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サムライスチームポルカ初の個展が開幕!そこに潜む、実験的取り組みと革新性

 コンテンツは数あれど、「サムライスチームポルカ」のその革新性には、僕も注目している。先進的なデジタルアートとフィジカル商品の融合により、リアルとデジタルの垣根を超えた新しい価値観を提供しているからだ。東京・原宿の「DISCUS」のショップを訪れた理由は、「Samurai Steam Polka First Exhibition」が開催されているから。9月24日まで開催されている。彼らの初の個展を通じて、フィジカルとデジタルの価値観がどのように融合していくのか。それを紐解いていくことにしよう。

サムライスチームポルカとは?

 「サムライスチームポルカ」は、クリエイターのスチームポルカ(Steam Polka)さんが手掛けるアートプロジェクトである。彼自身は、スチームパンクとメルヘンの要素を融合させた独自のアートスタイルで知られている。

 「和」と「クリプトアート」の融合をテーマにしており、フィギュアやアート展示、ゲーム、音楽など、多方面にわたるクリエイティブな活動を展開していくことを目指している。

 特筆すべきは、このプロジェクトがフィジカルとデジタルの両面で展開されている点。「クリプト」とは、NFTによって永続性・相互運用性・唯一性が保証されたデジタル作品を指す。

 要するに、デジタル上の価値が資産として所有できるようになった。それによって、リアルのアートと同様にデジタルの制作物にも価値が付き、価格がつけられる。それが可能となることで取引が生まれるようになった。ここがNFTの抑えるべき本質である。

 その新しい動きを受けて、そんなデジタルアートを所有することを起点に、フィジカルな世界へと導く。逆も然りで、フィジカルからデジタルへの繋がりも同様に意識されている。

資産としての価値

 興味深いのは、デジタルにも資産的な価値が付くことで、コンテンツに対して熱狂が生まれることである。

 なぜなら、アート作品のようにNFTで売り買いされることで、価格が変動するから。つまり、所有者は、そのコンテンツの価値を、リアルタイムで実感できるのである。

 コンテンツが盛り上がるほど資産価値が上がる。そのため、ファンが作者以上にその魅力を広めようとする現象が生まれやすくなる。だから、熱狂が生まれやすい。また、持ち主が可視化されているので、ホルダー同士の関係性は、深く結びつく。そう僕は解釈している。

 この取り組みは、その熱狂に基づき、リアルのフィギュアなどに持ち込むわけだ。

 フュギュアに関心を抱くという現象への呼び水を、デジタルの作品を通して行う。ここが新しく、実験的な要素を持っていて、だから、面白いのだ。

ストーリーと多様なキャラクターの魅力

 では、ファンを惹きつけるストーリーがどうなっているのか。そこにも、目を向けてみよう。もともと、スチームポルカさんの作品は、見ての通り、独特なキャラクターデザインと色彩感覚が特徴である。

 彼のデザインを活かして、「サムライスチームポルカ」では、以下のキャラクターがあげられる。

ガマ侍 ガマ八:片目が義眼のサムライで、ビリヤード8ボールを持つ。

ドロイド芸者 オト:普段は芸者として活動する女サムライ。

ドクター・ペスト:薬剤師としての顔を持つサムライ。

鬼忍 クロカゲ:千里眼を持つ忍者キャラ。

三度笠 ヒトツメ:盲目で、青く光る目が特徴。

潜水忍者 モグマル:潜水が得意な忍者。

妖術使い 白狐:杖に刀を隠し持つキャラクター。

恋落ち武者 ムクロベー:落武者でありながらも名誉を持つキャラクター

 つまり、「サムライスチームポルカ」の魅力は、8つのキャラクターが織りなす多様なストーリー。しかも、各々のキャラクターごとに、デザインバリエーションが複数、用意されている。だから、コレクターの心理をくすぐるわけである。

 元からファンを抱えるクリエイターの力。そして、綿密に作り込まれたこの世界観で、NFTの側から話題作りを行う。だから、このプロジェクトが『リアルな場所で』個展を開く面白さを感じていただけたのではないか。

コラボレーションと商品展開

 そして「サムライスチームポルカ」が今回、個展の開催場所を選んだのは「DISCUS」。「DISCUS」は、1973年にアメリカのヴァージニア州で設立されたスポーツアクティブウェアブランド。特に1990年代に大きな人気を博した。

 このブランド名は、円盤投げ(DISCUS THROWER)に由来する。そこから派生して、「伝統」「力強さ」「スポーツ」をテーマにした製品展開が特徴である。今、90年代のファッションスタイルが再評価される中、店の運営会社は本国からライセンスを取得。日本での展開を意図して、この原宿の店舗は肝入りである。

 僕が印象的だったのは、スタッフYUKAさんの言葉。自身もこのブランドが大好きな理由として、昨今にはない色使いを挙げた。ニュアンスとして、語弊を恐れず言えば、最近のブランドは、エッジが効いていないということなのかもしれないと僕は受け止めた。

 安く画一的なファッションが多く、コーディネートで差別化しているのが昨今。彼らは、ボーイッシュでとがったストリート系のファッション。可愛いと言うよりクールである。

 流行りすたりに関係なく、その90年代ファッションも一つの価値観。それで、受け入れられてもおかしくないから提案しているのだ。これはこれで応援したい。

単なる展示ではない、新たな市場の開拓

 さて、「DISCUS」もまた、すでに存在するブランドながら、今の世代には認知されていない。だから、その価値観を広めるべく、貪欲に色々な価値観とコラボをしていく。それによって、新たな客層を引き込みたいからだ。「DISCUS」のリアル店舗は、「サムライスチームポルカ」との出会いを、渡りに船と捉えたことだろう。

 話を戻せば、これまでもNFTを活用したプロジェクトは多く存在してきたわけだ。

 しかし、今回の取り組みはさらに一歩、先を進んでいる。

 例えば、NFTホルダーだけが購入できる限定フィギュアや商品が用意されている。この「ぜんまいずきん」のフィギュアは、NFTホルダー用。しかも、特定の同ブランドのNFTを持っている人の中から、抽選で選ばれた人のみ手に入ることになっている。

 リアルとデジタルにおけるIPにおける仕掛けは、両者で分断されていたので、画期的なのである。

フィギュアとしての楽しみを知ってもらう機会にも

 そして、スチームポルカさんの真骨頂とも言えるのは、フィギュアの数々なのだ。

 絵としての魅力はNFTで実感していた人も、フィギュアとしての完成度の高さを見ると、一層、関心を深める結果になっている。いわば、デジタルとフィジカルの垣根を超えたことで、互いの良さに改めて気づけるわけである。

 フィジカルは楽しみ方も多様。下記のフィギュアは、家で装飾を楽しめる。NFTを持つだけではなく、コンテンツを起点としたお客様は、自らの行動を通して、より深くその作品に浸れる。

 店内でお客様と話したところ、その方は「サムライスチームポルカ」は知らなかった。ただ、フィギュアに興味を持って、この店に足を踏み入れたそうだ。このプロジェクトの面白さは理解した様子で、アクリル・キーホルダーを購入していた。

 「DISCUS」とのアパレルコラボもあったし、ステッカーなども用意。誰でも手が届きやすく、初心者にも優しい。

 やっぱり想像通り。

 チャレンジ精神の旺盛な取り組みであることを実感した。NFTを発生源として、熱量を高める、リアルとデジタルで影響し合う価値観の広がり。それは、未来のコンテンツのあり方に一石を投じそうな気もする。

 「サムライスチームポルカ」は、デジタルアートの可能性とフィジカルな商品との融合を示して、どれだけ人を熱狂させられるだろうか。お手並み拝見といきたい。

 今日はこの辺で。

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