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noteとは ?企業が こぞって“発信”する理由 徳力さんに聞いてみた

 noteとは 何だろう。最近、興味を持ってその動向を見ている。noteはブログのようにして、長めの文章を書けるプラットフォームであるけど、少し違ったメディアであって、こぞって企業や経営者がここで“発信”している。面白いと書いたのは、過去、メディアにおいて多くの人を行動へと駆り立てた「宣伝」と真逆の特徴を持つからであって、それはnoteプロデューサーの徳力基彦さんと話していて気づいたことである。

note での 発信 は何が違うんだろう

 僕は、徳力さんとの会話で、「最近、SNSで脚光を浴びる文章って、嘘偽りが無いものではないかと思うんです」って話をしていて「嘘偽りがないってどういうこと?」と徳力さんがそこに関心を持ち始め、この話になったのだ。

 「それは何も正しい情報を発信するというってわけではなく、自分の気持ちに嘘偽りが無いっていう意味なんです」そう僕がいうと興味深そうに「なるほどなあ」と言って、徳力さんはうなづく。

「確かに、かつてマスマーケティングの中においては『宣伝』が絶対的な影響力を持っていたけど、それって少しばかり大げさに言わなきゃいけないからその意味では嘘が少しばかり入るって事かもしれませんよね」と徳力さんは続けた。

 まさにそうだ。noteにしても、Twitterにしても、YouTubeにしても宣伝色のあるものはユーザーも敏感でほぼシェアされていない現実を見ると、今メディアとして影響力を持つのは、かつてとは「真逆の特徴」を持ったものではないかという事だ。

 その文脈で徳力さんは「この人なんか、そうじゃないかな」と紹介してくれたのが「73歳すし屋のnote【現役】」。

 下北沢のお寿司屋さんがこのコロナ禍で、自分のお店が苦しくなる中で自分の想いを伝えようと、写真を添えたりして書き始めたもののようである。

 ここには少しも嘘がなくて、お寿司への思いを切々と語られている。ただそれだけかもしれないが、だから多くの人が店自体に詰め掛ける要因になった。

note はブログと何が違うんだろう?

 変な話であるが、それはnoteというプラットフォームの特性もあるのかも知れない。僕は失礼ながら、徳力さんに会ったときに最初「noteってブログと何が違うんですかね?」と質問したことがある。

 そこでそこで彼から返ってきた言葉が「noteっていうのは記事スタイルなんですよ」と言われて納得した。

 これが、このプラットフォームの特徴を言い当てていると思っていて、それはこのnoteの創業者である加藤貞顕さんの想いにも起因する。

 徳力さんは「全部が全部そういうわけではないのだけど」と前置きした上で、元々このプラットフォームは世の中の編集者を意識している部分があると。

 紙メディアが徐々に勢いを失っていく中で紙がなくても発信できるように、という想いがある。だからnoteにはブログのように広告の類は一切入らず、むしろ収入はそのコンテンツ自体に課金する形で成立させた。

 徳力さんは「正直こういう課金が浸透するとは僕も思っていなかったのだけど」と笑いながら、それが当たり前にこのプラットフォームでは通用していて活性化を担っていると。

 それと「編集者を意識している」という話を聞きながら僕が思った事がある。言われてみればこのプラットフォームの体裁は日記的なものを書くというより「論説文を書いているのに向いている」ような気もした。

 つまり「〜〜をしました」的な日記(小学生の日記を思い浮かべればわかりやすい)ではなくて、もう少し進化して様々なエビデンスを添えて、自分の考えを主張していく場。その感覚に近いと思ったのだ。

 また、それでいうと冒頭、話した「『宣伝』などとは『真逆の伝え方』の特徴を持ったもの」という部分が活きてくる。

 先程の「寿司屋」さんの話も、自分の長年、蓄積してきた寿司への考えを論説しているわけで、そこには当然ながら、少しの嘘もないし、宣伝でもないから、読者の心に真に響く。

 だから、伝えたくなって、拡散されやすく、マスも驚かせる影響力を持つようになる。

発信者に求められる“人”的な感覚

 そういう話をしていると、徳力さんは「それには人的要素が大事なんじゃないですかね」と言い出した。

 「SNSって色々な変遷を遂げてきているけど、Twitterはより人的な要素が強いコンテンツだと思っているんです。シャープはオフィシャルな情報発信というよりは中の人的な要素が強くてそこが受けています」と。

 確かに。僕自身最近思うことがあってそれは企業HPの役目である。

 企業はもうそれだけでは企業価値を伝えきれなくなっていると思っていて、そこに対しての答えがこのnoteを利用する企業の姿にあるのかもしれない。

 企業がそういうことで発信するのと、人々がそういう生の企業の姿を知りたいと欲するのは、合わせ鏡のようにして、時代にマッチしている。

 だから「FABRIC TOKYO CEOの森さんはよく『D2Cの人は一度、文章を書いた方がいい』って説明しているんです」と徳力さん。その意図は、そうやって自分の考えを可視化することで、結果、商品を買ってもらうことにも繋がるということだろう。消費者は商品だけでなく企業も見ているのだ。

 「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)のnoteも、チョコレートに対しての並々ならぬ魂、みたいなものが文章の中に宿っています」と教えてもらったが、確かにこれも、商品だけ売り込むのではなく、チョコを素材に、企業の姿勢を添えている。

 繰り返しになって恐縮だが、だから、今のメディアはかつてと「伝え方が真逆」である。今は無数に存在する不特定から、特定されたユーザーとつながり合う時代。すると、嘘偽りない胸の内を詳らかにする事から始める必要がある。だから、それは人に話したくなって共感が広がっていつしかコミュニティとなる。

 ネットの存在が「物事を伝える」ありようも変えていて、面白いではないか。それに伴いメディアも変貌していて、それは一人一人、一企業一企業の個性を尊重して、真に力を与える時代なのである。

 今日はこの辺で。

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