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機は熟してきた? au PAY マーケット ショッピング の場 として定着した先に

 大変失礼な話かもしれないが、最近、ECサイトを運営する人の間で、割と「 au PAY マーケット」という言葉を聞くようになって驚いている。ショッピングモールで、勿論、あの会社やこの会社の名前はよく聞くけど、あまり名前があがらなかった。「au PAY マーケット」は ショッピング の場 として定着してきたわけで、何が変わったのか?au コマース&ライフ代表取締役 八津川博史さんに話を聞いた。

ショッピングの場 として定着したのか au PAY マーケット

1.流通総額は高水準維持

 昨年の緊急事態宣言でもネット系企業が一様に伸びたのは周知の事実で、でも大事なのはそこで伸びたとしてもそれが維持できているのか。そこへの徹底がアフターコロナを考える上では重要な指標になると思う。

 八津川さんはそれにうなづきつつ、まずは「au PAY マーケット」の流通総額(2021年4月〜9月)の推移について教えてくれた。

 上の図は2016年から上半期(4月〜9月)の流通総額を棒グラフで示したものである。2021年上半期(4月〜9月)で見ると、昨年対比で114%。参考までにKDDIの傘下に入ったのは2016年12月である。

 その意味で2020年は彼らにとっての大きな転換期となったと言って良い。実に、2020年上半期「au PAY マーケット」流通総額は前年同期(4月〜9月)比で180%増だった。だから、八津川さんはその水準を維持していることを示す為に敢えて、114%という数値を僕に教えてくれたわけである。

2.緊急事態宣言の時だけにならない為の継続顧客

 では、その維持を裏付けている要素は何か。維持する土台が継続顧客であることが大事なのではないか、と僕が私見を述べると、八津川さんはそれにうなづいて「au スマートパスプレミアム」会員の存在を挙げたのである。

 『au スマートパスプレミアム』とは?月額548円(税込)会員のことである。そのサービス内容の一つとして、通販に絡むところでは一定商品の送料無料がある。彼らは、サービス面、顧客の反応から一定の高い評価を受けたものをプレミアム商品と設定して、それを送料無料で送れるようにしているのだ。また、通販以外の部分でも音楽の聴き放題、映像見放題など通信企業ならではの付加価値を盛り込んでいる。

 ちょっと話が逸れるが、商品を絞り込んで、それを送料無料とするのは理にかなっている。売れる商品に限って、送料無料にすれば、売れる商品ゆえにその回転率が向上して、物流コストを下げていくことができ、これをこの会員に適用しているのであって、これは彼らなりの物流施策と言えるだろう。

 さて話を戻せば、この「au スマートパスプレミアム」会員がこの流通総額の推移を維持する要因として、次にこういうグラフを示してくれた。

 これは年間購入数の推移を表したもので全購入UUとau スマートパスプレミアム」購入UUを棒グラフで示したものだ。

 見てわかる通り、全購入UUの中で「au スマートパスプレミアム」の購入UUが占める割合が年々、高くなっているのであって、かつ同会員の購入UU自体も昨年同期比で見ても126%と伸びているわけである。

 つまりau スマートパスプレミアム」のお得さを感じて入会し、その利点をお客様側が把握した上で、商品の購入をこちらに寄せていることが分かっており、それによって生まれるのは、au PAY マーケット内での継続利用というわけである。だから、八津川さんは継続利用を理由にかなり安定した売り上げを作れるフェーズに入ったことを強調するわけである。

スマプレの存在感

1.磐石な土台はここから

 また、新規で加入する「au スマートパスプレミアム」会員も伸びておりその数は1164万人(22.3期1Q)。そこで、彼らも自然にショッピング体験に繋げるように、そのタイミングで6枚綴りの1000円クーポンをつけるなどして、その後の継続購入する習慣が根付く工夫をしているわけである。

 そうか。ということは彼らにとっては通信事業と一体で「au スマートパスプレミアム」に加入してもらい、一方でその付加価値を高めていくわけだが、そこで関連する事業での売り上げにつなげていく。これが彼らの戦略のキモになりそうである。

 「そうです。それがKDDI全体で考える『ライフデザイン構想』にも通じています」と八津川さん。

 そこで「その関連する事業の利用を促すのが「Pontaポイント」の存在です」と続けた。Pontaポイントにおいては、昨年の春から連携を密にしてきたが、auと組むようになってから「よく利用するポイント」として上位に食い込むようになった印象も強く、僕は敢えて「auユーザーのPontaポイント利用の度合いも大きくなったはずでそれを示す数値はないのですか?」と投げかけてみた。

 すると八津川さんはやんわりその部分の言及を避けながら「我々も以前『au WALLETポイント』を展開していましたが、Pontaポイントに移行し、それが理解しやすくなって使う機会は増えたでしょう」と話して『Ponta』になることでポイントを活用していなかった「au」ユーザーを触発して利用を促していることを、暗にほのめかしている。

 また、重ねて「ポイントを利用する人ほど『au PAY マーケット』の購入頻度、単価が高くなっているのか」についても迫ったが、そこも穏やかにかわしながら「Pontaポイントが『auでんき』『au PAYカード』『スマホ決済』で貯まっていくという認知も広がっているので、当然ながらポイント保持者ほど『au PAY マーケット』の利用機会は広がっていますよね」と語ってくれた。

2.整った今だからこそデータを

 こういう動きを踏まえて、八津川さんが未来に向けて、店舗の事業者に言いたいのは何かと聞くと「やっぱりデータの活用でより成果が出やすくなっているという事ですよね」と答える。

 例えば、休眠のお客さまへのプロモーション。彼らは91日以上買物をしていないお客さまを休眠状態と定義しており、その休眠状態のお客さまの中に対して、Pontaポイント(au PAY マーケット限定)をプレゼントしたり、クーポンを渡して再訪を促すようにしているのだという。また、休眠の期間によって渡すポイント数(インセンティブ)に変化をつけている。

 実はこうした取り組みの成果は見られていて、2021年4月から2021年8月までで、休眠のお客様における購入者数は約1.6倍ほど伸長しているのだそうだ。データを利活用することで奏功している例である。

 その他、彼らの特徴として、Pontaポイントをau PAY マーケット限定のポイントに限って1.5倍にしてくれる「お得なポイント交換所」という仕組みがある。実はこの「お得なポイント交換所」についても、プロモーションを行う際、データ分析によって出し分けを行っているのだ。持っているポイント数が多い人ほどメリットを感じてもらうような設計になっているのである。

 そして、八津川さんが言っているのは、それとは別に個々の店舗ごとに情報やツールを提供して、店舗ごとの努力でお客様によって出しわけができるような、そんな機能を増やしているということだ。クーポン然り、である。

 これだけ流通総額が増えて、そのお客様も定着して継続してくればデータは揃ってくるわけだし、「新規顧客にはこういうアプローチを」「au スマートパスプレミアム会員にはこういう接客を」という施策は日々ブラッシュアップされて、精度が高いものが出てきているから、そこに少し意識を向けるだけで、それが効果となって跳ね返ってくる度合いは大きいと。だから、まずはその一歩を踏み出してほしいと。

機は熟した 各々の店が活躍すべき時

1.UQモバイルとの連携も強化で若年層を狙う

 更に最近では、継続顧客の視点に加えて、彼らはUQモバイルとの連携を密にして、その販売店でも「au PAY マーケット」の案内をするようになっていて、CMの戦略、価格帯を考えれば、それ自体が若年層を新たに引き込むための施策で、新規獲得に余念がない事がよく分かる。

 特に、彼らは「コト」領域での浸透を狙っていて、注力してきたライブコマースにおいても、よしもと芸人とのタッグはかなり板についてきた。インフルエンサーを活用した熱狂を演出するのではなく、そこでの話題性をフックにau PAY マーケットのランキングの上位に食い込み、そこを礎にモールでの存在感を定着させるという独自のスタイルも形成するに至っている。

2.相乗効果をもたらすに至る連携が実り始めた

 また、番組としての質は向上してきたのに合わせて、KDDIの資本が入る「グノシー」との連携もはじめていることを教えてくれた。

 読み物を起点として、ライブコマースへ導き、それを深掘りして、最終的には購入につなげていく。やはり通信を起源に持つから生活により密着して「コト」を起点としたコマースの確立をして、彼ららしく独自性を出していく。

 そうか。こういう積み重ねが店舗においての実感に繋がり、彼らが共通して注力するショッピングとして、当たり前にau PAY マーケットの名を口にするようになったのかと思った次第である。

 語弊を恐れず言えば、今までバラバラだった部品が一つ一つ、ジグソーパズルのようにして組み合わさってきたように思う。冒頭に書いた「au スマートパスプレミアム」から「Ponta」ポイント、そして関連企業との連携を果たした「コト」領域におけるコマースとしての存在感など、必要なリソースを意味ある形で重ね合わせ、相乗効果をもたらしてくるところまでやってきたということなのだ。

 先ほどの流通総額のグラフを見ながら、改めて思う。ようやく機が熟してきたということなのかもしれないと。熟してきたからこそ、それを活かす店舗とそうでないところの店舗の格差が生まれるのは、先ほどの八津川さんのデータの話でもわかる事である。アフターコロナを見据えて、店舗もまた、新たな幕開けだ。

 今日はこの辺で。

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