磨かれ輝く“宝の原石” ファンと共に育まれるお店の真価 nugu SUMMER MARKET 潜入ルポ
これはもう文化だ。ECは多様な価値観を、商売に置き換える。それによりダイヤモンドの原石と言える人たちの才能は磨き上げあげられ、目覚ましい活躍へと誘う。また、そこで重んじられるのは、ファンとブランドとの密なる関係性である。『nugu SUMMER MARKET』というイベントに呼ばれ、それを僕は痛感したのだ。これまでとは違う感性を持つ人たちの新たな世界が未来に広がる。
nugu 本当の私を着るために
1.愛おしい生活スタイルはここから 「Little Rooms」
みなさんは『nugu』というアプリをご存知だろうか。
「nugu」はこれまで着ていた服を“脱いで”「本当の私を着よう」というテーマのもと、韓国発祥の今、躍進するECプラットフォームである。そこに集うのは、時代を変える新しい感覚の持ち主としてのショップ達である。僕が驚いたのは、その創設からそれほど、時を経ていないのに、大きな影響力を持っているからなのである。
僕が最初に話したのは「Little Rooms」というショップを運営するand 代表取締役 平 貴衣さん。小さな幸せと愛おしい暮らしというコンセプト。小さな幸せを届けられるような商品をオンラインストアで提案する。創業は2018年3月である。
メディアコマースを謳っている。例えば、食器は、朝ご飯と食べる時の素敵なシーンを演出するアイテムである。要は、用途で提案しているのではなく、いかに心を満たすか、という事だろう。だから、その価値観に共感するファンは増え続ける。インスタグラムの総フォロワー数は100万人を突破しているそうだ。
https://www.instagram.com/littlerooms.jp/
2.花を花ではなく、尊い価値として
ファンの間で脚光を浴びているのが「しっとりチューリップ」という名の造花。本物のような仕上がりだ。彼女が手にしているのはまさにそれだ。感じられるのは、ターゲットに対して、どんな価値を訴求できるかという部分。花のセレクト一つにしても、そのこだわりは強い。艶があって、明るい色合いのものを選んでいるのは、若い層のライフスタイルに合わせてのことだ。
つまり、花を花として提供するのではない。そのライフスタイルを形成する一要素としての花だから、もはや価値観なのである。だから、おそらく、メディアコマースとの親和性が高い。他のシーン提案アイテムともマッチする。だからそれらと共に、売れていくのだろう。
3.感性は全ての垣根を越える「KAOYORINAKAMI」
価値観は属性も飛び越える。ブランド名からその秀逸さが伝わる「KAOYORINAKAMI made in ABE」。最初から男女分けることなく商品を提案することを意識。寧ろその商品の幅がアパレルやストラップ、AirPodsケース、サンダルに至るまで広く、「共感で商品を購入していく」今の時代に合致している。
この会社もできて、まだ4年ほど。それでも、先日、「関西コレクション」にも彼ら自身が、これらの商品を身につけて、ランウェイを歩いた。先ほどの「Little Rooms」にも通じるところでもあるけど、価値観が売りになっている。「KAOYORINAKAMI made in ABE」であれば、デザイナー兼代表を務める阿部純也さんの感性。ゆえに商品にも垣根がないというところに戻ってくる。
4.リアルで一層深掘りする「MOS」の魅力
価値観だから「nugu」が開催するオフラインイベントにも、ファンが詰めかける。むしろリアルの場はもっとその価値に深く触れることになる。
例えば「MOS」という韓国コスメのブランド。アパレルでいうところのTシャツのようで、デイリーでどんな時にも使える化粧品を、というコンセプトだと説明する。「なぜ毎日だと言えるのか」という部分に、彼らの価値観が垣間見える。韓国コスメの中でも珍しくビーガン系の要素を持って、成分へのこだわりがある。
何気ないことだが、そこに絡んでのスタッフの言葉が響いてくるのである。「私はリップでは(潤いを抑えた)マットタイプを使います。発色が良く落ちにくい反面、唇がボロボロになりがちです」。でも『MOS』には一切それが感じられないという。「だから、毎日使うのです」と話すわけである。
つまり、ここでデイリーでの提案のこのブランドの意味に繋がってくるわけだ。品質の良い成分をセレクトして提案していることが、結果、このコンセプトに直結している。それを、ブランドの担当者が売り込むわけでもなく、イベントのスタッフが感想を述べているのも良い。その言葉は真に伝わってくるし、リアルはそこで実際に触ってみて試すことだってできる。
チャネルトークの想いはイベントに通じる
1.三度の失敗から学んだこと
そもそもこのイベントに僕を誘ってくれたのが、チャネルトークの面々だ。チャットのようなトークで、お客様との関係構築を、普通の会話に近い感覚で行うサービス。彼らはこのイベントに協賛しているのだという。
参考記事:“チャット”に見えて“チャット”でない? チャネルトーク の交流が通販の成長に繋がるワケ
彼らはデジタル企業なのに、「なぜ、リアルのこの機会に協賛するのか」。代表のJayさんはこう語る。
「チャネルトークは3回、過去失敗をしています。どれだけ資金があっても、お客さんがいないとビジネスは成り立たないということを学んだんです。その考えから、“お客さんを理解しよう”と考えたのが、チャネルトークなのです」
だから彼らは、お客様との関係構築を築くすべての企業に提案する。「もっとお客様を理解して、ビジネスを成功させてほしい」と。その願いのもとで、自らのサービスを手がけているわけだ。
2.お客さんを理解した先に成功がある
この話がとても深いのは、「お客様と触れ合う機会を尊重する」という姿勢には“リアルもネットもない”からだ。このオフラインイベントにしても、リアルの場での関係構築ではあるけど、チャネルトークがサービスを手掛けるに至った理念に近いわけだ。
「本当の私を着よう」という「nugu」。それは、各々のブランドの価値観を尊重し、真の自分探しをお客様と共にすることを意味する。だから、それぞれのブランドとお客様との関係構築を大事にしてもらいたいと思うわけだ。このイベントをやっている所以である。だから、両者に親和性が高いのである。
3.価値を尊ぶからお客様との関係が密になる
思うに、これはもう文化なのだと。ECは単純に物を売るだけではない。多様な価値観を受け入れ、商売に置き換える。その過程で、これまでにない才能を持ったダイヤモンドの原石を磨き上げ、目覚ましい活躍へと誘う。
この日、nuguの代表 HAMIN PARKさんも挨拶に立った。その発言にコンテンツを重んじる姿勢を感じた次第である。これまで着ていた服を“脱いで”「本当の私を着よう」。そのテーマは、お客様が新しい価値に気付けるためのお店作りを念頭に置いて初めて成立するものである。
そこで果たした功績は、上記の通り、説明の余地はないだろう。既に店自身の価値観も強い。現にファンにも受け入れられている。彼らはその共通した思いを束ねて、このイベントで気持ちを触発するのだ。
だから、冒頭に書いた通りだ。お客様との関係構築により、更にブランドの価値を深掘りできるだろう。このイベントが存在するのも自然な流れだ。お客様にとっての価値であり、また、店にとっての価値でもある。今まで以上に、お客様との距離は密なものになることは想像に難くない。
そこに共感するチャネルトークも、デジタル上での関係構築でそれを強く打ち出す。人と人とが紡いでいく価値観の輪が広がろうとしているのだ。もうすぐそこまで来ている。人が真にその価値観を発信し、人と人とがつながる世の中が。
今日はこの辺で。