【ギフトショー2020】スマホとキャラクターが生む新日常——雑貨市場の拡大とクリエイティブ

AirPodsなどの登場でキャラ雑貨にも広がりが
スマートフォンが普及したことによって、関連アクセサリーのニーズはますます拡大している。ギフト・ショー2020 春でもその傾向は顕著。株式会社グルマンディーズのブースには、スマホの背面に貼り付けて落下防止に使う“ポップソケット”のようなアイテムがずらり。指を通して使いやすいリング型アクセサリーと違い、表面をフラットにすることで、机に置いた時にグラつかず安定するのが特徴である。

さらに、ワイヤレスイヤホンが市民権を得るにつれ、AirPodsの保護ケースやストラップなどが盛り上がっている。そこにキャラクターのデザインを掛け合わせることで、機能性だけでなく“見た目の楽しさ”もプラス。お気に入りのキャラクターを持ち歩けるというメリットが、ユーザーにとって大きな魅力となっているのだ。
キャラクターといえば、「モンチッチ」の友達・チムたんのブースが強烈な印象を放っていた。ブースがピンク一色に染まっており、思わず目を奪われるほど。実際に原宿のカフェとコラボも行われる予定で、カフェ限定商品の販売やメニュー開発が進行中とのこと。
王道のキャラクターとカフェ文化、さらにSNS映えを意識したアーティスティックな演出。これらを組み合わせて、新たなファン層を開拓しようという狙いが感じられる。

スヌーピーで読み解く雑貨トレンドの拡大
・耳がぴょん!素材を活かす可愛さ
そして、キャラクター雑貨の王道と言えるのが、世界中で愛されている「スヌーピー」。ギフト・ショーでもスヌーピーグッズを展開するブースが複数見られましたが、中でも印象的だったのが、株式会社ナカジマコーポレーションの“耳ぴょんぬいぐるみ”である。
足元のボタンを押すと、スヌーピーの長い耳がぴょんと動く仕掛けがあり、その愛らしさが子どもだけでなく大人の心もくすぐる。SNSで動画をシェアすれば、瞬く間に“いいね”が集まりそうなギミックだ。

さらに、同社は70年代当時の“ビンテージヌイグルミ”を再現したシリーズも手がけていた。ややオフホワイトのカラーや足裏に入ったライン、レトロ感あふれる表情など、現代的なスヌーピーとは一味違う味わいを楽しめるのがポイント。
・PEANUTSの世界観を深掘りするグッズ達
これは、長年培われてきた「PEANUTS」の歴史そのものを商品に落とし込んだものと言えます。昔からのファンにとっては懐かしく、若い世代にとっては新鮮に映る絶妙なデザイン。ここでも“過去の遺産”と“今のトレンド”を掛け合わせることで、新たな魅力が生まれているのである。
また、スヌーピーとコーヒーブランド「INIC coffee」のコラボも見逃せない。INIC coffeeを手がけるパウダーフーズフォレスト株式会社は、特殊な瞬間乾燥技術を使った微顆粒パウダーにこだわりを持ち、その上質さが大人のファン層を惹きつけています。そこへスヌーピーの持つ“ほっこり感”や“どこか上品なイメージ”が加わることで、キャラクターコラボとは思えないほど落ち着いたテイストのパッケージに仕上がっていました。コラボ先のブランドイメージが互いを高め合う好例と言えるだろう。
スマホアクセサリー、ぬいぐるみ、飲料など、ジャンルは違えど、“愛されるキャラクター”がプロダクトの世界観を広げる効果は絶大。
さらに、SNSや動画サイトを通じて拡散されやすい仕掛けがあると、多くの人の目に触れて一気に話題となることも少なくない。これはキャラクターが持つストーリーと、デジタルツールを活用したプロモーションの合わせ技とも言えよう。
SNSを巻き込み広がる時代
・老犬ゆえのゆるい生活で話題
さらに、インスタグラムでの4コマ漫画という手法で人気を博した「パンダと犬」の事例を見ると、キャラクターコンテンツのヒットルートがテレビアニメや映画だけではないことを再認識させられる。
作者のスティーヴンスピルハンバーグさんは、インスタグラムの「同時に4枚写真を投稿できる」という機能に注目し、“1~3枚目でストーリーを展開し、4枚目でオチをつける”という現代版4コマ漫画の形式を確立した。
物語のテーマは、老犬とのゆるい日常。高齢ゆえに手がかかる愛犬とのやり取りを淡々と描く中に、哀愁やユーモアがバランスよく織り込まれており、見る者の心をぎゅっと掴みます。テレビや雑誌などのマスメディアが取り上げる前から、SNSを通じてじわじわとファンが拡大。
書籍化やキャラクターグッズ展開へとスピーディに発展したのは、まさに新時代ならではの現象だろう。
・ブレイクの背景も多様化
こうした流れは、今後さらに加速する可能性がある。SNS上で生まれ、短期間で注目を集めたコンテンツが、多方面とのコラボレーションを経て大きく飛躍するケースは珍しくありません。スマホが日常の一部となった今、“面白い”や“かわいい”と感じた瞬間を手軽に撮影・拡散できるため、ヒットの兆しを捉えやすいのである。
そして、そのキャラクターがスマホのアクセサリーや雑貨として商品化されれば、ファンの日常生活にさらに溶け込んでいくことになります。まさに、“デジタルとアナログ”の双方を取り込んだ新しい日常の形と言えるだろう。
このように、キャラクターやコンテンツがブレイクする背景は多種多様。
スヌーピーのような長寿キャラもあれば、パンダと犬のようにSNSから爆発的に人気が出るケースもある。
共通しているのは、どちらもファンの心に響く物語やイメージを持ち、それを時代のツールで上手く伝えていること。テレビアニメや映画だけが成功への近道ではない今、こうした新たな可能性をどう活かすかが、次世代の雑貨市場やキャラクタービジネスの鍵を握っているのではないだろうか。
今日はこの辺で。