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トーフ親子 25周年 長寿の秘訣 キタイシンイチロウ氏 直撃

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「キャラクターは絵柄じゃない。生き物のようにして命を吹き込むことで、ずっと人の心に残ると思います」。親愛なるクリエイター、キタイシンイチロウ さん(DEVILROBOTS)の言葉。彼が手掛けた「トーフ親子」は言葉通り、今年で 25周年 、つまり四半世紀生きた事になる。何がそこまで長きにわたり愛される土壌を作ってきたのか。その舞台裏に迫った。

今や DEVILROBOTS の代表作トーフ親子

 DEVILROBOTSはグラフィック、キャラクター、イラスト、映像、WEB、音楽、グッズのクリエイティブを行う。これまでもDisney、NHK、Sanrio、ガチャピン&ムック、タツノコプロ、円谷プロ等のリデザイン、ミュージシャンやアパレルブランドとのコラボも手がけ、実績は豊富。キタイシンイチロウさんは、その DEVILROBOTS の代表である。

 一方、「 トーフ親子 」はトーフの妖精。こけるとペチャとくずれる。だから、ドキドキの困り顔をしている。お祝いするときは「OMEDETO-FU(おめでトーフ!)」。御礼を言う時は「ARIGATO-FU(ありがトーフ!)」。礼儀正しく、和の精神を持ち合わせるキャラクターだ。

 それが今年25周年を迎えた。キタイさんの人生の一部と言って良い。どうしてここまで続けられたのか。

大人にも受け入れられるキャラがあるべき

トーフ親子25周年

 僕が出会ったのは、15年前、社会人になりたてて初々しい時代のことだ。放っておけない、哀愁漂い、ぺちゃ!とくずれてしまう、ブラックユーモアもある。そんな雰囲気は僕の目に止まったのだ。

 「キャラクターは、子供向け」。そんなイメージはキャラクター業界にはなくはない。しかし僕は思っていたのだ。「買うのは子供ばかりではない」と。大人にも受け入れられるキャラクターがあって然るべきだ。それで「トーフ親子」に光を当てた。大人にこそ分かる“センス”。それについて、主張していたのが懐かしい。

 キタイさんはこう述べる。「ここ10年くらいでキャラクターの印象はまるで変わりました。大人の人たちが当たり前に、グッズを買うようになりました。今、『トーフ親子』を支えてくれているのは、大人も含めた幅広い層のファンの方たちです」。確かに世の中は変わったのだ。

トーフ親子 25周年 キタイシンイチロウ さんの最近

トーフ親子の25周年

 『トーフ親子』が今、拠点としているのは海外。毎年、香港、台湾、タイ、シンガポールなど。世界を駆け巡り、トイ・イベントなどでフュギュアを販売。サインを書いて、世界のファンとコミュニケーションを取っている。ここ10年くらいは香港のエージェントが積極的に動いてくれていて、世界中のファンとの橋渡しをしてくれている。

 ひとたび、彼がトイ・イベントに参加するといえば、ファンが集まる。それらのファンは熱意を持って、その魅力をまわりの人たちに伝播してくれる。自然発生的に広がっているのが特徴だ。

ただ可愛いだけではなく、スパイスの効いたコンセプト

 とはいえ、海外に受け入れられる、というのは並大抵のことではない。

 「今思えば、食べ物の豆腐がモチーフになっているのが大きかったです。ヨーロッパやアジアなどで「豆腐」はヘルシーフードとして浸透している。だから、世界的に見ても身近なもの。だからこそ、このキャラの意図するイメージが伝わりやすかった」。そうキタイさんの話を聞いて納得。コンセプトの勝利である。

 キタイさんは、そうやって『トーフ親子』を、いつしか「おもちゃ」という枠組みを超えた。「デザイナーズトイ」という洗練された“大人のコレクターズアイテム”へと進化させていたのである。これぞ、僕も、本来、キャラクターのあるべき姿だと思う。

トーフ親子 の 25周年 は人とチャンスの積み重ね

MY FIRSTO-FU

 今、メインで活動している海外においても、最初の頃オファーを受けたのは、デザイン雑誌での漫画連載であった。「漫画を描くわけですから、自然とトーフ親子の世界が増えて行きますよね」。そう語り、まわりの人たちの後押しによって、トーフ親子が広がっていく実感を得たという。

 そして「ファンの方は、ずっとファンでいてくれる。だから、僕らも海外で開催されるトイ・イベントの度に新たなデザイン、フィギュアを作っていく。その過程では、どうアイデアを盛り込んで、ファンを喜ばせるようかと知恵を振り絞ります。そのおかげで僕らは前進できている。まわりの人が育ててくれているという実感もあります」とも。

 そして、「いろんな人と出会い、いただいたチャンスに対して、自分のアイデアとか、膨らませていくじゃないですか。そうやって、世界観を広げていったんです」と語り、その言葉はとても深くて強い。

 もとは、大御所イラストレーターの「スージー甘金」さんの企画展に絡んで、キャラクターコンテストが開かれ、応募したのが始まりだ。『トーフ親子』はそれでグランプリに選ばれた。その後、スージー甘金さんの事務所に行った時に彼は『トーフ親子』を覚えてくれていた。「面白いキャラなので、長く展開していった方がいい」。そう背中を後押しされて、それが25年である。人生とは本当にわからないものだ。

21世紀のクリエイター達へ

 丹精込めて『トーフ親子』を立派に“成人”させた彼は、未来のクリエイターにこう言葉を投げかける。「キャラクターは人々に“happy”をもたらすものでなければならない」と。

 トーフ親子も最初は困った顔なので口元が「へ」の字だった。でも、ファン層が子供や女の子に広がる過程で、時折、笑みを浮かべるようになったという。ファンに迎合するわけではない。彼がその必要性を感じて、優しい風貌に変化させた。“happy”を追う中での気づきなのではないか、と思う。

 月並みな言い方だが、キタイシンイチロウさんとファンの中には相通じる、共感がある。だから、ファンは次を期待する。ファンは彼を育て、彼はファンを育てるわけだ。相思相愛は、これからもずっと続いていくだろう。

 キタイシンイチロウさんが、生き物のように命を吹き込んだ「トーフ親子」はファンの人々のハートの中で素敵に、happyに、魂を宿して、生き続けている。

今日はこの辺で。

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