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全てはお客様が教えてくれた “楽天 SHOP OF THE YEAR 2023”

 その涙にどんな意味があるのだろう。僕は、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2023(SOY)」にやってきて、表彰されている人たちを目の前にして、そう思っていた。それは、恐らく、今まで人知れず、積み重ねてきた地味でも、地道な努力の証なのだと思った。その努力の裏側には、やっぱりお客様の存在がある。受賞した店舗の幾つかに、たずねて返ってきた言葉を通して、尚更、その思いを強くするのである。

一年の努力を讃える「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」

1.結果を出す本質的理由はどこに?

 「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2023」は説明の余地もないが、「楽天市場」の57,000に及ぶショップから年間のベストショップを決定するものである。

 これは「お客様による得票数」「2023年度の売上、注文件数」などを主な基準として、年間の総合順位を決める総合賞。そして、各ジャンルごとに、決めるジャンル賞、各種サービスに秀でたショップを決めるサービス賞、特別賞が選ばれることになっている。

 どこが受賞したのかは、最後に触れる。毎年恒例だが、ここに集まる店舗の多くが共通して、結果を出すその要因はなんだろう。それを書き記したので、それを踏まえて、順位を読んでいただくと、真実が見えてくると思う。

2.努力は実った 18年目にして初のカテゴリー賞

 例えば、この三好漆器の代表取締役三好佑紀さんは、出店してから18年の時を経て、カテゴリー賞を受賞した。(キッチン用品・食器調理器具ジャンル)。三好さんの言葉から痛感したのは、順風満帆でこの地に足を踏み入れる店ばかりではないということ。

 シンプルに「買ってくれるお客様がいる以上は、やり通す」。彼の家業は漆器を扱うお店であり、わっぱ飯などの容器を販売していた。しかしながら、「最初の10年は一人で、楽天市場のお店を、運営していました」と、苦労の末にたどり着いたことを匂わせた。じゅ、10年?と繰り返す僕、「はい」と人懐っこく笑顔を浮かべる三好さん。

 思えば、最初の頃は家業が主力。ネットはあくまでサブであった。日の当たらない場所でコツコツと誰からも言われることなく、受注と出荷を続ける日々。

 でも、それが本格的に変わったのは、ほんの数年前だそうだ。

 ただ、過去からすれば、何か神風でも吹いたように感じられるわけだが、その神風ですら、積み重ねの上に成り立つのだと気付かされる。彼曰く、はじめのうちは無我夢中。何が何だか、わからなかった。でも、ひたすら、先ほどのように、寄せられる受注に向き合っていると、お客様のニーズが自然と体に染み込んでくる。

3.積み重ねたものがあったから一気に開花した

 10年かけて、彼とお客様との関係に必要な要素や知見はそこで、“熟成”されたのである。例えば、ギフト需要の多さに気付けば、自ずと、段ボール箱の中の見せ方は、開いた瞬間の見栄えにこだわるようになる。一つ一つの施策は、いわば、お客様に教えられたようなものだ。

 だから、数年前に、一大決心して、社員を雇ったことで開花した。

 サイトデザインを外注から内製にしたことで、店としての表現力が上がった。自分たちの良さと売り込み方がわかっているから、自分たちでサイトの表現もどうあるべきかが見えている。あとは、それを伝わるかどうかを検証していくわけで、そのPDCAを随時、回すにはスタッフの増員は最適な決断であった。

 作業一つにも緩急の付け方がわかっている。だから、仕組み化も徹底できる。乾いた川の道筋に、清らかな水が流れ出すように、人員の配置が的中。売上が向上して、ついにはSHOP OF THE YEARの晴れ舞台に登るまでになった。気がつけば、家業の方が下降を辿っていたから、彼らが会社の看板となった。

 改めて、コストを抑えて挑戦できるネットの偉大さであり、逆を言えば、だから然るべき時に投資ができた。また、数ある売り先の中で、まず「楽天市場」というマーケットとしっかり向き合ったことで、自分の立ち位置を確立したことの功績は大きい。千里の道も一歩から。かくして10年に及ぶ苦労は報われたのである。

やれることから地道にやっていく

1.地道な一歩が掴んだ華やかな栄冠

 同じくカテゴリー賞を獲った「フリーライフ」も地道に積み上げてきた。(寝具・ベットファブリックジャンル)。取締役専務の鄭さんは大事にしてきたことについて、こう述べる。「欲しいタイミングで、欲しい商品を、すぐに出荷していくこと」。極めて当然かつシンプルな話である。けれど、その事業の歴史を紐解くと、彼らの成功につながるヒントがそこにはあった。

 「創業当初はキャリーケースを売っていました。けれど、工場からの提案で「ラグマット」を扱うようになって、店の命運は大きく変わったのです」。

 3年ほど経過したある日、商品ラインナップを大幅チェンジしたのだ。とはいえ「ラグマットだから売れたのね?」。そう言ってしまうと、本質からズレる。

 彼ら主導で、最初こそキャリーバッグを売っていた。けれど、実際、工場には得手不得手がある。ここで気付かされるのは、誰と一緒に商売をしているのかという視点。彼らの向き合う工場であれば「ラグマット」が自ら店としての差別化要因を打ち出せる強力な武器だったのだ。工場の声により、そこに気づけたことが大きい。

 また、問屋を挟まず、メーカーとして、ダイレクトに必要なお客様に提供できる。この構造的な部分も彼らにプラスに働いている。つまり商品も大事。だが、どんな構造でどういう仕組みでまわしていくか。そこも大事なのだ。つまり「ヒットするかどうか」。それは事前の準備で決まっていることを示す事実でもある。

2.価格によって新しい生活シーンを生み出した

 まずは価格面で、ニーズに応えられることを発見した。だが、これが「安ければいい」と言うわけでもない。実はラグマットの多くは、何万円もするのが常識なのだとか。だけど、彼らは1万円以下でそれを提供できたのであり、大事なのは、そこに新しい価値が生まれたこと。

 価格が安くなれば、ラグマットの使い方が変わるわけだ。要するに、安い分だけ、季節ごとに変えていけるのである。季節ごと、気持ちをリフレッシュしたいユーザーの間で、買い換えるという需要を創出したのである。ここまで来れば、文化である。

 だから、通常のラグマットよりも、リピーターが生まれやすくなって、顧客も固定化していく。結果、店としての安定収益を確保できるようになって、それは、きめ細やかな商品開発が生かされることになる。

 つまり、シーンが絞り込まれれば、仕掛けも、デザインも、その方向性が固まってくる。最初はそれこそ、社長が一人で運営していた。しかし、その大枠が決まってくれば、シンプルだけど「目標を立て、それを達成する為には、何人スタッフを雇えばいいのか」。その大事さを強調する。土台固めを終えてから、どうスケールするかを考えた。目標あってのものだし、その地道さが受賞につながっていると振り返る。

 そしてこの言葉につながる。「お客様の求めるタイミングで、欲しいと思う商品を届けることを追い続けてきた。ただそれだけです」。シンプルだけど、重みがあるではないか。

感性とシーンと結びつきには意味がある

1.まさかここまでお店として成立するとは・・・

  このお店も「楽天市場」らしいなぁ。そう思って聞いていたのが、「手作り工房MYmama(エムワイママ)」である。(日用品雑貨・手芸・旅行用品ジャンル・カテゴリー賞受賞)。そもそも手芸のお店ではなかった。代表取締役 蟹江幸子さん自身が、編み物をして、その作品をヤフオク!で販売していたのが最初。ただ、僕が思うに、そのイズムは今のこのお店の礎になっている。

 それを考える上で、少しその歴史に触れてみるとしよう。遡ること、15年以上前、そのヤフオク!を契機に、楽天市場でも売ることとなり、それが派生して、その編み物の作品で余った手芸用品を販売し始めた。ただ、個人的な感想を踏まえれば、そこには女性的な感受性豊かな発想があると思った。

 ここがこのお店の勝負の分かれ目だと思っていて、彼女はその商品ラインナップで、そのしなやかな感性を発揮した。彼女自身が手芸をするユーザーであることから、こう考えたのである。

 「今の私であれば、こういうものを編みたい。だから、お店には、この手芸用品があればいいだろう」。

 つまり、作った場面から逆算して、商品ラインナップが組まれている。だから、結果的に、生産性の高い品揃えになったわけだ。しかも、家庭の環境などを常に頭に入れている女性が多く利用していれば、自ずと予算も気になるわけだ。「こういう編み物をしたい」という気持ちの中には、商品に限らず、予算も入っている。価格もセットで、それを考えてこそ、ユーザー目線である。

2.売ろうとするのはなく、作ってもらおうとする姿勢

 だから、最初こそ、仕入れの商品も多かったが、それでもわざわざ海外まで、出向いて仕入れた。だって、どれだけ品が良くても、それが予算に合わなければ、買いたい気持ちにならないでしょ?と。

 至ってシンプルだけど、ユーザー目線から逆算して、何を仕入れるかが分かっているからこそかなとも思う。商品が絞り込まれているから、何をどれだけ、安く仕入れればいいかも明確なはず。それゆえ、身の丈に合わせて、勝負をかけて、成長できたのだろうと予想できる。

 感性を重んじることで、生産性の高い経営を手に入れたわけである。

 そのアプローチが的確であればあるほど、お客様がつく。だから、SOYの受賞は3度目だけど、そのうち二回は広告を使っていないと語っている。

 おそらくリアルの店舗からでは到底生まれない、楽天市場らしいお店だと思った。それも今では、立派なお店である。それはさらに進化する。仕入れだった商品群は自らのオリジナル商品へと変わっていく。糸からアイロンまでありとあらゆるものを自社製造にして、オリジナル商品として販売した。

 それができるのは、楽天市場だけでまとまった受注が得られるだけの「販売力」があるからと蟹江さんは語る。それによって、原価が抑えられれば、先ほどの消費者の求める価値に近づける。

 結果、楽天市場というマーケットのお客様を理解することで、作り上げた仕組みは、楽天に依存しない自分なりの感性があってのこと。ここが面白いし、深くて、学びのある姿勢である。

千里の道も一歩から

1.地道な過去の一歩が華やかな現実を生む

  おわかりいただけるだろうか。語弊を恐れずいうなら、その行動に派手さはない。

 楽天市場に流れる共通の人間臭さは、中小零細と言われる人たちをもう奮い立たせたからこそ。カテゴリー賞を受賞した彼らの言葉からもそれを感じとっていただけたのではないか。ゆえにこちらは10位:ソムリエ@ギフトの受賞の様子だが、店舗運営が、人生そのもの。こんな風に涙を流す店舗の人もいるのはうなづける。

改めて受賞した店舗を列挙しよう。

1位:ヤマダ電機 楽天市場店

2位:SuperSportsXEBIO楽天市場支店

3位:サプリ専門SHOP シードコムス

4位:Z-CRAFT

5位:アットコンタクト

6位:リカーBOSS 楽天市場店

7位:FANCL公式ショップ 楽天市場店

8位:アースコンタクト

9位:野球用品ベースボールタウン

10位:ソムリエ@ギフト

2.きっかけ次第で、人も企業も未来に向かって変貌できる

 共通して言えるのは、受賞者の多くは、楽天市場という場所で、お客様との触れ合いが生まれたことで、水を得た魚のようにイキイキとしていること。そして、お客様とのやりとりが、結果、背中を後押しされるようにして、歩くことになり、見える景色が変わっていった。そういうことだと思う。

 不思議と、一位を受賞した「ヤマダ電機 楽天市場店」の言葉もまた、それを示していて、感慨深く聞いていた。「35年前、商売を始めた時、お客様から教わったことが今の私の基礎になっている」。

 そして、こう続ける。「店にある商品は、すべてのお客様が扱うものだから丁寧に大切に。それが小売業者としてのスタート」。お客様の存在が、どれほどまで、店や人を変えるのか。それが伝わってくる。

 そして、彼らの言葉は同時に、聞くものの背中を後押しする。SuperSportsXEBIOが「5年前は想像もしなかった」と語るように、今がどうであれ、変わることもできるのだ。

 改めて、言いたい。それは、華やかで歓喜に湧くこの舞台は、人知れず、積み重ねてきた地味でも、地道な努力の証なのだ。そして、その努力の裏側には、やっぱりお客様の存在がある。ここは2023年の集大成であり、讃えあい、そして、2024年の始まりを告げる。さあお客様と共に、変貌しよう。店に関わる全ての人の人生をポジティブに変えていこう。

今日はこの辺で。

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