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ヤフー エールマーケット は 防災を価値へと変えた おくる防災 で生まれた新規性ある商品

 商品は時代と共に変わりゆくんだなあ。ヤフーでは「おくる防災」というテーマを掲げて、大切な人に防災用品や防災食などの防災グッズを“おくる(送る・贈る)”ことを提案していて、そこで感じた事である。彼らのメディアコマース「エールマーケット」が主軸となった取り組みであるが、大事なのはただ頭ごなしに防災の意識を植えつけるのではない、スマートな防災グッズと考え方なのである。大事なのは、日常とどう親和性を持たせてごく自然に贈り物として成立させるか、という部分ではないか。

ヤフー エールマーケット で呼びかける おくる防災

 「エールマーケット」について言うと、ヤフーがエシカル消費をテーマに人・環境・社会に配慮した商品のみを取り扱うメディアコマース。今から10年ほど前、東日本大震災をきっかけにして、立ち上げたもので、当初は、東北から新たな販路モデルを作ろうと、「復興デパートメント」という名前で東北の商品を揃え、ネット販売を始めたことに起源がある。

 ただ最近では東北を含む、全国のこだわりの商品を、エールの気持ちを持って購入しようという文脈に変わって、その後は、徐々に社会や環境を意識した商品の価値訴求へと推移していることがわかる。

 そういう文脈の中で、僕はたまたま「おくる防災」という価値観を取り上げたわけですが、その着眼点こそ、過去、見られるマス的で商業主義では見られない要素である。「ただ頭ごなしに防災の意識を植えつけるのではない」ということがそこで繋がるわけだ。

 直感したのは「買うことではなく継続させること」。継続しないと未来に繋がらないし、やる意味がない。例えば、地震に備えて防災グッズを買ったは良いが、忘れて物置に置かれたまま、というのでは意味を成さない。

 彼らが意図する「送る防災」は商品作りにおける新しい価値がありそうだと思えて、僕はヤフーがこの辺の趣旨を話すイベントへと潜入したわけである。 

 へえ、これが防災グッズなのか。そこで紹介されたのがこれだ。

 「トイレ処理セット アートトワレ」という商品であって、アートと防災を掛け合わせたというところが新しくて、僕はこれを見ながら、商品自体というよりは、防災と共に共存することの価値観を感じるわけだ。そういう訴求の仕方が大事なことを実感したのである。

 水が止まったり、いざというときには、中には袋や凝固剤などが入っているので、それを取り出せばいい。便座などにその袋を入れて、用を足した後、その凝固剤を振りかけるとそのまま固まって、袋ごとゴミに捨てられる。大事なのは普段の商品の身なり。壁飾りになっているから、日常と親和性を持って保たれているわけである。

 他にも、ソーラー充電で電池不要、折り紙のように畳めるランタンであったり、デザイン性で防災の日常での違和感をカバーしているわけである。

継続性をもたらす着眼点

 ポイントは「継続していく」ことを前提にしている点だろう。防災がごく自然に日常に馴染むという意識を持って見つめるだけで、全く違った価値となる。余談になるかもしれないが、この日、この場に同席していた国際災害レスキューナースの辻直美さんのやっている事を見て、それに通じるものがあった。

 家のライフラインが止まると、料理ができないと慌てる。けど、彼女は少しも慌てない。なぜなら、ビニール袋に家にある野菜などを詰め込んで調味料を適量入れただけで、その土台はできるからと。

 写真の通りである。冷蔵庫にあるものを放置する事なく、料理は作れるのだと。「特別にすることなんてありません」と辻さん。

 この辺が、主婦的な感覚で日常を踏まえた感性でもあるけど、学ぶべき点だなと。

 こういう感覚は広がる。ギフトといった時に、やっぱり贈り主のセンスが問われるからこそ、こういう風にスマートな提案をすることは大事だろう。そういうニュアンスが「送る防災」にはある。協調性のある「防災グッズ」と言おうか。これって、これからの商品開発に必要な事なのだと思う。

 つまり、非日常を日常に持ち込むことによって、新しい価値が生まれている。

 冒頭の通り、商品は時代とともに変わりゆく。よく「SDGs」にしても「防災」にしてもそれ自体を売りにするのはセンスがあるとは言えない。そういう人は多い。大抵の人は、そう言ってそこに距離を置くだけなのだ。でも、それじゃあ意味がない。あなた、ものを考える人間でしょ?と。

 それをフックに何をすることが相手にとって喜ばれるものになるか、その力量が店なりメーカーなりに問われているのだから。その文脈で言えば、きっと「継続できる」という価値観は大事で、勝負すべきはそこを拡張できる感性である。

 今日はこの辺で。

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