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広報さんと巡る #ワークマン女子 で女性が 熱狂する理由

 少し時代にギャップを感じている。商品作りはロット(出荷の最小単位)があるので、数はある程度、必要だけど、今や多様化の時代で大量なものを画一的に売るわけにはいかないからだ。そこで、全く他と同じ商品を提案しているのに、女性を熱狂させる「 #ワークマン女子 」に着目した。昨年10月に開店したが、初日の売上はワークマン史上最高(デイリー)を記録した好調ぶりである。実際に、広報の伊藤 磨耶さんに案内してもらい、その 熱狂する理由 を考えてみた。

#ワークマン女子 熱狂の幕開け

 やってきたのは「#ワークマン女子」の一号店で、ワークマンの系列店の中でも最も駅に近い店舗。横浜のJR桜木町駅付近の「コレットマーレ」の中にある。ここの商品は「女子」と謳っているものの、何一つ、ここの店舗のためのオリジナル商品はない。それでも、この店の昨年のオープンの時には、多くの女性が殺到して、女性の割合は9割であったという。

 話を聞いていると、ワークマンにはブレない精神と、あっさり方向転換する柔軟さという二面性がある事がわかり、これが好調ぶりを作り出しているように思う。ブレない精神は「機能性」と「価格」に見られ、ここは、まだ男性からしか購入されていなかった時代から少しも変わっていない。

 写真は店内の様子だが、大きく「¥1900(税込)」と書かれていていて、こういう価格のプレートが店内の至る所に存在している。

価格帯が決まっている
価格帯が決まっている

 しかも「税込780円」「税込980円」という具合に、ある程度価格帯は決まっていて、ばらつきがない。それは実利を伴っていて、元々のお客様であるワーカーが即断即決できるようにするためなのだ(常に税込表示なのも計算しなくて済むように)。

 商品企画の考え方はそこに準じていて、その決まった価格から逆算して機能性を考えて商品化しているのだ。だから、その商品の着眼点の面白さは世代、性別を問わない。僕が面白いと思ったのは下のジャンパー。

着ている人がリュックを背負ったまま、着れるように、背中の生地を余分に使って、広がるようになっている。使ってみたい衝動に駆られる。

リュックが入るように背中が膨らんでいる
リュックが入るように背中が膨らんでいる

 また、元々作業着のブランドなので、季節の売り上げに左右されないという点もあるだろう。そのおかげで、工場の閑散期に製造を大量に依頼しており、生産コストを抑えて、発注ができて、工場と彼らはWIN-WINであって、それがずっと維持されてきた。

 しかも、一度作れば、どの商品の形状も変えずに時代に合わせて機能性を追加してアップデートしていく。だから在庫リスクがなく、工場の生産に無駄がないわけで、この辺もアパレルにはない生産性の高さが際立つ。

自分達の知らない所で実は人気があった

 一方で、作業着のブランドだから(と言っては失礼だが)世の中の情勢に対してはそこまで敏感ではないと認めているところもある。だから謙虚でお客様の声に対しても貪欲である。そして、お客様の為なら、過去も顧みず、サッと変えてしまえる柔軟さがある。さっきのブレない精神と程よく調和しているのが印象的である。

 やはり、企業はお客様があってこそ。わからない事があれば、お客様のもとへ行き、素直に耳を傾け、そしてそれを自分達のビジネスに取り入れて、共にその価値を分かち合う事が大事なのだと思う。

 「ワークマンプラス」誕生の裏側も実は、お客様の行動にあって「イージス」防水防寒スーツという上下セットの商品がキッカケ。これは東北など寒さが厳しい地域で、寒さに耐えながら作業する人の事を考えて作られたものだった。

防水防寒スーツ
防水防寒スーツ

 しかし「なぜか一般の人が買っていますと店長さんから教えられて、社内でも「なんで?」と皆が気になり調べ出したんです」と伊藤さん。「なぜだったんです?」と聞くと、まさかの答えで「バイク乗りの人に支持されていたんです」。

 「ええ?」驚く僕。「それで、社員の皆んなが他にもそういう商品があるのではないかという事になったんです」。そうやってワークマンプラスのヒントを得たというわけである。

 そして「バイク乗りの方が使っているのを知ったのはYouTubeで、以来、私たちもSNS存在には注目するようになりました。」と語り「自分たちの知らないところでこんな風に評価されていたんだ」となんだか嬉しそう。それはブレない商品力がもたらした事だし、この愛社精神もまた、プラスに作用していそう。

 「でも、その段階では、まだ女性が使うとは思っていなかったんですよね?」と僕がツッコミを入れると「そうですね。実は『綿かぶりやっけ』という商品がきっかけだったんです」と伊藤さんはまた得意げな表情を見せた。

 『綿かぶりやっけ』??「頭からかぶるための商品で、何に使うかというと、これが綿100%なので火に強いんです。本来は溶接工の人のために作られた商品なんですけど、誰が使っていたと思いますか?」

 「まさか、女性??」「そうなんです。実はキャンプでは焚き火があるので、この『綿かぶりやっけ』が役に立つそうなんです。」。聞けば、これもYouTubeでサリーさんというキャンプが好きな人が便利と絶賛していた。

 大事なのは、そこで単純に女性向けを沢山作ろうというのではなく、女性にも通用する機能性の商品を目指したところである。本質的にはブレていない。

商品は変えずに使う場所と対象を変化

 作業着としての商品の強みは全く変わらない。しかし、使い方を変えると、作業以外の日常にも使える。そういう事を教えてくれたのはお客様。それで「ワークマンプラス」が生まれ、ファッション利用が増えて、「#ワークマン女子」に至るわけ。「私たちはお客様の導かれるまま、進んでいった先に今があるんです」と彼女は、自分達を謙遜して見せた。

店内の様子
店内の様子

 本当に語弊のある言い方だが、田舎のアパレル店のような親しみやすさがあった。最先端を追うのではなく、確実に評価される実用性を追い、それが実現されるのであれば、出来上がるまで、じっと待つ。社員を信じるあたたかさもこの商品力に裏付けされている気がする。だから商品はブレない。

 そして、僕が思ったのは「女子」と言いながら、大事なのは「入り口が女子」であるということ。商品構成を聞けば、女性4割、男性4割、ユニセックス2割だと言って男性の割合が案外多い。「買うのが」女性というだけのことだ。

 だから、商品セレクトには他と違いはあるけど、一点たりとも、ここだけの商品はない。あくまで女子が楽しむ売り場であって、だからマネキンを設置しコーディネイト提案をしている。そもそも作業着としての「ワークマン」は、本来、必要に駆られて目的買いで探して、すぐに買って帰るようなワーカーがメイン。だから吟味の時間はなく、マネキンなど必要ないのだからこのお店にマネキンがある事自体、画期的と言える。

 撮影スポットは4箇所、設置。冒頭の写真のように、ブランコに座って写真が撮れるようになっているし、シューズ売り場の横には床に下記のようなイラストが描かれている。足元を撮影できるようにするためだ。

シューズを試せるフォトスポット
シューズを試せるフォトスポット

 普通のワークマンプラスの1.5〜2倍のフロア面積を使って、贅沢にその時間を楽しめるようにしていて、元祖ワークマンの真逆をいく戦略である。

 でも、これがお客様にも奏功している。伊藤さんはその点、正直に話してくれていて「実は全国のワークマンはそれ程、駐車場が広くありません。即断即決のワーカーが中心だからです。そこにじっくり吟味する女性が出てきた事で、その駐車場が足らなくなってきたんです(苦笑)。だから女性は女性で楽しんでもらえる場所を作った事で、棲み分けをして前のお客様も大事にしていけますよね」と。みんな、仲良くやろうや、というこの会社らしさを感じる。

機能性と価格の強さが形を変えて伝わったのが勝因

 最近、思うことなのだが勢いのあるブランドは、自分の核たる部分を、どうやって多くの人に知ってもらうかという部分に神経を働かせていると思う。以前、榮太樓總本鋪の記事を書いたが、そこでも味では譲らず、流通で革新を起こす、と書いた。

 ここでいうなら、ブレないのは「機能性」「価格」。革新は思い切り、お客様に寄り添い、そのお客様向けの「入り口」を躊躇なく、作ってしまう行動力や、自分たちが意図する以外の使い道についても柔軟に「最初からお客様に頼ってしまおう」と割り切りの良さにある。

 でもそれは正しくて「機能性」「価格」を知ってもらわない限りは、ワークマンのファンになり得ないわけである。

 変えるべきところと変えないで頑固にいくべきところの見極めこそが、このワークマンの成功並びに「#ワークマン女子」のスタートダッシュにつながっているのではないかと思うのだ。あと、加えていうなら、こののんびりとしたアットホームな社風は、僕も素敵に思えたし、どれだけ成長しようともブレないで欲しいな。

 今日はこの辺で。

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