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BEENOS 直井 社長 失礼ながらお尋ねします 元々小売店 なのになぜ 越境EC の会社に?

 越境ECで伸びてるあの会社は、元々小売店であった。なのにそこから離れて今、全く違う畑の越境ECをやり、自らのサービスで昨年同期比成長率+50%を記録するほどの企業になったのか。その質問がしたくて、僕は取材を持ちかけた。その相手は BEENOS 代表取締役 執行役員 社長 直井聖太 さん。

BEENOS 社長 の本音に見える流通への想い

1.「インターネットを使ってものの流通を作っていこう」

 BEENOSは海外と日本をフラットにするために表側とバックヤードの両面からサポートを強化して、彼らが提供する「Buyee」の流通総額は、コロナ前の2020年1Qでは41億円。それが2021年4Qでは95億円で、それは加速していて、2021年4Qを前年同期比で見ても51.2%増。

 でも、僕は言いたい。あなた達は、小売店の「ネットプライス」が起源じゃないですかと。だから、今やそこから脱却して、どうしてその今のスタンスに至ったのか、気になったから、冒頭の質問に至る。「元々小売店 なのになぜ 越境EC の会社に?」と。

 直井さんはその答えについて、意外なほどシンプルな言葉で表現したのだ。

「インターネットを使ってものの流通を作っていこう」そう考えていたからと。

 元々の小売店というのは「ネットプライス」という。共同購入型の通販サイトで、複数の人間が購入すると、それが安くなりお得になるというスタイルで、脚光を浴びていた。美容などを筆頭に、多くの商品を集めるに至った。

 僕はこの「ネットプライス」については知っていて、以前、商品を卸した事もあるし、欠品で迷惑をかけた苦い思い出もある。一方で自分が考案した企画商品が「ネットプライス」で一位をとったのを契機に多くの通販サイトでヒットを掴んだ経験もあるからこのお店の影響力は今でも鮮明に覚えている。

 ただ、直井さんは「小売店」をやろうと思って、ネットプライスをやっているわけではなかったと本音を明らかにする。「では何がしたかったのか」という事になりそうだが、先程の言葉の「インターネットを使ってものの流通を作っていこう」に紐づく。要は、商品を流通させるプラットフォームを作りたかった」ということであって、そういうことか、と納得して、今のメインである「越境EC」を思う浮かべたのである。

 事業は違えど、何かを流通させるという意味では何ら変わらないからだ。

2.ネットプライスも想いは同じだった

 だから、直井さんは言うのである。実は「ネットプライス」も、小売店ではなく、マーケットプレイスのビジネスモデルを模索していた時期があったことを。マーケットプレイスで流通をフックに掛け算のように、関わる企業を成長させていく、それがやりたいと。

 しかし、楽天の存在が気になった。楽天もまた、マーケットプレイスを実践していて、楽天の成長スピードを考慮すれば、恐らく自分達は追いつくことができないだろうと。そしてBEENOSグループは「ネットプライス」を2017年、他社に売却をすることになった。

 語弊を恐れず言うなら、僕はネットプライスを知っていただけに、この真意が分からず、故に当時、BEENOSという会社が何を目指しているのか、この動きに対して理解し難いものがあった。その後、僕は編集者として取材を通して、ネット通販に関しての知見が増える中、今度は「転送コム」というサービスを通して、再度、BEENOSの存在を知ることになるわけであって、正直言うと、そこでも解決する事はなかった。

 しかし、この日、ハッキリわかった。「ネットプライス」の経験も踏まえ、この「転送コム」も実は遠回りと言われようとも、次なる流通のプラットフォームに向けて、足場固めをしていたのだという事を。

当たり前に思う「世界は一つ」

1.一歩先ではなく半歩先

 直井さんは「事業は一歩先ではなく、半歩先ですよね」と笑う。

 口に出してもマーケットが追いついてこなければ意味がない。ネットプライスでもそうだった。「ものの流通を作る」ことを意図したところで結局、メーカーがそこに理解を示さなければならない。それで「買取をして我々自身が販売していきます」と言っていた。ただ、それでビジネスとして軌道には乗ったが、それでは彼らの真の目的は果たせなかった。だから、この長期を見据えて敢えての「転送コム」であり、越境ECであったと言える。

 実際に、「越境ECを始める」と言った時も、彼らとしては、「本来、日本のeコマース企業が普通に海外対応できる」ということが望ましいと思っていたからであった。その理由も「もしこの世に、商品が存在するなら、それが当たり前に海外に回っていくべきだし、同時に世界を超えて、出品もされているという状態が、どう考えても正常」と思っていたからだ。

 しかし「実際そういう部分に舵を切ってやる企業さんは少なかったですね。例えば、日本国内にeコマースのシステムがあっても海外向けに展開できるように作るとなると、それは腰が重かったのです」と直井さん。

2.転送コムに着手した理由

 だから、国内のeコマース基幹システムを使って、海外から買えるようにしなければいけない。そう考えるに至ってこの「転送コム」というサービスを作ったにすぎないと。でも、結果的にはこれが直井さんの言う“半歩先”であった。

 ちなみに「転送コム」について説明すると、海外にいる人が日本の通販サイトでショッピングする際、日本の住所を支給してもらうことで商品購入ができるようにする仕組み。その商品は同社の倉庫に入れて、そこから海外の現地に「転送」してくれるサービスである。

 それが「Buyee」となって進化していくことになる。一言で言えば「購入サポート」。日本の通販サイトと海外にいる人の間に「Buyee」という通販サイトを挟む。「Buyee」は海外にいながらそこで現地の言語に合わせて、欲しい商品を購入できる環境ができているので、それで商品を購入すればその「Buyee」が日本の通販サイトから購入して、現地のお客様に送ってくれるというのである。

 これらを軸に、BEENOSは様々なサービスに進出することとなり、越境ECとしての独自の存在感を発揮することに至る。それこそ、「Buyee」の利用企業には、楽天やヤフーなど名だたるプラットフォーマーが名を連ね、彼ら自身がプラットフォーマーとしての地位に至ったことを示している。

日本愛を感じて、だから「世界は一つ」に

 ここまで来て、「だからなのか」と僕は思う。世界が一つにフラットになれば、あとは、日本にあるコンテンツをいかに育てるかと言う部分に至るから、このBEENOSグループ全体がエンタメに関してもソリューションを提供しているという事につながっているのかと。ここの部分では直井さんの「日本愛」のようなものも感じる。

 インフラが整えば、良質なコンテンツが配信され、そしてそこに良い商品が紐づいて、「流通する」というわけである。

 思いがけず、僕は「正しく評価されるもの」という部分にこだわっている事を直井さんに話した。それは、僕の親世代などに多く見られるのだが、全般、日本がアジアを見下している感覚があって、そこに違和感を感じているのだと。すると、直井さんも大いにうなづく。

 「僕自体も日本が好きなタイプの人間なわけです。だからこそ謙虚にならないといけないですよね。僕からしても、日本はゴーマンだったと思うんです。自分たちだけがアジアで栄えている国だと過信している部分がいまだに根強くある」と話して、そういう意識をも変えていきたいと語ってくれたのには僕は心底共感した。

 彼らの努力も然り、ネットによって世界が一つになって、同時にその価値を享受できる時代になりつつある。だからこそ、過去の日本の功績に驕ることなく、でも誇りある才能は発揮され、それがファンやお客様に真に受け入れられてほしい。そして、今一度、それを契機に謙虚になって、自分達の価値を「正当に」実感して、気持ちを一新した時に、本当の日本の再スタートがあるような気がする。

 20〜30年先を見据えて、今こそ、ニッポンが変わらなければいけないという意味も込めて、この越境ECやエンタメに関して注力する直井さんの姿勢は、素直にエールを送りたいと思って、今この記事を書いている。冒頭、小売店を起点に持つこの会社がなぜに、越境ECのプラットフォーマーになったのかの答え合わせをしながら。

 いいものがいい形で喜ばれて、届き、素敵な時間を作る、究極はそこにつながる。だからこそ、世界は一つである事に意味がある。彼らのサービス然り、これからの未来、気持ちの上でもフラットな感覚で、国を超えて心で繋がれたら、と切に願うのである。

 今日はこの辺で。

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