1. HOME
  2. News
  3. 店談(shop)
  4. 通販/eコマース
  5. メディア化するほど、ECが伸びる理由 ヘリテージの上手な“雑誌”の活かし方

メディア化するほど、ECが伸びる理由 ヘリテージの上手な“雑誌”の活かし方

 僕にとっては興味深く、話を受け止めた。それは、メディアとコマースの関係について語られたものだったから。先日、僕は「ネススト・リテール・ラボ」というフォーラムに参加して、ヘリテージ 代表取締役 齋藤健一さんと話をさせてもらった。彼の話は「メディアの未来はどこにあるのか」そのヒントを明らかにしてくれる。何よりそれがネット通販における未来を指し示しているのが面白い。

ヘリテージ はこうして 雑誌 を再生させた

1.エイ出版社を受け入れて雑誌を再生

 ヘリテージは昨年2月、経営破たんしたエイ出版社から「ライトニング(LIGHTNING)」など主力媒体や飲食店の用賀倶楽部を譲受する契約を締結。今はメディアを運営する傍ら、ネット通販なども行って成果を出している。

 そこでもわかる通り、やはり雑誌などの衰退というのは避けられない状況にある。僕が関心を持ったのは、それらのコンテンツを受け入れ、どうマネタイズして活路を見出そうとしているのか、という部分である。

 僕らは知らず知らず、それらをウェブ、雑誌と二つに切り分けて考える。けれど、彼らの着眼点を見ると、そこではないことに気付かされる。齋藤さんが持ち出したのは「偏愛」というキーワードである。

2.偏愛とネットの親和性

 なるほど。これでピンときたのだが、今のネットの世の中は、偏愛だらけである。なぜか、それはSNSの台頭にあるから。多くの人がSNSでその価値観を共有することで、自分の存在感を示せるからである。

 多くは何かを発信したい。けれど、そのきっかけが欲しい。最近、「推し活」が話題になるのは、まさにそれだ。アイドルでも何でもいい。人と話題を共通して盛り上がれる要素があった方が今の人生を謳歌できるのだ。

 だから、LIGHTNINGなどの趣味系のコンテンツは活かせると、考えたのだろう。上手にネットへと浸透させることで、その最大化を果たせるポテンシャルがある。しかし、出版の世界は齋藤さんも話していたけど、高齢化もあって、そこが遅れているわけである。

 ここまで聞けば、齋藤さんが単に有名コンテンツだから、受け入れたわけではないことがわかるだろう。では何が受け入れる価値となったのか。その答えを探る上でキーとなるのが、エイ出版社の持つ「偏愛」的要素。今、上記で触れた通り、ウェブと親和性が高いと考えたから、譲受する契約を結んだわけである。

3.雑誌とウェブで切り分けると見えない本質

 ウェブ、雑誌とだけ切り分けて考えていたら、本質が見えない。先ほど、僕がそう話したのは、そんな理由からで、その基準だと安易に、雑誌はいらないという議論になる。

 でも、彼らの行動を見れば、そんなことは少しも言っていないとわかる。

 彼らは「LIGHTNING」、「2nd」、「趣味の文具箱」などの価値観はそのまま受け入れた。ただ「人がどうすればハマるか」という基準だけを見直した。それができるのは雑誌だけではない。無料で見られるYouTubeもあり、誰でも参加できるイベントだって存在する。雑誌にこだわるほど、なかなか手を出せない部分でもある。

4.熱狂をどう生み出すかが大事

 要は、かつてであれば、趣味の世界を雑誌一本で成立させていたわけだ。ところが、齋藤さんたちは、デジタルを巻き込みながら、その土台をもとに、より「偏愛」度を高めていく方向にして、そのものの付加価値をつけて、マネタイズするスタイルにしたのである。

 そうすると、それぞれの役目が棲み分けされてくる。より熱狂度が高い人が、雑誌を購入することになるのである。だから、自ずと広告の位置付けが変わってくる。部数を多く発行するのではなく、本当に熱狂する人たちが必要とされる分だけ、発行すればいい。

 だから、雑誌も必要以上に作ることなく、生産性が高くなる。仮に発行部数が減ろうとも、その部数で勝負をしているのではない。つまり、熱狂度で勝負をしているから、広告の依頼は後を絶たないというわけである。

5.偏愛を土台にマネタイズ

 見事な再生ぶりではないか。

 最近では、「趣味の文具箱」でいうなら、会員制サービスを開始して、年4回の発行の同誌が届くようにするほか、限定文具のイベントに優先招待などをするようにするわけである。まさに、サブスクリプションにより、雑誌すら安定性のある仕組みへと変えているわけである。

 当然、YouTubeでは思い入れたっぷりに、商品を語り、それをECサイトで販売するから、その熱狂ぶりは結果、その売上によって証明されるというわけである。

 ここで、学ぶべきことは、少しも売ろうとしていないこと。雑誌をテコに、偏愛の人たちを集め、そこで熱狂を生み出しているに過ぎない。あとは、そこから派生するパワーをフックにすれば、マネタイズは後からついてくる、というわけである。

 逆にいうと、普段、ネット通販に関わっている人たちは、こういうメディア的な要素を取り込みながら、自分達がより自分達の価値観をもっと深掘りできるかという部分に、重きをおくことでそのチャンスが広がってくるのではないかと思うのだ。

 今日はこの辺で。

関連記事

145が自らの考えを大事に、わかりやすく想いを持ってビジネスの本質に迫るメディアです。主に小売業、ものづくりとキャラクターライセンスを追っています。
詳しくはこちら

#渋谷 【license】ウォルト・ディズニー 【license】サンリオ 【license】作家プロデュース 【license】漫画・アニメ・映画 【Product】アクセ・ジュエリー 【Product】アパレル 【Product】インテリア 【Product】コスメ・健康 【Product】スイーツ 【Product】ホーム・台所 【Product】文具 【Product】玩具・ガチャ 【Product】雑貨・小物 【Product】食品 【Product】飲料・酒 【Retail】CRM 【Retail】D2C 【Retail】OEM 【Retail】OMO 【Retail】ふるさと納税 【Retail】オンラインショッピングモール 【Retail】コンサルタント 【Retail】コールセンター 【Retail】サイト制作 【Retail】チャット 【Retail】フードテック 【Retail】マーケティングオートメーション(MA)・メール配信 【Retail】マーチャンダイジング(MD) 【Retail】リユース・フリマ 【Retail】レンタル 【Retail】受注管理 【Retail】広告・販売促進 【Retail】接客 【Retail】決済代行 【Retail】物流・バックヤード 【Retail】自社EC/ASPカート 【Retail】自社EC/フルスクラッチ 【Retail】越境EC カルチャー/新進気鋭デザイナー コンテンツ/スポーツブランド コンテンツ/歌手・タレント デジタル/AI デジタル/CX デジタル/IOT デジタル/NFT デジタル/Web3 デジタル/アプリ デジタル/フィンテック デジタル/製造業テック デジタル・トレンド トレンド/SDGs トレンド/ミュージック トレンド/ランキング トレンド/美術展 トレンド/調査・データ ファンシー/Curious George ブランド/コンテンツ モール/Amazon モール/au PAY マーケット モール/Yahoo!ショッピング モール/楽天ファッション モール/楽天市場 ユニクロ/ブランド リテール・トレンド 小売店/ウォルマート 接客/やずや 接客/ライブコマース 接客・販促/Instagram 接客・販促/LINE 接客・販促/TikTok 接客・販促/YouTube 業態/SPA 業態/コンビニ 業態/スーパーマーケット 業態/卸売 業態/専門店 業態/百貨店・商業施設 業態/飲食店 物流・バックヤード/日本郵便 玩具/バンダイ 経営・マネージメント(事業と事象) 自社EC/BASE 自社EC/GMOクラウドEC 自社EC/Shopify 自社EC/カラーミーショップ 自社EC/フューチャーショップ 自社EC/メイクショップ 解説/1推し(イチオシ) 解説/ものづくりのセオリー 解説/アーティストの感性に触れる 解説/ハロートークショー 解説/ヒーローインタビュー 解説/ボーダーレス 僕らは空間と時間をクリエイトする 解説/初心者の方、どーぞ 解説/奥深きキャラクターの背景 解説/店の声-舞台裏での奮闘記 解説/潜入イベントレポ 解説/社長の真意 解説/賢くなろう-商売の教科書

最近の記事