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KDDI、ローソンにTOBを実施し、三菱商事と資本業務提携 コンビニを新しい“マチのほっとステーション”へ

 これには正直、驚いた。これからはリアルとデジタルが融合していき、それはコンビニエンスストアでも例外ではない。だから、KDDIが長年培ってきた通信の知見をそこに投入する。その本気の姿勢を、ローソンに対してTOBを行うことで示したわけだ。それまで大株主であった三菱商事と共に、共同でローソンの資本を持ち合い、新たなコンビニの姿を示していく。この記者会見は、小売店が変貌を遂げるためのスタート地点になるであろう。

コンビニ変貌

1.新たなマチのほっとステーション

 この日、会見に参加したのは、三菱商事 代表取締役 社長 中西 勝也さん、KDDI 代表取締役社長 CEO 髙橋 誠さん、ローソン 代表取締役 社長 竹増貞信さんである。

 具体的な資本の関係は下記の通り。KDDIがTOBを実施することで、50%の株を取得。三菱商事と共同でローソンの経営に参画する。4月をめどにしている。

 思えば、先日、まさにKDDIは決算発表でそれを連想させることを語っていた。toCを軸に裾野を広げた通信ではある。ただ、彼らはそこに限らない事業領域に、積極的に参加する。つまり、toC(法人事業)の強化を明らかにして、それが次なる成長の肝となることを宣言したのだ。

関連:toCでも、toBでも裾野を広げて。KDDI次なる戦略 KDDI BUSINESSにあり

 もう彼らが見ているのはモバイルではない。コンビニにおけるデジタル化もその一つだろう。これまでは良かった。けれど、これからは違う。“マチのほっとステーション”にアップデートが必要なのだ。

 確かに、ローソンは14600拠点を全国に持つ。多くの人にとって身近に立ち寄れるからこそ、小売以上の価値を提供してきた。まさに“マチのほっとステーション”。

2.デジタルを取り入れリアルの価値を最大化

 ただ、その中身が問われているわけだ。コンビニは、その場所に価値があった。でも、近くにあるということだけでは、付加価値をもたらすのは不十分。そこで、デジタルを掛け合わせるわけである。

 この考え方は、上記のKDDIの考えとも親和性が高い。リアルはリアルの価値を最小限度にとどめ、デジタルに委ねるものは委ねて、生産性を高く、進化したコンビニが、新しい機能で充実する生活を後押しする。

 例えば、コンビニに行かずとも、ウェブ接客を通して、商品を購入する。その時、街のコンビニを倉庫に見立てて、迅速に商品を届けることができる。そのインフラを活かせば、デジタルが窓口となって薬を提案し、迅速に店舗から送り届けることも可能だ。高齢化が進む過疎地では、コンビニが果たす役割が、これまで以上に、大きなものに変わっていくわけだ。

 そうすれば、これまで以上にコンビニ自体のエンゲージメントが高くなる。また、より信用度の高い、家計のサービスなども提供が浸透する。コンビニはこれまで以上に生活全般に関わるインフラとなる。これこそが、マチのほっとステーションのアップデートである。

顧客体験の向上に寄与するデータとインフラ

1.リアルとデジタルの両面からデータが集まる

 ここで大きいのは接点が増えるほど、データが集まるということ。KDDI単体ではどうしても、ウェブを介したデータでしか得られない。ここに、コンビニという強力なインフラを手にすることで、リアルの行動も把握できるから、よりその提案の質が上がる。

 ローソンの1日あたりのお客様数は、なんと約1000万人にのぼる。KDDIには3100万人の通信契約者のデータがあって、ずっとつながり続けている。だから、その両面からお客様のインフラをより充実させる。それも、リアルとネットの両方から。

 ここで大事なのは、だからEC云々と言いたいわけではない。コンビニのアップデートとして、KDDIのリソースを活かすということ。まずそこが優先事項なのだ。

 これは当然の話で、以前書いた決算発表の通りで、通信を軸にしてそこから企業価値を派生させているから、他の事業者(例えば、楽天など)とはビジネスモデルが違うということである。まわりまわって、au PAYマーケットに繋がるだろうけれども。

2.リアルを補完するデジタル デジタルを補完するリアル

 そもそも、ローソンに納品されている商品だって、KDDIのデジタルな知見が入ることで、効率化が図られる。先ほどの物流の話に戻れば、物流のDXを行うために、椿本チエインと合弁会社を作っている。椿本チエインはマテハンなどを扱う物流機材などにおけるプロフェッショナル。つまり、彼らの専門性とKDDIのデジタルを掛け合わせて、倉庫の改革を行えば、それこそ、toBにおける事業の課題に応えられる。

 例えば、このコンビニの商材における納品の効率化も行われるだろう。データにより、お客様のニーズに合わせて適切に絞られ「納品からお客様の手に届くところ」まで、小売店における生産性が向上する。

 送り届けるという部分でも、KDDIは研究を進めていて、2年前、ドローンに関して会社を作っている。店を売る場所としての使い道だけではなく、利活用するわけだ。

 インフラやデジタルを掛け合わせ、その街で暮らす人の充実感に繋げる。それができれば、それが、コンビニという立地を活かす材料になる。時に、そのスタッフが人との関係を育む事に打ち込んだり、その場所が倉庫としての意味を持つことはそういうバックグラウンドがあって成立する。

3.デジタルがリアルに行き渡り顧客体験は向上する

 要するに、デジタルは当たり前のインフラであり、水道や電気のようにあらゆる場面に浸透していくものであるということ。KDDIはそれを見越して、企業に対してその知見を提供していくことで、自らの品質や開発スピードの向上を図り、成長を以てして、世の企業に貢献していくわけである。

 あらゆる意味で、今の時代を象徴する動きだ。多くの人にリーチするために、より多くの箇所に点在し、生活に定着したコンビニ。そこにデジタルというリソースを取り入れることで、下記の通り、未来のコンビニが生まれる。

 コンビニはよりリアルである理由を求め、またリアルの使い道を模索する。そこに注力できる理由は、デジタルがあるからだ。

 先日のKDDIの決算発表と合わせて、デジタル企業とリアルの結びつきが、これからの企業の発展に大きく寄与することがわかる話であり、ここから僕らの生活も大きく変わっていくだろう。コンビニエンスストアのコンビニセンスの定義が、これからまた、変わっていくのだ。

 今日はこの辺で。

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