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モバイル躍進 多様化するECに備えよ 三木谷氏の考え Rakuten conference 2021

 先ほど、楽天は「 楽天 新春カンファレンス 」を開催。代表取締役会長兼社長 三木谷浩史 さんが講演を行った。楽天という会社を動かし、三木谷さんなりに作り上げて行った世界。その中にはコロナ禍にも負けない小売店の在り方が存在するのも事実。そんなわけで、彼が探求する先には、変化する未来がある。

カンファレンス での恒例 三木谷 氏 の 考えていること

1.急激なデジタルシフトの追い風を受けて

 話を聞いていて感じることは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う急激なデジタルシフトに関しての動きである。12月の流通総額は前年同月比約50%増で、その成長が進んでいることを明らかにした。そして、その動きはコロナが収束しても必ずや定着していくと胸を張った。

 まず最初に言及したのが、リアルとネットの融合だ。リアルのお店で商品を買いに行っても、スマホで蓄積したポイントをきっかけに来店。あるいは、スマホ上でそのレコメンドがなされたりする。そんなデジタルを起点にしてリアルの生活が存在する時代になっていく事を示唆。最近の「楽天ファッション」でのオムニチャネルを想定しての発言のようにも思える。

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2.彼が思う「デジタルの意味」とは

 三木谷さんが口にしたのは「デジタルの意味」だ。従来、デジタルの位置付けは「効率化」であった。だが、今ではその扱われるデータの量がリッチに(豊富に)なってきた。つまり、デジタルのフォーマットそのものが変わってくる。だから、単なる効率化でデジタルを語ってはならないということなのだ。

 これまでで言えば、検索して価格を比較して、というようなことであったところから、音声などを用いたものが増えることへの予感である。

 また、合わせてライブ配信などを通した接客も当たり前になるような時代を予見してみせた。その一例として、中国でのライブコマースの成長ぶりに言及し、確かに下の写真にもある通り、急激に成長している。

3.モバイル重視の世の中へ

 そして、今やパソコンでの利用者よりも、スマホの利用機会が増えてきている。元旦での「楽天市場」の利用率はスマホがパソコンの利用を凌駕した。さらに、流通総額は86.5%。訪問比率は9割である。モバイル化は無視できない状況。だから、楽天としても「楽天モバイル」強化の必然性を述べたわけだ。

 モバイルというツールを手に入れ楽天は何をするのか。まずは「rakuten LINK」というアプリに集約して、その中では、通信、SMS、メッセンジャー、ファイルの転送などをここで行う。それとともに、あらゆるコミュニケーションに楽天経済圏を絡ませると明らかにした。

モバイルが楽天の成長の肝となる

1.デイリーでの接点を生み出す拠点

 いずれにせよ、モバイルは経済圏とのデイリーでの接点を作る目的なのだろう。これが楽天市場にも影響をもたらしていく。それを数字で示すものとして「楽天市場」とのクロスユース率をあげた。今は5割だが10割にしていくと宣言したのである。

2.ネットの強みを経済圏の成長に活かす

 彼らの強みはまさに「経済圏」にある。成果はこのコロナ禍において顕著になっていて、例えば、楽天トラベルがそう。楽天のIDでつながっていることが、利用を後押しする要因になっている。

 つまり、リアルでわざわざJTBなどの旅行代理店を活用することもない。それは、日頃、接点を持つ楽天IDを通して、ネットですぐアクセスできるからだと。だから下の写真の通り、既存の旅行代理店よりより取扱高が高くなっていることを強調したのだ。

2.ネットの強みを活かして経済圏は成長する

 これ以外にも、三木谷さんは楽天カードの伸長をあげている。2100万枚に及ぶ楽天カードは、コロナ禍でも依然として強い。通常のクレカはリアルでの利用を主体としたクレジットカード利用である。それに対して、楽天カードはデジタルに強いユーザーが多い。だから、そこに彼らとしての差別化要因があるとした。

 これもカード然り、あらゆるサービスがデジタルに紐づいているから、自然に楽天のあらゆるサービスを使いこなす。これがあるから、どのサービスでも、その落ち込みはリアルのダメージを考えることなく、最小限に食い止められている。

 一方で、それらの強みは経済圏で効果が発揮される。会場内に集まる店舗に対して結局、「楽天市場」に戻ってくる。そう明らかにして、根拠として12月の実績でを挙げた。50%程度増加であると。

3.ユーザーを最大化させる楽天市場の在り方は?

 だから、それらを一手に受け止める「楽天市場」は重要。店にも協力を求めて、一緒に盛り上げようと。そのために、店舗の魅力とユーザーの利便性を共存させたいと熱っぽく語る。皆さんの個性を重んじつつも、統一感を大事にして、ユーザーの使い勝手を良くしたいのだと。そこに絡むものとして「送料無料ライン」をあげた。

 今や導入しているのは90%弱。多いというだけではなく、導入している店舗で成果が出ていると。具体的には、25ポイントの上昇である。今後、この「統一性」は強みとなる。ある一定の共通化に関しては、店舗の協力なしには得られないから、彼はそこを強調したわけだ。

 物流のインフラに2000億円投資しているのも、そうだ。お客様の利便性向上は勿論、宅配クライシスと言われた配送価格の高騰に待ったをかける抑止効果があったと説明。店舗にとっても少なからずその分のコストを一定抑える事は利する部分があったのではないかと。

 自らの物流の利用の幅も広げることが彼らのデジタルな視点が、最大化される。また、物流業界としての根本的な解決につながって、まわりまわって店舗に価値をもたらすことを明らかにしている。

三木谷浩史のその先には・・・

1.彼の力強い行動力

 三木谷さん自身、今の時代を掴もうとする意欲は感じる。持ち前の行動力で近づき、その要素を味方にして、楽天経済圏に結びつけていく。これまでもこれからも、彼の見通す世界がキーとなり、行動へとつながり、店への恩恵ももたらすのだろう。

 コロナ禍でリアルとの接点が失われている。それだけに、全てのサービスがネットに直結している楽天なりの強みをいかにして訴求していけるか。今のうちに、楽天経済圏に導くことができるか、ここが勝負だろう。

 また、導かれたユーザーを楽天IDきっかけで横断的に他のサービスへ促す土台を作れるか。ここも大事なポイントであり、だからこそ、今は楽天モバイルの利用を促す。それは、デイリーで接点を持たせようとしているからであり、積極的な動きは、その裏返しである。

2.モバイルは安定収益を店にも楽天自身にももたらす

 モバイルという武器を手に入れることで、より5Gなどのデジタルのインフラに近づいていくことだろう。そして、キャッシュレスではなく、ゼロキャッシュの世界へと向かう。そう三木谷さんは述べる。

 全てはデジタル上で物事が完結するような世の中を推進していく。それこそが、彼らの強みを発揮し、また経済圏を強化する。いずれゼロキャッシュのインフラにも参入するその時が来るのかもしれない。

 バンカーとして紙幣を扱って、企業の成長を担ってきた三木谷さん。そんな彼が、今自分の事業で、デジタルでお金を扱って、グループ内の企業の成長を担い、人々の価値を与える。彼の話は自らの常識を覆し、世間の常識も覆して、意気揚々と明るい未来を照らし続けている。

 今日はこの辺で。

 

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