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17LIVEとジグザグの連携による越境ECの新たな可能性

 今や、商品がいいだけでは売れない。誰かが牽引することの意味を思い、インフルエンサーの価値を考えた。その中で、ジグザグは今までとは違った視点で「17LIVE(イチナナライブ)」と連携して、日本の商品の良さを掘り起こして、海外への道筋を作ったのである。ただ、彼らが主体としている「買い物代行」というビジネスから派生して、データバンクとしての側面で、越境ECを活性化へと裾野を広げている点が面白い。

越境ECのマーケットとジグザグの役割

 「17LIVE」との連携。それだけ聞けば、ライブコマースで販売する商品を、海外のお客様にも買えるようにすることなのかな。そう思ってしまう。ところが、それは全く違っている。17LIVEの特徴や強みを見れば、わかってくる。話を聞かせてくれた ジグザグでウェブインバウンドエバンジェリストの肩書を持つ 鈴木賢さんの言葉に僕は納得したのである。

 そもそも、17LIVEは、KOL(Key Opinion Leader、いわゆるインフルエンサー)を通じたマーケティングが得意なプラットフォームである。17LIVEは1300人以上のKOLを擁しており、その多くが既に台湾や東南アジアで活躍している。

 ここで大事なのは、17LIVEの運営元イチナナの事業のあり様なのだ。確かに17LIVEのプラットフォームを使ってのライブ配信で、投げ銭やEコマースなどもやっていたりもする。しかし、そのインフルエンサーの売り方は多種多様なのである。

 そこにとどまらず、ソーシャルコマースも併用することで、リアルタイムでファンと商品の販売活動を行っている。思わず、僕は鈴木さんに問うた。

 ソーシャルコマース?

 例えば台湾では、facebookで商品を販売するインフルエンサーがいる。限定公開するページで商品を紹介して、即座に購入されるのだ。つまり、そういうSNSを土台にした売買の決済部分を一部、17LIVEが担っているのだ。

17LIVEとKOLの力

 うん?僕らがイメージする17LIVEのイメージとは違った顔が見えてきた。要するに、彼らは、KOLと商品をマッチングさせる過程で必要な決済のプラットフォーマーでもあるということか。この点をまず抑えておいてほしい。

 その一方で、ジグザグは、越境ECを支援するために、世界中の消費者と日本のECショップを繋ぐサービスを提供している。同社は、購入代行サービスを通じて、3000を超える日本のECサイトと連携。海外のお客様に商品を届けてきた。

 特に台湾、香港、アメリカなどの国々で強力な販売実績を誇っている。実は、大事なのはここから。それだけ流通しているということは、データが揃っている。

 つまり、同社のデータは市場動向を的確に把握するための重要な指標となっている。要するに、販売代行としての顔を持ちながら、確かなデータを持ち合わせたデータバンクとしての顔もある。そうすると、各国での販売動向をデータベース化すれば、新たな価値が生まれる。どの国の消費者がどのような商品に関心を持ち、どのECサイトでどの程度売れているかを把握できることになる。

ソーシャルコマースとライブコマースの融合

 ここの部分をインフルエンサーと紐付けするわけである。また、彼らの強さは、正規品(新品)を扱う企業と多く繋がっていることにある。そのデータはブランド意識の高い企業ほど、海外展開の足がかりになる大事な指標となりうる。

 このデータをもとに、KOLがどの商品を扱えば最も効果的か。それを判断すれば、良いのではないか。ここに連携の真意がある。

 全体の流れを聞いたところ、17LIVE自体が倉庫を持っている。インフルエンサーはお店のようなものなので、お客様対応はインフルエンサーが行うわけだ。

 すると、日本の企業は、17LIVEで商品登録を行い、商品とインフルエンサーとの引き合わせが行われる。それで、日本企業は同社の指定の倉庫に納品する。選ばれたインフルエンサーがライブ配信やソーシャルコマースで販売され、商品はその倉庫からお客様のもとへ届く。

 あれ??ジグザグはどこで出てくるのだろう。

 実は、この引き合わせの段階で、彼らのデータが活かされる。膨大なデータの中から、その日本企業のお店のポテンシャルが発揮されるインフルエンサーと引き合わせが行われるのだ。当然、ジグザグは、17LIVEからマージン料が入るようにできている。だから、店側があらためて、ジグザグに払う必要はない。

面を取りにいくことの大事さ

 しつこくて恐縮だが、そこまでジグザグのカラーが出ていなくていいのだろうか。すると、ジグザグは「面を取りに行く」ことの大事さを口にした。

 その意図を紐解くにあたっては、彼らが「舩坂酒造店」と連携して、越境ECに関して、ある取り組みを行なったことを紹介したい。「舩坂酒造店」と行ったのは、ショップカードを用いた、法人客向けのO2Oマーケティング。

 要するに、訪日客を対象に、カードなどをリアル店に設置したわけだ。そこに記載されたQRコードを読み取ればWorld Shopping BIZの導入された舩坂酒造店のECサイトへアクセスできる。これにより、日本を離れ、海外にいても、そのお店の商品を買えるようにしたのだ。

 ここでジグザグは、ある気づきを得た。思いの外、その経由で購入したお客様の国が多岐に及んでいたのである。逆に言えば、まだ越境ECの伸び代があると考えた。まずは接点を作り、越境ECを当たり前に購入する土壌を作る。そこから、新規顧客層を獲得することの大事さを学んだのである。

 だから、あまりジグザグのカラーが出ていなくて良い。これまでアプローチしきれていなかったユーザーに対してアクセスできれば、いいのだ。それがその後、越境ECを使ってもらえる土壌になる。それに、彼らの分析により導き出されたデータは、彼らが取引先としているお店と親和性が高い。以後、買ってもらうことを考えれば、この動きは販促にも相当する。

異なる国の個性のニーズに合わせた買い方で

 それに加えて、海外で使われるプラットフォーマーの存在意義である。要するに、日本でいう常識が海外では通用しない。台湾では、Facebookのグループ機能を利用した販売手法が主流。先ほど、そう記載した通りで、鈴木さん曰く「プラス1」の文化がある。

 「プラス1」?

 KOLが自身のfacebookのファングループに商品を紹介するのだそうだ。お客様は、そこで「プラス1」というコメントを寄せる。すると、それが購入とみなされる。そのシステムが一般的。つまり、買い方すらも現地の特性に合わせて、道筋を作ること。それが大事なのだ。

 ゆえに、このようなソーシャルコマースの仕組みをサポートしている「17LIVE」と組む意味が出てくる。より多様な販売チャネルを提供し、消費者との接点を広げているのだから。そこをジグザグは見抜いて、17LIVEと連携するということなのである。

 かくして17LIVEは、僕らのイメージとは違った顔を持っていて、そこが発揮された今回の連携なのである。

 単なるライブ配信のプラットフォームとして認識されがち。だが、実際にはKOLを抱えた巨大な決済と物流のプラットフォームを提供している。

 だからKOLと商品の間で適切な導きをジグザグがもたらすことは、結果、それが「面で取りに行く」ことになる。それが、越境ECの発展へとつながる布石となる。

連携の効果と展望

 17LIVEにしてみれば、KOLの可能性を最大化する利点がある。それだけ多くの商材が扱え、適性もわかるのであれば、KOLは更に躍動する。

 正直、今回話してみて、ジグザグという会社の新しい可能性を見た気がした。彼らが「買い物代行」というビジネスをしているのは知っている。でも、今の話は、そこから派生している。越境ECのデータを活用し、ターゲットを絞った効果的なマーケティングを行っている。

 海外との流通における購買データは、17LIVEとジグザグ両社にとってウィンウィンの関係を築いていく。

 改めて、ジグザグと17LIVEの連携は、KOLの力を最大限に引き出し、越境EC市場の成長を促進する。ジグザグが提供するデータを活用すること。それで、より的確な商品選定と販売が可能となり、そのデータはより精度の高いものとなる。

 そして、17LIVEのプラットフォーム上での売上がUPすれば、一層、この連携の意味が出てくる。この連携が、その精度の向上とともに、日本のECサイトにとって利するから。それが触発され、海外に進出するための足がかりになることを期待したい。それが、日本の底力の発揮となるのだから。

 今日はこの辺で。

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