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榮太樓總本鋪 “革新” は “伝統” を守る為に 細田副社長に直撃

 最近、ファミリーマートで「 榮太樓總本鋪 」の名を見かけた。200年の歴史を持つ老舗なのに、同店監修「あんこと黒みつのシュークリーム」が近所のコンビニで手軽な価格で買える事に驚いた。その“革新” には“伝統”を守るための覚悟を感じた。それで、僕は株式会社榮太樓總本鋪 代表取締役副社長 細田将己さんに話を聞いたのだ。彼らなりの“伝統”と“革新”とは何か。

榮太樓總本鋪 伝統 に裏打ちされた 革新

 「榮太樓總本鋪」の原点は生菓子。故に百貨店や直営店など限られた拠点で、日持ちやその品質に配慮して販売されていた。一方で、ファミリーマートのようなコンビニは大量生産に重きを置き、近隣の工場からすぐに出荷し、補充できる体制が整っている。両者は真逆の個性で価値を持っているわけだ。

こちら、細田さん
こちら、細田さん

 だから、語弊がある言い方かもしれないが、無理にコンビニで販売しなくてもいいじゃないかと思った。ただ、細田さんと話して気づいた。伝統を重んじ、それを貫こうにも、伝わる場所がなければ意味がない。

 お客さんとの接点を絶やさないよう、変わりゆく流通に敏感になって、柔軟に適応していくことで、伝統を重んじる事ができる。伝統を伝統を重んじることは、実は革新の上に成り立っている。

 思えば、彼らは最初、屋台から始まって、百貨店に入るようになったのも時代を読んだ証だ。東急百貨店本店の生みの親 五島昇さんに、名店街「東横のれん街」を提案したのも彼らを中心とした老舗仲間たちで、勿論、その一角に自らも出店。デパ地下ブームの先鞭をつけた。流通の変化をキャッチし、その時代の生活に溶け込むのは彼らのお家芸である。

 今から30年前には、スーパーなどの量販店への進出に意欲を示し、代々伝わる飴を作る技術に着目して、代表商品である黒飴を量販店向けに作り替えた黒みつ飴や、しょうがはちみつのど飴といったヒット商品を開発。大量生産と日持ちに応える商品で、企業価値を違った形で浸透させる事に成功したのだ。

榮太樓總本鋪の革新は伝統を今に伝える

 細田さんは実感を込めて、これには先見の明があったと讃えていて、それもそのはず。今まさに新型コロナウイルス感染症の拡大の中にあって、量販店での売上が、そのダメージを軽減している。外出自粛の中でも近所のお店で手にする事ができるからだ。

 ただこれも一朝一夕でできることではない。百貨店と量販店、全く異なる市場に向けた商品開発を地道に試行錯誤を繰り返す中で、つかんできた。だから、他に先んじて動く、その革新性が大事になる。

 このイズムは不思議と脈々と語り継がれ、最初に記載した「榮太樓總本鋪」監修の「あんこと黒みつのシュークリーム」に辿り着く。流石に百貨店で扱うような生菓子はコンビニ流通では難しい。だが自慢の「あんこ」や「黒みつ」であれば供給は可能で、だから彼ら監修のもと、味へのこだわりはそのままに、それらの原材料で再現させて、世に送り込むわけだ。

 味に対して妥協はなく、僕も食べたが「榮太樓總本鋪」らしいあんこの主張で、コンビニの他のお菓子にはない貫禄すら感じるものであった。流通への柔軟さの代わりに、味へのこだわりは微動だにしない。

榮太樓總本鋪の未来とは

 僕は細田さんに「榮太樓總本鋪」の未来について伺うと「希望を言えば」と前置きして、その一つとして生協の名前挙げた。「生協ですか?」「はい。私たちの原点は生菓子にあります。ただ、それは冷蔵、冷凍が必要だから、自分達なりにも通販でそれをやってきたけど、その配送料がネックになるんです」と。

 そうか。生協であれば、日頃、生鮮食品などを運んでいるので、生協でそれらを冷蔵冷凍で販売できれば、それらと一緒に運んでもらえる。だから、配送にかかるコストを考える事なく、真に彼らの味へのこだわりが提供できるという事なのである。「はい。『榮太樓總本鋪』というブランド名は浸透しているので、そこで気にかけてもらって、もし購入してもらえたら、そこでまた、新しいお客様に伝統の味を実感してもらえますよね」と付け加えた。

自慢の和菓子 きんつば
自慢の和菓子 きんつば

 なるほど。考え方を変えれば、流通は手段であって、工夫次第でそこに乗せて、自分達の価値を伝えられる、ということか。伝統を守るための革新的な取り組みのバランスがここに見る事ができた気がする。

 逆説的ではあるが、伝統を重んじる会社ほど、実は革新的要素を備えているという事だ。200年の歴史を誇る「榮太樓總本鋪」もまた、その “革新” は “伝統” を守る為にある。守り続けてきた「味」はブレない代わりに、時代ごとの流通を察知して、伝えられる手段を模索する事で、伝統と革新のバランスをとっているのだ。

 今日はこの辺で。

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