BtoBでも 交流をチャットで繊細に 温度感を大事に チャネルトーク流リード獲得術
デジタル上のコミュニケーションが「繊細」になってきている。「チャネルトーク」代表Jayさんと話をしていて、痛感したのである。だってチャットというと、多くは「BtoC」で使う事に割いているけど、「BtoB」の場面でも同様だというのだから。そこに今の顧客との向き合い方の本質がある。だから彼らは、BtoB企業の為の「リード獲得機能」をリリースした。チャットが持つ交流の繊細さの裾野をそれで広げようとしているからである。
数で集めて勝負をするのはもう古い
1.チャネルトークとは?
まず、最初に「チャネルトーク」について触れておく。彼らはチャットという概念を今までの単純なFAQに応えるものという捉え方をしていない。寧ろ、ライトな会話のような感覚でお客様と接触することで、コミュニケーション性の高さを売りにしている。
サイトへ訪問すると、しばらく経ってからトーク画面が出てくる。まるで会話のよう。そうやってスタートした会話その手軽さはそのブランドの身近さに直結する。また、予めサイト側で専用のタグを埋め込んでいるので、お客様がログインした時、顧客単位での対応が可能で、そこがより深い関係性を築くのである。自分をよく知る友達との会話に近い。
2.BtoBでそんなにチャットが必要だったのか?
ここからが本題。冒頭、話した通りだけど、Jayさんが強調するのは、BtoBのリード獲得における過程で、雑にコミュニケーションして「お客さまを取りこぼしていないか」という話なのである。
大きく広告投資をしてどれだけの企業たちがアクセスしたか。勿論、その視点は大事だが、それだけを基準とすることはもはや過去の話。これから、そこで問われるのが「交流の繊細さ」なのではないか。この繊細さにおいて一役買うのが「チャット」なのだと彼は胸を張る。
3.検索から入る以上、目的意識を持ってきている
なるほどなあと思ったのが「BtoBの場面においては多くのアクセスは『検索からの流入』」という彼の言葉。だからこそ『チャット』が果たせる役割が大きいという話なのだ。
『わざわざ検索という形で、条件を絞り込んで興味を持ってくれている』から、もはや向き合うお客様も絞り込まれている。それなのに、なぜかBtoBになると途端に、一律、同じようなフローで対応をする。「だから、多くがその信用を失い、効果を半減させているのです」と。
最もありがちなのは、大量に流入を促したのち、問い合わせをしてくる企業に対して折り返しのメールや電話で、一から10まで営業を行ってしまうことだ。問い合わせた張本人は辟易して、そのまま保留にするということは少なくない。
要は「流入の最大化」に、マーケターが時間を費やしている時代ではないという事である。
適切な温度感で接する事の意味
1.リード獲得機能を実装
だから彼らはBtoB向けに「リード獲得機能」を着想したわけである。
最初からサイトにチャットが表示されているわけではなく、リード対象にポップアップで、訪問者に話しかける。それらは初回訪問、再訪問、滞在時間など顧客行動に適した表示ができる。つまり、必要なタイミングで“会話”が生まれる演出を心がけている。
その上で、リード獲得機能の入力フォームは記述形式・選択形式どちらにも対応しており、カスタマイズ性に長けているわけである。ゆえに、リード獲得以外にも顧客アンケート・NPSとしての活用も想定されるだろう。
2.繊細さが信頼に直結する
一つ一つの接点が繊細だ。チャットが大事なのはその必要最小限の問い合わせができて、それをコンパクトに答えられること。関係性の深さに応じた会話のやり取りを具現化できることにある。
その答えは信頼を生んで、次の質問を生み出す。なぜなら、検索までして入ってくるユーザーはある程度、目的が明確だから、それに対して応えればそれを繰り返すうちに、その会社と契約する気持ちが強くなるわけである。細かなアンケートなどをするのはむしろそれからである。
それを踏まえて活かされるのがCRM機能である。取得したリード情報はチャネルトーク内に蓄積されている。
メールアドレスや企業名はもちろん、顧客が入力した情報が確認できるようになるため、どのようなニーズを抱えている顧客が多いのかが整理できる。それこそ実は、BtoBで一番、力を入れるべきだと、語るわけである。
3.過去は肝心要なところで実は雑にしていた
例えば、メールアドレスを取得して、全員に同じセミナー情報を送りつけるなど、もってのほか。成約に至らないユーザーの中でも例えばそのメールアドレスでログインを促す。質問事項があれば、その状態でチャットでやり取りするように促していけば、いい。その過去の蓄積されたやりとりや情報から、より然るべき解答を導き出し、信用を深めることが可能である。
そうやって積み上げた関係は高い成約率へと繋がる。
勿論、取得した連絡先に対してはメールを使って、条件を分けてセグメント配信を行うことも可能である。より関連性の高い情報・コンテンツを顧客に対して発信することができるから、その蓄積された顧客情報を最大化できているというわけである。
今チャットという進化に想うこと
1.チャットで何がしたいのかが大事
昨今、色々な場面で、チャットが使われるようになっていて、僕らはそのチャットに何を求めるかを考えていないことが多い。チャットを実装することに夢中でそのチャットに何を委ねようとしているのかを考えるべきである。
それはBtoBの現場では雑なコミュニケーションをしていませんかという話と同じ事である。売り込むための営業手段だけではなく、関係性を軸に企業と企業の距離感を縮めるために、チャネルトークを使う、その流れこそが大事だ。
だから、理念に基づき、その世界観を彼らは丁寧に、熱心に伝えていく。彼らが提唱するのは、BtoBであろうが、BtoCであろうが、温度感によってちゃんと使い分ける、人間らしい付き合い方である。
2.人員を用意することなく意識を変えるだけ
その考えは大きな気づきであった。ただ、僕はあえて、その懸念点として「それ専用にオペレーターも増やさないといけないですね」と問うてみた。すると、Jayさんはニッコリして「はい。確かに、企業によっては、それだけの人的リソースがないという人も少なくないです」とうなづいた。しかし、それに対しての彼の答えは痛快であった。
「でも、改めてそういう人材を用意する必要などないのです。そもそも、今まで広告運用をして、大量に集めて、という過程を見直すべきなんです。集めた数ではなく、集まった人の成約率の方を。だから、マーケターの仕事の中身が変わったと考えるべきなんです。」
面白いのは自分でもやり取りするそうで、相手もそれがJayさんであることに気づくこともある。「代表自らそういうこともやるんですね?」と驚かれてしまうこともあるけど、ここの成約率が高まる対応こそが、会社にとっての生命線。「そこを蔑ろにしない」だけのことと笑う。
またピンポイントだからこそ、サクッと代表のjayさんが応えられるというのもあって、生産性も高い。
3.お客様との向き合い方が企業に問われている
そう。顧客獲得というものの考え方がもう時代を経て変わってきていて、マーケターがその仕事の比重が変わっているということを知るべきなのである。
大事なのは、企業側のリード獲得の考え方を変えていく事なのだ。
これまでECの文脈では急速にその存在感を表したチャット。その台頭は、デジタル上でのお客様とのやり取りが繊細になってきた証であろう。デジタル化とは言いながら、その先の向こうに人を感じる要素があってそれ自体が、安心や信頼、顧客満足度に繋がるのだから。
一方で、こちらの気持ちを度外視した営業がBtoBの現場では後を絶たない。それはまだ、古いマーケティングの考え方にとらわれているからである。繰り返すが、集める数ではない。
集めた上で成約に繋げる「繊細な」コミュニケーションである。それはBtoB、BtoCに限らず、これからのウェブでの取り組みのあるべき姿が、そこあると思う。だから、全ての人にこの動きの意味を感じて欲しいと思ってこの記事を書いたのだ。今という時代の本質を理解したい。
今日はこの辺で。