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もはや街だった。文化を育み、新しい価値を受け入れる「麻布台ヒルズ」

 単純に場所としての話題はあるけど、何よりそこに入る企業が思いの外、躍動していて良かった。この日、僕がやってきたのは「麻布台ヒルズ」。神谷町駅からほど近いこの場所に出現したのは、商業施設というよりは街。考え方も先進的であったり、気づきの多い視点だったり。関わる企業の本気度を伺える内容だったと思う。

商業施設というより街

1.街そのものを生み出してこそ引き立つ今の価値

 こりゃ、商業施設というより街だ。僕は思わずつぶやく。「麻布台ヒルズ」を歩いていると、街一個丸ごと作っている印象。商業施設を挟んで道路があって「桜麻通り」という。今回、開業に合わせて新設されたものだとか。どこから入ろうかと悩むほど。それもそのはず8.1ヘクタールもあるのだ。

 それだけの面積でよく作られたものだと思う次第。だが、この計画が1989年から始まっていると聞いて納得した。この敷地に関わる地権者は300に及び、そこと掛け合って作り上げた。壮大なまちづくりを練った上にできたのがこの地だ。

 そして思う。これからの時代は、単純に画一的な施設を作ったところで価値を持たないことを。街そのものを生み出してこそ、その箱である商業施設が引き立つ。

2.真ん中にそびえ立つ森JPタワーと緑あふれる中央広場

 緑あふれる中央広場の前に、そびえ立つ64階建ての「森JPタワー」。これ自体が住宅、オフィスで占められる。34・35階にはヒルズハウスがあり、パーティなどが催される。華やかな印象。それと並列して、レジデンスと呼ばれる建物が2棟建設。ここには住居以外に、JANU東京などのホテルも入る。

 中央広場から横断歩道をわたると、湾曲型のガーデンプラザ。こちらは横へ横へと広がる。トーマスへザウィック氏が手がけており、建物自体がアート。しかも、フロアだけでも、ABCDと4つに分かれていて、規模が大きい。外から見ると、山のような弓形になった頂上。そこには緑が植えられていて、森林を連想させる。この場所のテーマがGreen&wellnessだからだろう。

 自然と調和して、多様な文化を受け入れ、人間らしく、生活する。なるほどなあ。感心しながら中へと入る。

3.快適な暮らし方を演出「タワープラザ」

 住宅とオフィスと商業施設を組み合わせ、そこに文化と掛け合わせる。そうやって、その豊かな生活を彩る。当然ながら、心の豊かさをもたらす、ミュージアムなども充実。他にも、ブリティッシュ・スクール・イン東京や慶應義塾大学予防医療センターなど、学校、医療系までもある。

 もはや本当に街なのだ。


 この記事では「森JPタワー」の麓にある、タワープラザの話題について触れたい。ガーデンプラザに関しては2つのテーマに分けて、記事を書かせてもらった。

 一つの切り口は、多様な価値観を「食」に込めた店の数々。こちらの記事もあわせて、ぜひ読んでほしい。

◆チョコやケーキの素材と製法、ビーガン等の切り口、多様な価値観を「食」に込め「麻布台ヒルズ」

 もう一つは、この“街”が文化を重んじていて、だからこそアートを大切に育む姿勢が感じられたという事。

◆集英社の漫画の視点、チームラボのデジタルの切り口 など、斬新アートで人を育む「麻布台ヒルズ」

ONE PIECE(C)2023,Eiichiro Oda/Shueisha Inc.


 それでは、この記事では「森JPタワー」の麓にある、タワープラザの話題について触れたい。この「タワープラザ」を通して感じたのは「暮らす」ということ。その質を向上させるお店の数々が印象的。心落ち着く空間で、かつそれは今までの常識にとらわれない。

●「ペリカンカフェ」

ほっこり落ち着く息抜き空間

 それこそ、都会とは縁遠い(失礼!)「ペリカンカフェ」などがあってほっこりする。

 この店は下町、蔵前の小さなカフェである。だから最初に取り上げた。緩急つけて、疲れさせない設計。これら全般のディベロッパーとしての動きは森ビル、さすがの配慮である。話を戻して、ペリカンカフェの発祥は浅草・田原町でパン屋。起源を辿ると戦争の時代まで遡る。

 当時は物資がないから、渡された材料で彼らがパンを作り、提供していた。そして地元に愛される店として、パン屋がカフェを併設。「ペリカン」の相性は見た目から連想してつけられた、創業者のニックネームだとか。想像に難くない。控えめに、その歴史を語る姿にほっこりして、安心感を抱いた。

 「タワープラザ」はダイニングからライフスタイル、ファッションに至るまで揃うが、こんな風に「暮らす」ことに重きが置かれている。

●大垣書店

本は文化を知るきっかけ。だからバーも併設

 四階には「大垣書店」という、京都に起源を持つ書店がある。京都でもそうだが、通常の書籍はもちろん、文化的価値を重んじている。確かに、13代目市川團十郎白猿(超巨大写真集)などを陳列して、ギャラリー風でもある。見栄えがする居心地の良い空間はちょっとした息抜きに最適だろう。

 だからこそ、実は、端へ向かうとバーを併設されていた。本を買うだけではない。買った本を通して話が生まれたり、また買うべき本を語り合ったりする。本屋はそんなきっかけを作る場所。ネット通販で買うのとは差別化を図る。お酒はもちろん、コーヒーを飲みながら、充実した時間が過ごせるのは、それらの文化を重んじる書店の方向性と一致している。

●「ファミマ!」

コンビニ転換期。環境を考慮した行動を

 正直、お馴染みすぎて、通り過ぎようかと思った(失礼!)のだが、「ご存知ないかと思いますが。。。」そう声をかけられた。その中身を聞いて思わず足を止めたのが「ファミマ!」である。

 担当の寺岡さんは書店との相性の良さを語り、そういう良質なお客様がいるからこそ、彼らも思う存分、主張する。麻布台ヒルズのテーマが「Green&wellness」であり、実はそれは彼らの考えとも近い。そう言って案内してくれたのが、量り売りのコーナーである。

 量り売り?

 お菓子であれば、市販のものを購入する。つまり、メーカーが決めた分量で、我々は購入するわけだ。しかし、それが必要以上であれば、結果、フードロスにつながる。余すのではなく、最初から必要な分だけ、取り出すように。そういってそれ用の量り売りの機材を用意したのだ。

 写真の通り、捻るだけで自分が欲しい分量を引き出せる。秤にかければ、その分量に相応した金額のシールが出てくる。なので、簡易的な袋に入れて、貼り付けて会計をするだけで、適量手に入る。

 なぜ、コンビニがこんなことをするのか。そう聞くと、もうこれからは画一的に物を売るのではなく、何かしらのメッセージを通して考えを伝えていくことが大事だと。それが継続して、ファミマを選んでくれる理由になると。どこでもいいから、とりあえずコンビニに入る時代はもう終わったのだ。

新しいチャレンジに溢れた「麻布台ヒルズ」

 通りを挟んだ向こうのガーデンプラザについては下記の記事に譲ろう。そこはショップと、飲食とアートと学校と全部揃っていて、横に横にと長い。改めて、その規模感に驚かされる。

 けれど、地元と一体で個性を発揮して、街を作っていこうという、こだわりの証でもある。店も、画一的ではなく、街ぐるみで提案の内容を考えていく必要があるのではないか。

◆チョコやケーキの素材と製法、ビーガン等の切り口、多様な価値観を「食」に込め「麻布台ヒルズ」

◆集英社の漫画の視点、チームラボのデジタルの切り口 など、斬新アートで人を育む「麻布台ヒルズ」

 今日はこの辺で。

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