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商品企画 の アイデア はどこから?1.5億袋突破 の健康食品 香醋 の誕生秘話 やずや理論vol.4

  やずやといえば、健康食品の先駆けであり、その特徴として“定期購入”と呼ばれる手法を取り入れた点にある。商品とオペレーターの対応のセットが「やずや」の真骨頂でありつつ、素材選定などにおいて、何を重視したのか。ヒット商品「 香醋 」の誕生秘話をもとに 商品企画 とアイデアの源泉について、やずやの大番頭、西野博道さんと共に考えてみた。

420万人 に支持された 商品企画 の アイデア

1.商品開発 の裏にあるのはお客さんの潜在的な「願い」

 商品開発でありがちなのは、成分ありきで、商品を出す事だ。例えば、とある成分に着目して、その成分が良さそうだから商品を作るという具合である。

 しかし「やずや」は成分から入らない。商品開発する上で成分より先に、お客さんを見据え「何を欲しがっているのか」を見極めることに細心の注意を払う。下の図を見てほしい。

やずやの考え方

 「欲しがっている」ことを知る為には、もっと大きな枠組みで、消費者が「何に一番困っているか」から連想することが大事。そこでようやく商品のイメージができる。素材は何にしようかとなるのはそこからである。

2.毎日摂取できる健康なものはお酢だった

 次に具体的なお客様の「欲しがっている」ものを考えよう。やずやのお客様で説明するならどうだろう。すると「健康に良いものは毎日少しでもいいから摂取して健やかに生き続けたい」。そんな気持ちが見えてきた。

そこで材料を挙げてみるわけだ。彼らが必要だと考えたのは「お酢」だった。

お酢は勿論、健康に良いもの。そうだとしても難点がある。それは「お酢」が酸っぱくて到底飲めるものではないからだ。

 実際、「りんご酢」などは存在していた。ただ大体が酸っぱいもので、それでは「毎日、飲むイメージ」と繋がらないのである。必然的に「酸っぱくなくて酢のような物」の実現を追い求めることになったそうだ。ただ西野さんの言葉が痛快。

「酸っぱくなくなれば、もうそれは酢じゃないんですよね」(笑)。

 結論から言って、現実的に見れば酸っぱくない酢なんてあり得ないと。だから、その開発は容易ではなかったけど、重要なのは「その時は存在していない」としても、やるべきだと彼らが考えていた事だ。

 お客さんの中に「それを欲する潜在的なニーズがある」と分かって作ろうとしているから、その姿勢につながる。むしろ、そのほうが世の中にない商品となり、独自性を持って受け入れられるのである。

3.酸っぱいまま、カプセルに入れればいいと着想

 だからこそ、アイデアは閃くものなのだ。彼らは気づくのである。「酸っぱくない酢を探そう」とするからいけないのだと。

そこで着想したのは「酸っぱい酢のまま、カプセルに入れればいい」ということ。

 ただ、カプセルに入れる為には、中身を粉末にする必要があった。そこで、市販の酢を蒸発させて、粉末にしようとしたものの、何も残らない。当然と言えば、当然。市販の酢は99.9%水分で構成されているのだから。

 そして、その企画は振り出しに戻るわけだが、追い求めるうちに光が見える。

 中国で粉末が作れる工場があることを知る。そこでは、まず酒を作りそれを籾殻に吸わせて、2年間、蓋をすると、粉末になるという形式を取り入れていたのだ。かくしてそれが「香酢」の原点となった。

 全てが繋がっている。ただ他で売れている商品を自分で作って提供すればいいのではない。そこには根拠が必要だ。それは店ごとに違っていて、何をフックにすれば、いいのか。そこを考え、商品を企画するのである。やずやで言うなら、「顧客の人生を共に歩むというシーン」である。自分達のお客様とのシーンを描けるか。そこが商品企画において、一番大事なことなのかもしれない。

今日はこの辺で。

関連記事:「やずや」が「健康補助食品」にこだわる理由 接客とセットに差別化する

(番外編)商品作るのに専門家にならないといけない?

 また、今回の取材には、今まさに「猫のサプリ」を作ろうとしている堀浩子さんが参加してくれていて、その質問がまた、この商品開発の核心を突いた良いものなので、披露したい。

1.全部を自分でやろうとしないこと

堀さんー私は、今自分の会社で、猫用のサプリメントを作っているのですが、西野さんたち「やずや」は今の話で言うと「酢」について深く勉強したのでしょうか?

西野さんーものづくりはものづくりの専門家に任せていますね。今更、私たちが勉強しても“なんちゃって専門家”なので、専門分野はその専門家の方に任せて、工場の人も含めてやっていくということですかね。だから、工場もうちが発注して、そこで終わりではなく、それ以後も、工場にお客さんのお便りもフィードバックするんですよね。

2.役割分担の重要さ

西野さんーお客さんは、こんな風に言っているよと。そこには、ものにまつわる専門知識に詳しい人や、管理栄養士がいますから。勿論、多少私たちも勉強しないといけないけど、ただ、1〜2年の知識であれば、お客さんの方が詳しかったりしますね。

堀さんーペットのサプリだと、サプリを作れる工場はあるけど、動物のペットを作れる資格を持っていなかったりするんです。栄養士でありつつ、ペットのことを考えられる人がいなくて、「だったら自分で勉強して、やるしかない」かなって思っていて。。。

3.専門分野は専門家に任せる

西野さんー堀さんでいうなら、まず、獣医と組めばいいですよね。獣医が猫の専門家ですから。

堀さんーうーん、、、

石郷ー堀さん、こういうことじゃないですかね?西野さんたちの一番の使命は「お客さんにとって一番の存在になる」ってこと。そのためには、別に自分が専門家にならなくてよくて、自分自身が誰よりも詳しい人との接点を持って、お客さんの窓口になっているということが大事であって。それは、自分自身が専門家になることじゃなくてってことじゃないかと思うんですよね。

4.お店はお客様との接点の役目を全うする

西野さんーそうですそうです。専門家にならない方がいい。自分のパートナーとして持っておけばいいんです。私の周りにはお客さんもいますし、専門家もいます。例えば、お客さんに何か聞かれたら、それをまた、その先生に聞いて答えた方がいいですよね。我々が生半可の知識で言うのよりは、ずっと信頼してくれます。

堀さんー今、まさに猫のサプリのサンプルとかを作っているのですが、市場のサプリとか食べさせたくないんですよね。じゃあ、それについて、自分で勉強するしかないのか、と思っていたんですけど、そうか。獣医さんと組めばいいんですよね。

西野さん〜そうです。知り合いの獣医も今度、ご紹介しますよ。

 このやりとりは核心をついていて、商品企画といえど、全部を自分でやることなく、適材適所で専門家を生かしつつ、自分のできることに集中して打ち込んでやればいいということを言っている。例えるなら、演劇みたいなもので、そこで配役を決めないと、そのそれぞれの役割の人は力が発揮できない。だから、通販会社は全体を見据え、お客さんの立場に一番忠実になって相応しい“配役”を自分で考えていくことなのである。

関連記事:オペレーターを支えたコンピューターの中身 “やずや CRM 基幹システム”で紐解く やずや理論vol.5

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