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映画 で咲く すみっコぐらし 短編アニメ制作プロの偉業

  テクノロジーの進化とともに、短尺映像が脚光を浴びている。とはいえ、短いなりに工夫が必要であることは言うまでもない。そんな中で、短編キャラクターアニメ制作のプロフェッショナル、株式会社ファンワークス(以下、ファンワークス)が「 すみっコぐらし 」というキャラクターを題材に60分の 映画 のアニメーションを手がけ、ヒットを掴んだ。話を聞いていると、そこには60分といえど、これまで培ってきた短編キャラクターアニメでの知見が生かされているが故の結果であった。

 タイトルは「映画 すみっコぐらし 飛び出す絵本とひみつのコ」。「すみっコぐらし」は、キャラクターの版権販売管理をおこなうサンエックス株式会社(以下、サンエックス)が生んだキャラクターで、日本人の「すみっこが好き」という気持ちがテーマ。今から7年前、キャラクターグッズとして展開がスタート、最近では人気キャラクターランキングでも常に上位。とはいえ、映画の挑戦はハードルが高いのではないかと思われた。

©2019日本すみっコぐらし協会映画部

 しかし、アスミック・エース株式会社(以下、アスミック・エース)により配給されたこの映画は、予想を上回る90万人の観客動員数で興行収入10億円を突破した(12月20日時点)。作品の内容は誰もが一度は触れたことのある、お馴染みの絵本のストーリーがベースにあって、わかりやすく、テンポよく物語は進行していくので、引き込まれ、大人も楽しめる。

アニメの長さに拘らぬ理由

ファンワークス代表取締役 高山 晃さん

 そんな中にあって、アニメーション制作を手掛けたファンワークス代表取締役 高山晃さんは、作品を振り返り、茶目っ気たっぷりにふとこんなことを呟いた。「アニメの尺の長さと、キャラクターのヒットというのはあまり関係ないなと思っているんですよね」と。今回の大ヒットはこの一言に集約されると言って良いと僕は思っている。

 まず、彼が最初、「キャラにおいて、尺の長さがそのヒットと特段、関係がない」ことを実感したのが、今から14年前ものこと。当時、「やわらか戦車」というキャラクターのプロデュースをしており、このアニメのサイズが実は1分程度。

 これまた「やわらか戦車」もユニークな作品で、当時、作者のラレコさんが言っていたのが一度聞いて忘れない「メロディ」を作れるかということ。その音楽に忘れられないキャラクターで、硬いはずの戦車が柔らかいというコンセプトにして、1分程度にまとめたもの。これが2話公開された段階で、Yahoo!トピックスに掲載され、100社以上の問い合わせを受けた。2分で100社以上の問い合わせなど、なんて経済効率がいいのかと。

 だから同社では、キャラクターのアニメ化の相談を受ける際「アニメの尺は短くていいんじゃないですか」と制作会社にあるまじき発言をして驚かせることもある。特段、短くなければならないというわけではなく、単純に「費用対効果と経済サイズ」の問題と高山さんは言っていて、それも尤もなのである。言われてみれば、誰だって、最初から予算を持っていないのだから、その少ない予算の範疇で制作費を抑えて、その中で極力、表現に拘ったものを数多く出せば良い。それを長いスパンでやり続ける方が、確実に、結果は出ると話す。

短尺に拘ったからこそ気づいた差別化要因

©2019日本すみっコぐらし協会映画部

 おそらくこの考え方の中で、ファンワークス流が醸成されてきたように思う。高山さんは「短い尺でキャラクターを動かすことは、漫画をアニメにするのとは全く違った作業なのだ」とも話している。

 つまり、漫画をアニメにすることは漫画のコマをベースとしながら全体のストーリーをいかに再現するかに力点が置かれている。だから、漫画からのアニメ化というのは、原作者がそこまで細かく関わることなく、アニメの制作全般がその制作会社に任されている。しかし、ファンワークスが考えるキャラクターアニメの場合はそれとは少し異なる。

 例えていうなら、キャラクターグッズなどは、商品化する際に、細かな監修作業をすることになっているが、それと似たような作業を、彼らはアニメ制作の中で行うのだ。要は、キャラクターがその世界観を正しく表現できているかを綿密にライセンス元と、逐一確認して見せる。時には動画でも、ライセンス元から、絵本風に水彩画のムラを出したいとか、アウトラインを鉛筆で描いた様に表現したいなどなどのアニメにおいてはかなり難題も寄せられるが、それを解決してきた。

かくしてキャラのアニメ化への信頼は生まれた

 ファンワークスは、まさにアニメの王道で使う表現技法をアレンジしながら、そのライセンス元の納得する答えを出してきており、そこに信頼を得られている。だから、キャラクターのアニメ制作の表現においては、短くとも何を表現するかに重きが置かれていたという着地に至り、高山さんの一連の発言に繋がっていくのである。

 これでわかってきただろうか。今回、「映画 すみっコぐらし 飛び出す絵本とひみつのコ」では、一年余りを要したが、そのうちの数ヶ月はそのキャラクターの再現の打ち合わせに時間を割いている。これも、私たちが作ったキャラクターが動いたらどうなるかということに対してのこだわりを重視している証拠であって、それが身を結んだというわけなのだ。

だから、胸打つ、感動する

©2019日本すみっコぐらし協会映画部

 制作にかかわったサンエックスやアスミック・エースは、だから、ファンワークスをパートナーに相応しいと組んだに違いない。単純に、アニメ映画を作ろうという代物ではなく、いわゆる世間でいうところの「アニメ映画」はそれ専門に任せていればいい。でも、サンエックスは彼らの描くキャラクターが、これまでの映画での表現のあり方とは違っていると悟っていたし、その「あるべき姿」を短編キャラクターアニメのプロフェッショナルであるファンワークスなら、できるだろうと託したのである。

 そして、それはファンに受け入れられ、このヒットに繋がって、成功した。現に、筆者も映画を拝見したが、終盤、本当に目が潤んだ。語弊を恐れず言えば、グッズから生まれたキャラクターで泣くとは思わなかった。でも、そのキャラクターの動きが伸びやかであり、それゆえ引き込まれ、豊かな表情一つ一つが感情移入しやすくさせて、気づけば、自分ごとでそのストーリーを受け止めていた。思わず「はて、自らの人生における居場所は何だろうか」と、感慨にふけるほどであった。

 だから、小手先のテクニックではないのだ。キャラクターの信念とそれに応えるプロフェッショナルが織りなす、映画のクオリティがファンの胸をうったのである。ヒットには必ずそれを裏付ける想いと情熱と理由がある。パンフレットを手に、ラストの感動的なシーンに浸っているうち、もう一回観に行きたくなった。もうこの作品は、キャラクターの可愛さだけを表現したのではなく、心温まる感動物語であって、すみっこなんかにいないで、ど真ん中で、胸を張っていいくらいに、素晴らしい作品に仕上がっている。

 今日はこの辺で。

(145編集室から追記情報!)ファンワークス の高山 晃さんは、第89回東京インターナショナル「ギフト・ショー」で、2/6 10:30~11:30、「ブランディングとしてのキャラクターアニメーション」と題して、講演することが決定。

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