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手本なき新事業の展開 他とは違う成長のしかたの理由 トランスコスモスに学ぶ

 こうも変幻自在に中身が変わりゆく企業もないものだと思っていて、それは、トランスコスモスについての話である。彼らの祖業がコールセンターなのに、今やデジタルマーケティングなど、かなり違った業種へと進出していく発想が社内にあり、また、それを活かす土壌があるのはなぜだろう。

ビジネスモデルを提供する場面は変わっている

1.目先の目的にとらわれない視点

 何気なく、それが気になって、所さんに話を聞いてみたのだ。面白かったのは、「ビジネスモデルは変わっていない」けれど「ビジネスモデルを提供する場面は変わって来ている」としている点である。

 最初、トランスコスモスという会社は常駐という形で、社内にある事務方の役割をアウトソーシングしていく企業であった。ただ、実際には、そこで事務の仕事をやるというよりは、当初からそこの業務でいかに効率化をはかれるかという視点に重きが置かれていた。つまり請負の仕事と捉えていないわけだ。

 「だって、10あることを10やるのは意味がない。いちいち10あることを全部を説明することなく3で済ませられる仕組みを考えることのが大事。」と。確かに、彼らはいろんな企業を共通に見渡す中で、一番最適な事務方のあり方を築き上げた。それを人と人とのコミュニケーションの中で具現化して、課題解決していったわけである。早い時期から、プラットフォーム的な発想があったと言って良い。

2.コールセンターもデジマも同じ

 その業務が個々に抱えるお客様の問い合わせ対応に至った時には、敢えて、それをコールセンターという形にして敢えて、切り離して、自社で一括で運用していった。そのほうがその効率化を図れるし、取引企業の生産性を更に高めることができるからである。

 そんな中で、インターネットが普及し、高いコミュニケーション性とノウハウを活かせるのは何かと考えた時に、企業におけるサイト制作の業務から、ECの隆盛と共にそのデジタルマーケティングの一端を自ら担うことになるわけである。結局、どれもコミュニケーションにおけるプロフェッショナルとして、その時代に合わせて何ができるかを追い求めていたに過ぎないと話すわけである。

 だから、コールセンター業務一つを取り出してみても、請け負うだけではなく、そこでの「対話を最大化」させることで、自分達の可能性の幅を広げられないかと考えるのが、彼ら流である。

本質的な価値への投資

1.他とは違う成長の仕方の理由

 そこには挑戦が伴う。言われたことをやるだけではないからだ。そこは、トランスコスモスが創業者一族が経営している強みが発揮されているのかもしれない。サラリーマン経営者のような目先の判断にとらわれず、未知なるものへの投資へ積極的に行うことが、彼らの姿勢に対してプラスに働くわけである。

 コールセンターを例にとって考えれば、こうなる。この考え方が我々にとって学びがあると思う。

 「例えば、100件レベルの問い合わせに対処しよう。それ自体を目標にしてしまえば、それが出来次第、それで完結して人は考えようとしません。しかし、そこでたかだか一件、二件のニッチな声を深掘りして、ビジネスを拡大できないかと考えることで、新しい視点が生まれます」。そこで生まれたのがリサーチの事業です。お客様がその悩みに絡んで、自ら情報を色々明らかにしてくれているのだから、マーケティングリサーチをするよりも有益であると捉えているのである。つまり、その事業内容に、リサーチを兼ねればいいのだと。

2.対話の最大化

 つまり、彼らがやろうとしているのは自らの立場をを利用しての「対話の最大化」なのであって、これを個々の企業が別々でやろうとしても難しい。かつ、コールセンター専業でも先ほどの視点では踏み込めない。だから、彼らはそこで考え方を柔軟にして、頭一つ、飛び出すことになった。

 声を活用していくという視点で考えれば、宝の山。コールセンターはコストセンターどころか売上に直結する付加価値をもたらす部門となる。するともはや価格競争に入らずに済むわけだ。

 しかも、彼らの場合、デジタルマーケティングの部隊がコールセンターの横にいると「そのお客様のログを活用できるのではないか」と気付けるわけである。だから、彼は言うわけだ。案外、ビジネスって目先の目標にとらわれて、大事な価値を見落としているんではないかと。大事な価値を見落とさずに、拾い上げることができることが企業価値に直結しているのである。そう視点を変えるだけで、何も考えていなかったオペレーターが色々考えるようになって、現場も変わっていき、自分達の仕事の価値も高まり、事業の幅も広がっていくのである。

 取引先は縦割りであることの方が多い。だから、トランスコスモス側がその点、コールセンターとマーケティングが寄り添って、その企業の最大化に努める。彼らはもはやコールセンターではない立ち位置なるのは言うまでもない。彼らに寄せられる相談は多岐に及ぶわけだ。

未来は何を見据えるべきだろう?

1.真にお客様を知るとは?

 それを未来という視点で見てみよう。これから、彼らは時代と共に「お客様を知る」ということで、細かなところで言うと何を見据えていくのだろう。

 これまた、所さんの視点が本質的。データ重視の世の中になるほど、コールセンターがデータログを取る際、そのログばかりを捉われ過ぎないようにすること。それを指摘したのだ。

 あれ?問い合わせの声は宝の山ではないのか。一見すると、その言葉は矛盾しているようなのだが、それは違う。実は、その問い合わせをする人のステータスの方をデータ化することで、言葉で見えない真理が見えてくるのではないか、と説くのである。

 その人がどのような属性で、これまで何回、電話をして来ていて、それが購入前なのか後なのか。その他、電話をかけて来ているのは本人なのかであるとか、何時なのか、という具合に、言葉以外のデータを取りに行くわけである。その要素の方をデータ化をしていくことで、その「言葉の真意」が見えてくると。価値あるマーケティングデータは、そちらなのではないかと説明するのである。

2.コミュニケーションの質を高める視点で攻める

 すごくわかりやすい例でいうなら「いいです」と言われて、これが「良いです」なのか、「もう結構です!」なのか。それはその人の属性、背景を知らないと、そのどちらかすらも見えないだろう。

 言葉の字面とその背景を組み話せることで、本質が見えてくる。見えない価値を拾い上げて来た彼ららしいアプローチであり本質的である。デジタルはやっぱりより人間的になっていくのだと思った。

 それが彼らのいうところのコミュニケーションの質の向上なのだと。

 だから、新事業で大事なのは、実はどんな企業も、各々その材料を持っているんだと。ただ、それを見えないままにするか、価値を拾い上げてくるかの違いなのだというわけである。

 彼ららしいアプローチであり本質的。だから成長するのかもしれないという結論に至るわけだ。デジタルはやっぱりより人間的になっていくのだと思ったのである。

 これが、「ビジネスモデルを提供する場面が変わって来ている」のに乗じて、その時々で視点を変化させながら、一番最適なアプローチを考える彼らの真骨頂である。こうやって、新しいビジネスを模索し、投資も行う。このサイクルが結果、冒頭話したように、多岐にわたる事業内容を生み出して、コミュニケーションの質を高めているのだと思った。

 今日はこの辺で。

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