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中小企業の味方であれ そして、企業がEmpowermentする世の中へ。 ECX誕生秘話   

 昨今、eコマースは一般へ浸透した。ただ、それと引き換えに、その運用は複雑になり、難しいものになりつつある。全国の中小企業が誰でも参入できて、その可能性を発揮する。その中で、ネットの可能性があったはずなのに。そんな時代だからであろう。グリニッジと日本ECサービスは、ECXという会社のもとで、グループ経営体制を発表したのだ。主に得意とするモールでの成長を軸にしながら、ECを通して、全国の中小企業の発展を担おうと意気込んでいる。

黎明期から始まっていた

1.誰でもECで事業を拡大する時代へ

 改めて、彼らの過去に迫ると、eコマースの黎明期から、店舗の近いところで事業をやってきたのかがよくわかる。

 グリニッジの代表取締役 田中裕之さんにおいては、元々テレビ業界にいて、通販部門を任されていた。手書きで伝票を書いてやるところから始めていたが、そのうち、自分で本を買ってきて、Macでプログラミングをしながら、運営していたとか。

 自らも運営経験があるから、いつしか店舗の集まりに顔を出すようになる。色々な悩みを話し合う中で、それがシステムによって解決できるものもあった。それで「そんなの、田中ちゃんにシステムをつくってもらえば解決するよ」。そう後押しされたという。

 それが自分のところだけではなく、他社の店舗のための仕組みを作り始めた所以。歴史を感じさせるエピソードである。そんな彼らの今の事業についても、もう少し、具体的に、説明してみよう。

2.守りと攻めの両面からアプローチ

 グリニッジで代表的なのは「らくらくーぽん」である。楽天市場のレビュー対策のツール。例えば、低評価がついたとしても、それを通知してくれる。要するに、楽天市場内のガイドラインに沿ったレビューを管理するべく、作られたものである。

 リスクヘッジとしての使い道もある。というのも、昨今、取り締まりが厳しくなった楽天からのペナルティの心配が店から軽減されるからだ。ただ、どちらかと言えば、それで使いこなせば、使いこなすほど、その利用価値が高まることに僕は意味があると思う。

 当然、利用店舗が増えれば、グリニッジに寄せられるデータは増える。それに基づき、成果を上げている店舗の傾向を分析できるわけだ。だから、そこに基づき、下記の写真の通り、具体的に効果が出やすいものを「おすすめ設定」としてまとめるようにした。

 例えば、通常のメール・クーポン配信だけではなく様々な設定を行い、レビューキャンペーンをPRしている店舗は、レビュー投稿率が高い傾向にある。告知をし、それを利用しやすい形をとることで、そこへの進捗を確認。店舗は可視化されることで注力しやすくなり、成長を描きやすくなる。

 守りのツールでありながら、使いようによっては攻めのツールにもなる。だから、イーザッカマニアストアーズ、漆器かりん本舗などの老舗かつ有名店舗が使っていることからも分かる通り、その信用度は高い。

3.誰でも参入できるからこそ必要な健全性

 さて、一方の日本ECサービス代表取締役 清水将平さん。先ほどの黎明期の頃から、実は、田中さんとは面識はあった。でも、一緒にやろうという機運はなく、まずは自分の事業に打ち込むことに精を出していた。清水さんは楽天出身であり、その知見を活かしてコンサル業務を行っていたのだ。

 そして、2014年に店舗によるコミュニティ「ECマスターズクラブ」を立ち上げる。面白いのは「なぜ、それを立ち上げたの?」という質問への彼の返答。

「当時はツールを年間契約で法外な金額で売りつけるなど、いわゆる“ぼったくり企業”が多かった。それを駆逐したかった」。

 当初、20社ほど、コンサルティングでお金をとっていたが、その視点を思い切り転換した。つまり、コミュニティにすることで、彼の中にある主にマーケティングの専門的知識をそこでのセミナーでシェアしていき、店舗の数を集めていく方へと舵を切るわけだ。

4.熱気を帯びたセミナー会場

 「ちょっと見ていってくださいよ」。清水さんにそう促されて、行ったのは、セミナー会場。東京・渋谷での会場で、用意された席は埋まっており、出席率の高さが窺える。これが通常のセミナーとは意味が違うことはお分かりいただけるだろう。本当に勉強をしにきているのだ。

 つまり、清水さんがそれをコミュニティにすることの意味は、この熱心な彼らの姿を見れば、一目瞭然。一社一社コンサルをするより、もっと多くの人に健全な学びの機会を提案することに意味がある。それに触発されてか、日本ECサービスのスタッフの表情も思いの外、明るい。

 日本ECサービスのスタッフが満面の笑みで優しく迎え入れると、緊張した面持ちの店舗の表情も和らぐ。「彼らは弊社のYouTubeにも出演しているので、生で会えることにちょっとした感動を抱く店舗もいるんですよ」と清水さん。なるほど。

 いまや6,600社(有料会員2,500社)と楽天市場の出店者の10社に1社が利用するほどにまで至った理由がよく分かる。もはや一大勢力である。

4.モールの外側からモールを支える

 つまり、彼らが考えたのは、モールの“外側”からそれらのモールを活用することによって、日本の中小企業が志を持って立ち上がる支援をしていくこと。そこで共通している。同時に、ECXとして手を組むのには、絶妙なタイミングでもあるとも思えた。

 というのも、昨今、たとえモールといえど、顧客が多様化して、求められる機能が増えた。顧客満足度という名のもとに。でも、運用はその分、複雑を極め、個々の店舗ごと、何をすればいいのか、先行きが見えづらくなった。

 こういうタイミングこそ、寧ろ、危険だ。ある意味、黎明期での迷いに近く、その頃に比べれば格段に減少したけれど、ぼったくり企業は存在しているのは、藁をもすがる店舗の実態を受けてのことなのだ。

 だから、彼らは手を組む。お互い、モールを生かして、成長するノウハウやツールがあるなら、手を組んで、わかりやすい土壌を作れば、それが“あの時”と同様に悩める店舗を救う手立てとなる。

融合することによって生まれる価値

1.もっと事業者に近いところで“ツール”も“議論”も

 それで、今回の連携を機に、日本ECサービスのLINE配信サービス事業「LSEG」をグリニッジに事業譲渡。「ECマスターズクラブ」の会員サポート事業と「らくらくーぽん」などSaaS事業を事業領域を明確に分けることで、シナジーの最大化を目指す。

 田中さん曰く、自分たちはツールを提供してきて、そのアップデートに努めてきた。自分たちが価値を還元できるとしたら、店舗に近いところで必要な声を吸い上げてこその話。その意味で「ECマスターズクラブ」の存在は魅力的に映った。

 清水さんも、長年見てきたからグリニッジのツール開発力は一目置いている。自らの「ECマスターズクラブ」で実態に見合ったツールを提供していけば、これまで以上にそのコミュニティ内での解決策に多様性が出て、あらゆる店舗の悩みに答えられると説く。

2. モールがあってこそのビジネスだがそれも大事な役目

 改めて、二人の話を聞いていて思ったのが、モールというのは“道筋を作る”ということ。たとえば、昨今話題になった楽天市場の「SKU施策」などもそう。それは仕組みとして、時代に合わせて新たな道筋、いうなれば「ルール」を作っているに過ぎない。

 時代によって求められる「ルール」は異なる。だから、その時代において、モールは次々、アップデートする。なぜなら、そうすることが、その時代を謳歌するお客様の利便性を向上させるから。

 その中にあって、彼らが必要とされる理由はどこか。それは、彼らがそういう「ルール」に対しての「参考書」だからなのだと僕は思った。

 学生時代を思い出してほしいが、学校の授業だけでは理解が及ばなければ、「教科書ガイド」や「参考書」が存在して、それを読んでいたはず。

 例えるなら「らくらくーぽん」は「参考書」であり、「ECマスターズクラブ」は「寺子屋」のようなもの。彼らの真骨頂はそれらが両方、補完し合いながら、参考書を片手に学び合うことなのだ。どちらか一つではなく、両方合わさって価値を形成する。だから、ECXである価値が出てくるわけだ。

3.より実務的に、そして企業の価値を迷わず高い方へと導く

 ある意味、清水さんの言っていることは、興味深くて、楽天市場には頑張ってもらいたいと。自らが楽天の出身であり、その理念も含めて理解している。だから、それがもっと多くの中小企業を伸ばすことになると信じている。自分たちにできるのはその最大化であり、それが店舗に求められていると。

 極論、もっと楽天市場を使い倒してもらって、中小企業を救いたいのだというわけだ。そして、今までその外側からサポートしてきた。けれど、二人は、「直接的にモールに対して意見をできるくらいの存在になりたい」そこまで踏み込んで発言した。“外側”から“ど真ん中”へ。

 なぜなら、それがやっぱり店舗の成長にとってプラスになるからだ。だから、ECXのEはECのEかと思いきや、それは違う。実は、empowermentのEである。店の発展にこそ、彼らの本意がある。

 なるほど。確かに、グリニッジのこの面々。いい表情ではないか(笑)。活力に溢れている。それは正真正銘、店舗に対してその力を最大限発揮する一助になりたいという想いが起点となっているからだ。この二社の思いは、考える以上に、純粋かつ真摯なものだ。

 中小企業の味方であれ。中小企業がもっと輝く世界へと、彼らは手を取り合ってひた走る。

今日はこの辺で。

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