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オペレーターを支えたコンピューターの中身 “やずや CRM 基幹システム”で紐解く やずや理論vol.5

 やずやの理論は本質的で人間の心理に立脚したものである。しかし、規模を大きくできるだけの生産性の高さは創業者の矢頭宣男さんをもってしても見出せなかった。でも、西野博道さんの手がけた“コンピューター”がそれを可能にした。今はその“コンピューター”は存在しないけど、今も彼は「やずやCRM基幹システム」というシステムを提供している。だから、そのシステムを例に取りながら、当時のコンピューターが何をもたらしたのかを僕は確認したのである。

土台は稼働顧客 やずや CRM システム

1.接客で正しく健康を指南する

 やずやの通販が追求してきたのは、健康をきっかけにしたお客様との深い関係構築。ヒット商品「香醋」などの商品もそこに直結している。つまり商品に限らず、トータルのケアをするところに意味がある。故に、コールセンターのオペレーターの存在が重要になる。

 だから「やずや通販CRM基幹システム」は導入先の通販企業のオペレーターにその知見を伝授する。そう言えば、西野さんは自前のリソースを使うことにこだわっていた。それに、外注ではなく社員がプロフェッショナルとなることを主張していた。

2.オペレーターの質問力が顧客との距離を縮める

 でも、それはカタログやチラシの通販だけに通用する話ではないんですか?失礼ながら、西野さんにそう聞くと首を横にふった。

それは、伝授する内容が、お客様との関係を築く上で、誰にとっても通用する普遍的なものだからだ。今使っているECシステムに、この基幹システムを連携させれば、もうそれだけで“家庭教師”ができたようなもの、ということになる。

 それが「こうしなさい!」というよりは、もっと本質的な内容を促すもの。だから応用が効く。オペレーターは各々の裁量で、自分の頭で考えるようになる。しかも、それでお客様との心を通わせることができれば、オペレーターの士気も向上する。

  面白いのは、それが進むほど、お客さまとの関係が深くなるので、お客様とも多く会話することになる。ゆえに、それだけ多くのお客様データがこの基幹システムに蓄積されるというわけだ。また、何をどのようにログに残しておけば、他のオペレーターが対応しても「全く同じ人が対応した」かのように再現できることを、その基幹システムは知っているのだ。

人間力を礎に置き経営を安定化させる事が今の通販の急務

1.旧来の友達のような自然な演出。それはこうして生まれた

 次に、人間が不得意な部分に着目した。大きく分けて3つだ。『記憶力』『スピード』『ミス』である。

  「人間が不得意な要素をコンピューターがフォローする。それを踏まえて、オペレーターがお客さまと対応すれば、以前、話したオペレーターと同じ人かのような錯覚に陥る」と西野さん。

 言い換えれば、以前話した内容を的確に記憶しておけば、まるで以前話したように感じるということ。 そのスピードが早く出てくれば、なおのこと、距離は縮まる。

2.お客様の管理ではなくコミュニケーションの手がかり

 だから、基幹システムは過去の知見に基づき、お客様が喜ぶ必要な情報を必要な形で、瞬時に映し出せるように工夫している。全ての原点はコールセンターの会話にあり。それがよくわかる。

 改めて、お客様との深い関係構築にあたっての礎は、コンピューターにあったのだ。

 オペレーターが手元に何を情報として持っている必要があり、いかにそれらをすぐ出せるか。基幹システムはそこを徹底していたのである。一人で何役もこなすこういうコンピューターが重要なのは、その貢献ぶりでわかる。年商470億円を達成した時のスタッフの数はわずか97名。

3.お客さま図鑑と上手に使いこなせるオペレーターの二人三脚

 特別に、基幹システムの核心部分(管理画面)を見せてもらったが、それを見て確信に変わった。つまり、それは“お客様図鑑”なのだ。

  • お客様が手元に持っているチラシ・販促資料
  • お客様へのオファー内容
  • お届けしたDM・同梱物
  • お客様からもらった手紙
  • 周辺地図

 これら何から何まで揃っている。それらお客様の情報を一元で見ながら、オペレーターがやりとりできる。これを手掛かりに、相手との人間的な繋がりを意図するのである。

5.繰り返すほどに仲が深まる理由

 そして、使うほどに、そのお客さまとの会話を盛り上げるのに必要な材料が蓄積されていく。

西野さんに以前、質問させてもらった事があった。「お客様が購入回数を重ねるごと、信頼度が増していくのは、何か意図的に会話の中身を変えて話しているのですか」と。しかし「そんなマニュアルなどは少しも存在しない」と話したその答えがここにあるような気がする。

 この“お客様図鑑”があるから個々人の個性に委ねられる。それが自然に会話の質を高めていけるわけだ。だから、お客様とオペレーターの本音が飛び交う。また、各々の健康を把握し、然るべきケアができる。深い関係性の土台はこの“コンピュータ”と二人三脚で構築されていたわけだ。凄いメカニズムである。

6.そんなことまで?という情報もあるのは・・

 だから「周辺地図」まで示される。それが購買することにどれだけ関係あるのだろう?と思ってしまうかも知れないけど、購買以前に、関係構築における有力な武器となることは、ここまで読んでくれた人には気づくだろう。

 周辺地図が分かれば、その時間の天気を出せるし、その日が雨なら「ジメジメしますね」という具合に、まるでその場にいるかのような演出ができる。全ては会話とお客さまとの関係にあるから、こういう心が開きやすくなる要素は大事なのである。ロボットのようなマニュアルを読み上げるオペレーターにはならないし一方の社員の側の意識も高まり、定着率も高くなる。

今こそ通販は長期的展望に立って、先を見据える時代

1.解決するためのシステムではなく、関係構築のためのシステム

 巷に溢れるネット通販などのCRMツールとは根本的に異なる事がわかるだろう。巷のCRMツールは、言うなれば、薬のようなもので、その場で問題点を解決させる手段として十分に価値を持っている。でも、それとは別のベクトルで、この通販CRM基幹システムは、お客様との関係を育てるツールなのだ。

 西野さんが最初にコンピューターを提案した時、やずや自体が考え方の骨子はできていた。ちゃんと業務もまわっていたけど、大企業へと成長する「前の段階」にあった。つまり、骨子はできてもそこに効率性がなかったから、生産性が高いとはいえなかった。そこで、ガッチリ機能したのが“コンピュータ”である。

2.矢頭宣夫さんは先見の明でここに1億円の投資をして飛躍を掴んだ

 創業者の矢頭宣夫さんは年商5億円の時に、1億円の“コンピュータ”投資をした。しかし、そこまで西野さんに賭けたのはなぜだろう。それは西野さんがコールセンターに張り付いて、コールセンターの役目は何か、何をサポートすれば良いのかという部分を落とし込んだ仕組みだったから、というわけである。

 その矢頭さんの西野さんの手がける“コンピュータ”への投資は的中。現に年商470億円を達成した。これは現場を知るやずやにしかできないシステムであった。創業者はそこを見抜いていたのだ。

 ようやくわかった。彼がその時の“コンピュータ”をやずやCRM基幹システムに託す意味を。

 未来に羽ばたく姿を、彼はやずやだけではなく日本中の通販企業に夢を見ているのだ。基幹システムを使うかどうかは敢えて勧めないし、読者の判断に任せる(失礼!)。ただ、僕はこの“コンピューター”に込められた本質はずっと永遠に価値をもつものだと痛感した。とんでもない仕組みですよ、西野さん。

 通販企業よ、そこに夢はあるね。志を高く持ってその一歩を歩み出そうではないか。

 今日はこの辺で。

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