの辺で。

関連記事:20年使い続ける“商品”の 作り方 “やずや”が商品開発 で絶対抑える大前提

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