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デザインフェスタ 見えない才能を可視化する

 才能は本来、一人ひとりにあるはず。図らずもネットで発信できる世の中だから、それに本人が気付いて行動できるかどうか。行動して自信をつけ活路を見出した、なんて事が当然に存在するからこそ、チャンスを掴むかどうかは、その差でしかない。それが今回、デザインフェスタで多くのアーティストと触れ合い痛感した事だ。

デザインフェスタ 違った才能に気づいた人達

1.ソナーポケットeyeronさんの挑戦

 歌手が持つ個性は「歌う」だけではない。人にはいろんな側面がある。だから、それもまた発揮されて然るべきで、その出逢いは偶然であった。

 何気なく立ち寄ったブースで愛らしいキャラ。そのイラストを描いたのは「ソナーポケット」のボーカルeyeronさんである。ソナーポケットとは、3人組のアーティスト。いつでも「ポケット」に入れて持ち運べるような心に寄り添う歌を届けたいという願いから命名された。

彼らの曲を聞くとわかるが、爽やかで透き通るような心地よさがあり、気持ちの良いコミュニケーションがここにある。

 コロナ禍でライブがしづらい状況に。eyeronさんなりに考えたのは、Instagramでiron_no_iroというアカウントを作って、交流の機会を作る事。

 活動が粋だな。僕がそう思ったのは彼の取り組む姿勢にある。例えば、塗り絵の土台となるイラストを作り、ファンの人に色をつけてもらうなどを行った。アートをきっかけに、歌とは違う交流を生み出したわけである。それらはファンを起点に自然発生的に、拡散されたのだという。

https://www.instagram.com/iron_no_iro/

2.いつもと違ったファンとのつながり

 ブース内ではそれらのシールやTシャツを販売していた。そこに止まらない。同時に同会場で、そのコロナ禍以降のアート活動における集大成としてウォールアートも手掛けていた。

 今まさに壁をキャンバスに大胆にひたすら描き続けるeyeronさんは歌う姿とはまた違った熱量を感じる。

 「歌う」事とは違った気づきを受けてファンは一層、ファンに。ファン以外の人だって、それはそれで魅了されてファンになっていく。人間ってつくづく一つの側面では計り知れないと思う。不思議な話だけど、歌手に至るまでの経緯も含めて、全部、こういう彼のチャレンジ精神が導いたことなのではないか。売れっ子になった理由もわかったような気がした。

パティシエゆえの違った個性

1.パティシエが作った食べられないスイーツ

 「うわ、ちっさ!」指先ほどのサイズで精巧に作られたでスイーツに思わず立ち止まった。ブランド名を「morico Petite pâtisserie」という。

 その制作者である池森美咲さんから話を聞いて驚いた。こういうことをメインにしていたアーティストではなく元々、パティシエなのだから。

 しかしコロナ禍に陥り在宅勤務が増えた中で、できることはないかと考えた。その先にあったのが、このアイデアである。

2.ファンになった人を飽きさせない

 minne内でこの作品を発表すると、購入者はそのままフォロワーとなり、彼女のファンになると、次なる作品を!と皆、新作を待ち望んだ。職業柄、本物のスイーツを見ているからそのディティールは頭に入っている。粘土でこのスイーツの原型を作ると共に、彼女なりに生産体制を強化。

 多くのファンに応えるよう心がけつつも、ピンセットを使うなどして、ハンドメイド独特の良さも損なわず、オリジナリティも添えた。

3.minneだけで生計が立つ

 結果「minneの売上だけでも、サラリーマンの稼ぎくらいは得られています」とのこと。彼女もファンが増えるほど、新作を毎月、投入して、飽きさせない配慮をして、今の地位を手に入れた。

 つい僕も購入したが、実によくできていると思う。

 逆境にめげる事なく寧ろチャンスに変えて、自らの才能で人生の光を引き寄せたわけである。天晴れ。「まだ22歳。これはまだ序章です」と語る彼女は、作るものは小さいけど、器は大きい。きっと未来、何かしらを自らの発想で掴むに違いないと予感させる力強さを感じたのである。

本格志向が生んだアート活動

1.会社の理解もあってアートに打ち込める

 地道に普段はIT系で働く人も、このデザインフェスタではアーティストである。「くろなぎしづか」さんは全く違う畑の仕事をしている。でも、デザインフェスタにきた時の彼女は「96Lab」というブランドでアクセサリーを手掛ける作家へと変貌する。

 会社の理解もあって、別軸でアートに打ち込めるからこそこの場は特別。これも一つの才能の発揮のされ方だと思う。それこそアクセサリーを作った事すらなかった。

 けれど、ふと桜のアクセサリーが欲しいと考えた。彼女曰く、プラスチックの桜のアクセはあっても、本当の(ふんわりとした)桜のアクセサリーは存在していないので、自分用にと作ったのが始まりだ。

2.本当の桜を求めて

 「なんで自分のものにこれだけ時間をかけるんだろう」。そう言って2〜3ヶ月かけて作り上げた大作だった。素材に帆布を選んで、シルクスクリーンを施した。また、花びらの形になるべく自らハサミで手を入れ、本物に近い触感を心がけた。

 最初こそ自分用に作っていたものも、今や売り手としての工夫も取り入れるようになった。デザインにばらつきが出てしまわないように、必ず作る工程なども踏まえて、マニュアルを頭の中で設計するそうだ。デザインフェスタや「minne」で販売するようになり、自分の手を離れ巣立っていく。気球やスズランなど、細部にこだわった作りはファンを今日も唸らせる。

インスタレーションは人間の心理に立脚する

1.生徒と先生の微笑ましいひととき

 オノダエミさんは、自らが作品を手掛けるクリエイターでありながら、講師という側面を持っている。偶然ながら、僕はそこに来てくれた生徒たちとの交流を目にした。「きました〜〜!」と言って女子が群がると、「おおーきてくれてありがと〜」とオノダさん。微笑ましいやりとりだ。以前からの知人でありながら「この人に、こんな側面もあるんだな」ということに気付かされた。

 色々話を聞くうち、さすが、先生だ。僕も思いがけず、その言葉に学びがあったのでシェアしたい。

2.インスタレーションで自然と人は引き寄せられる

 「ハロースクイーク」という新キャラクターでは、ちょっとした“細工”が施されている。それをオノダさんは「インスタレーション」だといって表現した。

 こういう場所で、まず来場者が駆け寄ってきて「なにこれ!」という具合に、触ってもらい、楽しんでもらう。それを、購入して身につけてもらうことで、それを見た人が「なにそれ!」となって、またこのブースへと足を運ぶ。そんなサイクルを生み出す、それこそがインスタレーションである。

 つまり、この「ハロースクイーク」ではわざと値札ふうのネームプレートのようなものを作っている。それをつけた人に値付けをするような遊び心を取り入れて、クスッとさせてサイクルを生み出す“細工”をしているのである。魚肉さん然り、ユーモラスなキャラもそういう意味だったのかと気付かされる。

 人間ってシンプルでわかりやすいなと。オノダさんの違った一面は人間の心理に訴えかける術を学ぶ機会をくれて、生徒に慕われる理由もわかるような気がした。アートそのものにも価値はあるけど、それを通して、人と遊んでいる感じがしたのが新鮮だった。

個性が羽ばたく世界観

1.何気ないきっかけでそこに個性が生まれる

 デザインフェスタ側でも少しでも多くの才能に光が当たるように考えていて、運営スタッフの新井江里さんからプッシュされたのが「ワンコインランウェイ」。要は、カフェエリアでくつろぐ人の周りで、ワンコイン(500円)払えば、ランウェイ形式で颯爽と歩いて、アーティスト自身もしくは作品をアピールできるのだという。よく考えるものだ。

 色んな価値観と工夫に溢れているデザインフェスタである。回ってみて、気づいたのは、全員が主役だということ。恐らくそこには優劣はなくて、それぞれにとっての「正解」があってファンがいるということを思った。

・おっとりくまこ

 何気なく立ち寄った「おっとりくまこ」というキャラの背景を聞いて、「へえ」とうなづく。作者は「友達に手紙を書くときに添えていた」のがこのキャラだという。つまり、友達との関係を深めてくれたからと、愛を込めて、作品としてもっと多くの人に羽ばたかせたいと嬉しそうに語る。

・牛乳坊や

 「牛乳坊や」というキャラを手掛ける作者tanakasakiさんとは、僕が司会を務める「キャラ談」というクラブハウスで、クリエイターを集めてのデザインフェスタに関する話をする会で知り合った。行かないとわからないことも多い。こんなに商品あるんですか!と驚く。

 僕は「牛乳坊や」の昭和レトロ感が好きで、それに魅せられて缶バッジを購入。見てもらえるとわかるが、ちゃんと素材感にもこだわって作られている。

「そのマットな素材が売りなんです。撫でるなどして可愛がってください」。それだけで商品への愛着が増す。

・たらもちゃん

 ノリのいい人が多いのもこのイベントの特徴。『たらもちゃん』というキャラを見かけ、その由来はなんですかと聞くと、「なんか『たらりらぁ』って感じがしたんです(笑)」。いいなあ、こういう感じも。

 仲間との掛け合いがユーモラス。『シャリさん』というキャラクターがいて、自分の相棒になってくれるネタを探している。『たらもちゃん』にジャムを乗せられたりしているイラストがあって、思わずクスッ。

・イラッチぱんだ

 看護師をやりながら絵を描く「友弥.」さん。絵本のコンペに出したところ絵本作家への道が拓けてキャラクターも描き続ける。おまけに振付師の肩書きもあって、才能がマルチ。ご本人は「運です」と謙遜するが、そんな彼女が描く「イラッチぱんだ」は、東京タワーともグッズコラボするなど活躍中。

・ATELIER ZUCO

 鈴木ズコさんはにゃんこ系のグッズを手掛ける。アートのようなテイストが特徴。最近は作家仲間にその作り方を聞くなどして、利便性など、商品力としての高さにもこだわっている。

 「パッと鏡が見れるアイテムが欲しいなと思って。鏡チャームなら鞄につけられますよね。片面はカラー、もう一方はミラーになっていて、 ガラスではないから割れる心配はありません」と。しかもミラーにはこの猫の絵が浮かび上がる仕様で、しかも内側に刻印しているので、その絵は削れない。キャラ推しながら実用性に配慮した工夫を明かしてくれた。

2.イキイキする理由はやりたいことができるから

 いずれも「いやー前の日、遅くまで作って大変でした」なんて言いながら、皆、イキイキしている。何故なのだろうと思った。そして、帰り道、痛感したのである。

 イキイキしている理由、それはきっと皆「自分のやりたい事をやれている」からだろう。

 好きこそ物の上手なれ。「自分の好きなことだから、気がついたら打ち込んでいた」という現実。デザインフェスタという場所が存在することで、多くの才能が思い思いに発揮されて、来場者を満足させて、そこにいる全てを幸せへと誘う。大変でしたよと言いながらも、微笑んでいるのは、それを示す何よりの証拠だと思う。

 今日はこの辺で。

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