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デジタルと金融とアート “楽天”的な未来予測 Rakuten Optimism 2021 

 確かに、創業時代から大きな変革を繰り返し、今があるのかもしれない。楽天の三木谷浩史さんが登壇したのは「 Rakuten Optimism 2021」というイベントだ。彼は自分の事業と紐付けながら、リアリティに、その変革の意味を説いた。大きく分けて、三つ。テクノロジーと企業の成長、フィンテック、そしてアートディレクションの視点である。

デジタル上での変革

1.自ら歩んだイノベーションを語る

 このイベントのトップバッターとして現れたのは 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史さんだ。彼は経営者という立場から「イノベーション」の価値を述べていた。元々、通信速度も14.4Kbpsでネットというのは、使い勝手が悪く、それ自体はビジネスにならない。そう言われていた中で「楽天市場」を立ち上げたのは、1997年。

 流通総額にして初月32万円。しかし今はまもなく5兆円に達しようとしている。視聴者に発破をかけるように、イノベーションの魅力を語る。

 ただ、彼は過去に浸るわけでもなく、更に前向きに、当時と同じように、まわりから何を言われようともイノベーションにこだわり、新たにモバイル事業への着手を語るわけである。

関連記事:やりきること。楽天 三木谷浩史さん 25年経ても変わらぬ真実

2.楽天シンフォニーに考えもしない未来がある

 今の彼にとってのイノベーションは「Rakuten Symphony」の中にありそうだ。AmazonがEコマース事業を拡大する中、クラウド事業を展開しAWSというサービスを構築した。それを引き合いに出しながら、三木谷さんは言う。楽天のモバイル事業は完全仮想化のクラウドネットワークで成立しているのだと。

 それがどういう意味をもたらすのか。車で言うならガソリン車と電気自動車の違いである。楽天モバイルは今までの通信企業のように裏側で機器を使ってやるのではない。クラウド上でほぼ完結させていると。だから、モバイル上でクラウドのソリューションを海外に販売していくことができる。

 だから、AWSを例に挙げたわけだ。ネット上にクラウドという土地を作ったAWS。それに対して、楽天はモバイル上にインフラを作って、産業全体に影響を与えるのだと。

フィンテックでの世界的野望

1.楽天を大きく変貌させた金融

 また、別のセッションでは、楽天カード代表取締役 穂坂雅之さんが登壇した。金融事業の始まりとともに楽天に入社した彼らしい視点。楽天の成長の基盤を担うのはフィンテックであると説く。それは未来に向かって加速するといい、それもイノベーションである。

 楽天が金融事業に参入したのは2003年でオンライン証券から。そして、2005年クレジットカード、2009年銀行と電子マネー事業へと拡大。これらを皮切りに金融事業に本格的に力を入れて、周辺の金融事業にも拡大。2013年生命保険、2014年ポイント事業、2016年スマホ決済、2018年損害保険までに至る。

2.楽天が金融業界を牽引する存在へ

 結果、フィンテックセグメント売上収益は2020年度は5762億円となった。

 気がつけば、金融業界の牽引役になっていたと胸を張る。1997年創業の彼らが、なぜ、それを実現させることができたのか。

 それこそが、経済圏の発想であると。他社にない要素として、買収して傘下に置いた個々の企業の可能性を金融で紐づけた。ここにある。すべての決済を楽天に集約し、それをそれぞれの企業の利用価値に繋げていくことで相互の関係性がより深く、一体で価値を生み出せるようになったのである。

 他にはなかったアイデアだから、イノベーションだと。確かにこうやってその後のベンチャー企業が日本の金融を席巻するなど、今から30年前、誰が予測できたであろうか。穂坂さんは自信たっぷりに語る。

 彼は自ら社長を務めるクレジットカードへの思い入れは強い。楽天カードがナンバーワンとなった今も、成長し続けている。他社と比較しても業界平均を上回る成長をしていることを背景に、未来を語るわけである。

3.トリプル3で金融面でも世界に名だたる存在感

 それが彼の言う「トリプル3」構想である。

 カード発行枚数は3〜4ヶ月で100万枚の発行のペース。

 この勢いで十分目指せる数字としては3000万枚。加えて、ショッピング取扱高も、現在の12兆円を30兆円にまで持っていくとする。実現可能だとする理由は、「日本全体がキャッシュレス化が進む」からだとした。

 そして、取扱高シェアも現在の21%を30%に増やして、十人に三人以上は使うようにしていく。それらを中期目標としたわけである。

 特にこの一つ目の「30兆円」は世界を視野に置くと、大事な数字だと説明する。

 クレジット取扱高は楽天カードは2019年で9.6兆円だったのが、2020年で11.6兆円にまで成長。十分目指せる数字だとしつつ、既にこの数字は欧州勢に迫るものである。

 30兆円となると、米国の4大銀行に割って入る大きさになる。楽天は金融面で世界に対しても強い存在感を示すものへと進化すると説くのである。楽天はこれからもイノベーターであると宣言したのだ

佐藤可士和さんが導く企業とアートの遭遇

1.楽天はクリエイティブにも光をもたらす

 変な話だけど、 Rakuten Optimism というイベントの趣旨は、多岐にわたる楽天のサービスを横断的にみていくという側面がある。上記のデジタルや金融の革命は多くの人の知るところであるから、逆にこのイベントの真骨頂はそれ以外に光を当てるところにある。

 その意味で、最後に、楽天のクリエイティブでの革命に目を向ける。出てきたのは佐藤可士和さんである。

 楽天 常務執行役員河野奈保さんがモデレーターを務め、彼とクリエイティブを語る。そこに同席したのは、ウェブデザイナーであり映像ディレクターの中村勇吾さん。最も印象的だったのは、佐藤可士和さんが中村勇吾さんに向けて言った言葉。

 「勇吾さんはプログラミングを絵の具のように使う」。

 プログラミングは本来、機械的で無機質。だが、中村勇吾さんの手にかかればこうなる。

 NECによる環境貢献サイトである。ユーザーが投稿メッセージを寄せるほど、それがひとつひとつの葉となって一本の樹木が出来上がる。プログラミングにアートのようなクリエイティビティをもたらした。

 上記は、インテリアデザイナー片山正通さん率いる「Wonderwall」のホームページ。かつて作った建築物の色合いを抽出してそれでWonderwallという文字で表現するのである。

2.佐藤可士和展でのクリエイティブの可能性

 この中村さんと楽天とのコラボレーションで言えは先日の「佐藤可士和展」である。

 同展の来場者が暗い場所で、映像を眺める。でもその映像は実は、その目の前にいる来場者のシルエットになっていて、全く同じ動きをするのだ。よく見ると、それらは文字の集積であり、そのシルエットを構成しているのが「楽天市場」でお客様が入力した検索ワードなのである。

 河野さんはその検索ワードは日頃、楽天市場で目に触れている馴染み深いもの。だから感慨深く、それを眺めていたと話した。楽天は自らのブランディングにおいて人を惹きつけるものとして、やはり、クリエイティブには価値がある。ブランドの持つその可能性を引き出すと共に、社会を触発して、自らの存在感を示す。

3.多面的な世の中に価値をもたらす、企業の成長とともに

 僕らの生活は実に多面的なものである。

 色々なフィルターを通して発見がある。楽天市場というところから派生して、自らが様々なジャンルへと垣根を超えて、進出していった楽天。だから、またその各ジャンルの魅力を横断的に指し示すことができる。

 だから、様々なジャンルがここに集い、色々な可能性がある事を皆で分かち合う。

 楽天で日頃関わる事業以外での他のグループ会社やチームなどが取り組む内容を知り、讃え合おう。実は色々な多面的な要素の中で、それぞれが可能性を発揮させ、今の革命へと繋がっていく。

 見るもの全てにまだ底知れぬ可能性がある事を気づかせてくれる。僕らも楽天的に未来を楽しくワクワク予測して、イノベーティブに行動的であり続けようではないか。

 今日はこの辺で。

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