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東京 錦糸町の人気店 下町 バームクーヘン 商品力で挑む

下町バームクーヘン店長

 店の原点は「商品力」にあり。そんなことを感じさせる話であった。今回、「店長にマナブ」で伺ったのが 東京 錦糸町のお店 。 人気 バームクーヘン として地元で愛され、ネットで全国へファンを広げた 株式会社乳糖製菓 代表取締役 益子英夫さん。店の名を「下町 バームクーヘン 」という。

バームクーヘン で 人気 東京 の老舗 乳糖製菓

 元々、乳糖製菓は、先代が昭和28年位に錦糸町でお菓子屋を始めていたことに始まる。当時は雷おこしのような伝統的なお菓子をやっていた。だが、「何か目新しいものを」と考えて、バームクーヘンを始めたのが原点である。昭和40年当時、まだ、バームクーヘン自体が物珍しい時代である。それ以後、長きにわたり、錦糸町の人達に愛され続ける小さなお店であったが、今から7年ほど前から、オンラインストアを始めた。

 オンラインストアは、何気なく、であった。知人の花屋さんから勧められて、楽天市場に出店した。「ページ作って出せば、注文くるのかな、くらいに思っていましたね。それで、売れるかなと思っていたのに、一ヶ月で一個くらいしか売れなくて」と益子さん。

 「とにかく何も分からなくて、楽天にECコンサルタントがいるというのも二ヶ月後、わかった状態でした」と語り、相談するなり、「流石に広告などを打たないと売れませんよ」と言われて、ああ、ネット通販では、そうなんだと。まさに、手探り状態であった。

商品には絶えず想いをかけてきた

 でも、益子さんの中では、そんな状況でも、売れるに違いない、という確信もあったのではないかと思う。それは、益子さんの言葉の節々に商品への自信が感じられたから、である。商品への愛なしに為せることではない。

 今のバームクーヘンは、初代の作り上げた「バームクーヘン」に敬意を示しながらも、益子さん自身が改良を重ねて、手を加えて作った自信作である。

 確かに、 東京 でも珍しかったその時代は、以前のままの バームクーヘン でも十分、人気があって、良かったのかも知れないが、益子さんは未来を思うと、改善の余地があると考えていたそうだ。何よりスポンジのようで、パサパサしていたからである。だから、彼が手掛けた今の「バームクーヘン」は、改良を重ね続けて、しっとりと、濃厚なものへと「変貌」を遂げた。

 かくいう僕もこの店の「アップルクーヘン(1,500円)」を自分で買ってみたが、まず第一印象は、手で持った感触がそもそもずっしり重い。

賞状が入っている
中を開くと、全国菓子大博覧会で受賞されたコンパクトな賞状が入っていて、誇らしげ。

 そして、開いてみると、そのバームクーヘンは厚みがあり、大きい。しっとりと重量感があるので、フォークもずっしりとスーッと入っていく。驚いたのだが(下の写真をスライドしてみるとわかるが)バームクーヘンの層の内側にかなりの大きめなアップルが入っている。益子さんが「届いたときに、商品で驚かせることが大事」と言っていたのは、こういう事なのだろう。両方の甘さが引き立つ贅沢な味わい。これだけのボリュームで1500円だから、ファンになるわけだ。

 益子さんは、女優の本上まなみさんが『anan』の誌面で以前、新しいバームクーヘンをお勧めしてくれたと嬉しそうに語っていたが、勧める気持ちがわからないでもない。厚みがあって、甘さも濃厚なバームクーヘンで、パサパサ感が確かにない。まさに、本上さんもこの点を評価していたそうだ。僕が褒めたところで、本上さんほどの影響力がないのが残念だ。

初めは手応えすらなかった 下町 バームクーヘン

 さて、気を取り直して、、、話をネット通販の話題に戻す。今や 人気 店の仲間入りを果した同店だが、最初は益子さん一人でやっていたし、実に2年ほど一人でやり続けた。

 振り返れば、「初めは楽天市場に出店して広告を打ってもそれなりであった。こんなものなのかなと手応えは感じられなかった」と益子さん。でも、風向きが変わったのは、「入り口商品を作った方がいい。お試しの商品を作った方がいい」と、そのECコンサルタントから助言をもらってからのことだったそうだ。

 そうだなあ、、、入り口商品って何だろう。

メガ盛り
メガ盛り

 益子さんは考えた。そこで着目したのが、リアルの店舗でもやっていた「切り落とし」である。バームクーヘンは、切ると、必ず切り落としが出るのだが、それらを分けて商品化して、「メガ盛り1キロ」として、1500円で販売した。自分なりに考えて作戦であり、自分で写真を撮影するなどして、販売したのだ。

 この商品を開始したのが年末。結果、その後、バレンタインデーと重なり、ある日突然、その時は来た。まとまった注文が入り「なんだろうこれは!!」と、システムを処理するのだけでも、至難のわざであった。

 店として目玉商品を用意して、1500円という単価、1キロというボリュームというわかりやすいメリットを提示広告もしっかり出して、その時期が合致すれば、お客様が強い関心を抱き、その商品のメリットは相まって、購入へと繋がるという事。考えればシンプルな理論である。ただ、その後も月商100万円程度まで伸びたものの、停滞。それでも、ネットショップ「下町バームクーヘン」は、着実に、存在感は示しつつあった。

第二の転機でこの会社の大きな存在へ

 そして第二の転機が訪れる。それが「スーパージャンボクーヘン」。そのボリュームもさることながら、5種の味から3種、選ぶことができるようになっていて、スーパーSALEで注文が殺到した。1万個位、あっという間に注文が入ってしまうほどで、工場と話して「これは作れないから、止めよう」。最初はその勢いにストップをかけたほどであった。

スーパージャンボクーヘン
スーパージャンボクーヘン

 まさに、このタイミングこそが節目だと考え、スタッフを追加した。ネット通販事業が、乳糖製菓の掛け替えのない存在へとステップアップした瞬間であった。

 当初は小さな事業であったし、月商200万円までは殊更、楽天から注目される存在ではなかったと語る。けれど、そのタイミングで突如現れたECコンサルタントが「下町バームクーヘン」に、強い興味を抱き、益子さんに発破をかける。「この商品、絶対行けますよ!広告を打って、六ヶ月、月200万円くらい広告作って下地を作りましょう」と。

 正直「大丈夫なの?」と心底、益子さんは思った。が、「リピーターをガッチリ作って、スーパーSALEの時に、メルマガ送り、瞬発力でランキングを取る、そんな仕組みを構築していきましょう」と続け、言われるうち、耳を傾けるようになり、そのおかげで、「下町バームクーヘン」としての戦い方が備わったと話す。まさに二人三脚、遠慮は無用だと思った。

美味しさがないと、続けていけない

 ここまで、いろいろ話をしてきて、益子さんに改めて、「下町バームクーヘン」にとって大事なものは?と問う。すると「第一は商品力」と語った。本当に印象的だったのは、「どれだけ通販のノウハウが長けても、美味しさがないと、続けていけない」という言葉。

 「下町バームクーヘン」はShop of The Yearなども受賞し、輝かしい実績を持つに至るが、益子さん自身、取り立ててネット通販の仕掛けに長けているわけではないことを、何度も強調して見せた。ここが重要なところだ。

 お店は継続してお客さんが買うことに意味があって、リピーターはすごく大切。リアルもネットも同じだ。ただ、ネット通販で考えれば、「新規のお客さんは広告で獲得しつつ、メルマガは「なにかの時」の為の掘り起こしと位置付け、リピーターで売り上げを作っていく為に大切に活用していく」と分析してくれた。これで、試行錯誤を繰り返しながらも、ネット通販の戦略の土台ができた。

 そして、今では大半の売り上げがネットとなった。昨今の新型コロナウイルス感染症の最中にあってはむしろ勢いは増している。あのとき、もし、ネットをやり始めていなかったら、とネット通販との出会いの意味を口にした。

 その上で、益子さんは敢えて、商品力を強調するのだ。それもこれも、その商品作りにおいては、他には負けないという自信があって、成立するものだからだ。届いたときに「わぁっ」と言わせるだけの心を動かす内容だったり、美味しい!と言われるその実感が、全てであるという。僕もそうだった。

 小手先の手段では人の心は掴めない。この商品力、並ではない。そこにかける魂こそ、彼らを長年、商いを続かせ、また、ネットでも開花させた最大の要因なのだと思う。

 今日はこの辺で。

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