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“コールセンター”で 通販 は劇的に変わる やずや CRM の実践者 高橋貞光氏

 これからの時代はお客様といかに長く関係性を築くかという部分が成長の鍵だ。その点、お客様の定着と継続性が高い「やずや」西野博道さん(やずやグループ未来館 取締役社長 )の話は、その本質を突いている。彼らの CRM 理論において“コールセンター”は要である。西野さんの理論を実践して、成長させたDMCの高橋貞光さんに取材をすることで、大事な本質が何かを記事にしたいと思った。

西野さんの CRM 一番弟子 高橋貞光氏が語る コールセンター の真相

1.オペレーター は 通販 の秘密兵器

 西野さんの話をいつも聞いていて、僕が気になっているのは、接客するほど、お客様の信頼が向上して、ファンになっていくそのメカニズムである。現場では何が行われているのか。その為には、実践者に話を聞く他ない。

 DMCの高橋貞光さんだけではなく、贅沢に西野さんを交えながら記事にしたので、その対談の全文は、1万字に及ぶこちらの記事に譲る。

 おさらいするなら、最初にオペレーターがお客様に確認するのは商品の「効果の実感」であり、そこから健康全般にトータルでフォローしていき、自然とオペレーター、会社への信頼に変わって、お客様の生活の一部となる。大枠での説明で、ある程度言っていることはわかる。

 理屈ではわかるが、実際に、オペレーターの対応がそこまでお客様の信頼を勝ち得るには、何かしらのメカニズムがあるように思っている。DMCの高橋貞光さんに取材をすることにしたのは、僕は、西野さんの理論とともに、高橋さんがコールセンターの現場でどう実践したかを聞いてみたいと思ったからなのだ。

 彼は株式会社えがお(ロフティ)入社後経営企画、販売部門、管理部門、システム、物流、コールセンター責任者など全ての部門を経験し、入社から5年で 44 億円から 262 億円の売上成長に貢献した人で、西野さんの理論を実践して、大きく業績を伸ばした張本人である。だからお呼びしたのだ。

 お客様の気持ちが変化するほどの対応。その為に、オペレーターに対して何か特別なマニュアルを渡しているのだろうか。そう高橋さんに迫ったところ、それは覆された。

オペレーターはお客様と真に「会話する」のが使命

 まずは基本的に、オペレーターの自主性に委ねられている事。そしてオペレーター自身も、お客様の事を各々で考えた上で、相応しい対応をどれだけしてあげられるか、という事に重きを置いている。だから、マニュアルに基づくのは、3割程度だという。

 二人が理想とする通販企業は、オペレーターを活かすための仕組みづくりを徹底しているのだと思った。思うに、それはマニュアルやルールでオペレーターを管理するのではないことなのだろうと。これは発見であった。

 さて、オペレーター自身、お客様の事を各々で考えた上で、相応しい対応をどれだけしてあげられるか。根本を知りたくて、その根底を流れているのは何かと問うと、高橋さんは「質問力」と答えた。

 一方的にオペレーターが話して、お客様の方が聞き役になることも少なくない。だから高橋さん達はその逆で、質問をして相手に共感することに努めると話している。

 すると相手も人間なので、色々話すうち心を開いてくれる。つまり、オペレーターが存在する真の目的は、本音を話してくれるほどの信頼感の確立なのである。

 恐らく西野さんがよく話す「健康の定義」は、ここに紐づく。健康において総合的にアプローチをしていき、このジャンルにおける信頼感を築いていくのは、この「質問力」が為せる技なのだろう。

 こうやって本音を引き出して、真にお客様の中身と向き合うことで、相応しい助言をしていくことが可能になる。それがますますの信頼につながっていくから、更に購入を継続するのだ。

裁量権を与え自主性を重んじ、お客様と心で繋がる

 これは同時にオペレーターのモチベーションをあげることにもなるだろう。お客様の信頼に伴い、責任感を持ち始めるので、自分で学ぼうという意識も高まるはずだ。

 その中で、高橋さん達はオペレーターに対して裁量権もある程度、渡してしまうのである。まさにこの点は、高橋さんが自らコールセンターを経験したからこそわかったことで、そうした判断がベターだと考えた理由をこう述べる。

 「何の根拠もなく、パートの方はここまで、これ以上は社員さんに聞いてください、という風にしていたりする事は多いです。でも、本来はオペレーターさんの方がベテランなのに、新人社員に質問をしていたりする事も多い。新人社員なんてこたえきれないですよね?」と。

 これを実践した結果、「手上げ対応」の減少をもってお客様の満足度を上げ、成果につなげたのだ。「手上げ対応」というのは、社員にオペレーターが確認することをいう。裁量権を委ねた事で、「手上げ対応」が減り、お客様を「代わりに他の担当者が対応します」などといって「たらい回し」にさせたり、待たせたりすることがなくなったのだ。それは満足するに違いない。お客様との会話が信頼感を築く礎だから、その雰囲気を壊してはならないのだ。

 僕はこの取材で好きな言葉があって、このくだりを高橋さんが話していると、西野さんが茶目っ気たっぷりに話したのだ。「コールセンターは唯一の対面であり、お客さんとデートしているみたいな感覚なんですよね、電話で。ちなみにDMは私、文通だと思っているんですよ」と。

 確かにな、と。恋人を目の前にして、話を阻害されたくないし、もっと話が聞きたいし、気持ちを分かち合いたい。それがこのオペレーターとのやり取りで再現されていたら、お客様がこの会話を心待ちにしても不思議ではない。全てはここから始まっている。

全体最適を踏まえた部分最適に基づく目標設定

 だから、電話は何分以内にするなどのルールはナンセンスだと、高橋さんは一蹴する。これは、例えば西野さんの様に、全部署を経験して、全体最適を分かった上で、部分最適がわかる人でないと、陥りがちな罠だとした。最終的にお客様にとっての喜ぶ価値は何かという答えが見えていないと出てこない結論なのだ。

 そして、こうやってオペレーターがお客様を『大切な人』と感じるようになれば、心底、尽くしたいと思うのも自然。以前、他社で恐縮だが、さくらフォレストの田上薫さんが、お客さんの家に遊びにいって、食事までしたと話をしていたのを思い出した。もうそこまでくると絆は深い。

 そんな風に、お客様との信頼を築く時、オペレーターが言われて嬉しい一言は何ですかね?そういうと高橋さんは「いやぁ実はね」という言葉だと答えた。事務的な会話であれば、実はね、はまず出てこない。

 その言葉を引き出すのもそれまで築いた関係性であり、かつ僕が思うのはそこでの姿勢と使う言葉のチョイスでもあるなと思った。印象的だったのは、高橋さんがやめようとするお客様に対しての話をした時のことだ。

 彼は、決して引き止めることはしない。通販企業では引き止めがちだが、すっと潔く身を引いて、こう問いかけるのである。

「何か不手際ございましたでしょうか」と。

 もし信頼関係のある人にこう言われたらどうだろう。いやぁ実はね、とならないだろうか。

士気の高まりが連帯感を生み、情報共有も活発に

 しかも、オペレーターの士気が高いと、場合によってはここからエピソードが生まれる事もある。「実はね、入院することになって、止めようと思うのよ」というお客様がいたらしく、それを聞いたオペレーターは自ら手紙を書いた。また、同じチームのメンバーに情報共有を行い、十人が10羽ずつ折り鶴を作ったら、すぐに電話が来たという。仕事と捉えるか「大切な人」への対応と捉えるかの差である。

 こうしたオペレーターを生かすマネジメントは、結果、チームワークを高めることにもつながる。高橋さんによれば、うまく回り始めると、それは出勤率に現れてくるのだそうだ。高いところでは出勤率が95%を超える。

 どんな仕事でも体調を壊して休むこともあるが、普通はお休みしますと企業に連絡をする。ただ、ここで感服したのが、オペレーターが高い責任感を持っていると、会社にではなく、その日にシフトが入っていない同僚に、「代わりに入ってもらえないか」と相談するらしいのだ。すると、人員分がきちんと埋まるので、出勤率が上がるというわけである。

 会社側もお客様に対応するのに、最適な必要な席数を用意しているのだから、出席率が上がれば上がるほど、お客様の「会話」も徹底できるわけだ。

心で繋がる オペレーター は 通販 にとって偉大だ

 ここまで読んでみて、どうだろう。不思議と全ての話が紐づいているではないか。それも、皆の目指す先がお客様を喜ばせようという一点に絞られているからなのではないかと思う。

 少しもマニュアル、ルールを感じさせることなく、自然に人が人に働きかけて、いい循環を生んでいるから、結果が出るのだ。繰り返すが、僕の最初の問いにあった、継続するごとに対応が変わるのは、意図的に何かしているわけではなく、信頼が深まっているのだ。

 最後に、僕は、西野さんがコンピュータシステムを作り、導入した際に、オペレーターが今までと変わりなく対応をしているように思わせるシステムであるかが大事だと話していたのを思い出すのである。

 そして今更、その深い意味を思う。コールセンターがお客様と深くつながり、自主性を持っているから必要なデータが何かも明確なのであり、それを西野さんが熱心に拾い上げて、コンピュータにしたのだ。だから、6000万円だった年商は、470億円にまで成長したのだと痛感した。 

 西野さんは、さらりとその時のことをこう語る。「年商は10倍になったけど、社員の数は2倍でしたね」と。それは何を重んじることがお客様のためになるのかを、全員がそれぞれの立場で把握していたからこそ、成せる技。マニュアルではなくオペレーターを起点とした仕組みの勝利である。

 コンピュータは必要な機能を果たして、変わらずオペレーターがイキイキと第一線で働くことができたからこそ、生産性は高まり、大いなる実績を得られたのだと僕は思った。改めてその仕組みを作り出したチームワークにあっぱれである。そして、オペレーターは通販において大きな存在であり、誇れる主役である事を思うのである。

 今日はこの辺で。

(関連記事)取材での内容を全て残さず記事にしたのがこちらだ。一万字に及ぶ、やずやの理論とその実践となる。今回の内容を深掘りしたい方は読んでみるといいだろう。

やずや CRM実践コールセンター対談vol.1

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