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toCでも、toBでも裾野を広げて。KDDI次なる戦略 KDDI BUSINESSにあり

 もはやデジタルはインフラなのだ。それまでKDDIといえば、携帯電話事業を起点に、生活に密着してきた。そこで得た知見と資金を元手に、今度は、消費者ではなく企業に打って出る。やってきたのは、2024年3月期 第3四半期決算発表会。代表取締役 高橋誠さんが口にしたのは「toB」に対する注力。それはあらゆるジャンルに、デジタルが必要なことを示しており、それにより自らの企業価値を高める強い意気込みを感じさせるものだった。

IDを純増させつつ ライフスタイル全般に広がりを

 そもそも関心を持った理由は、先日、椿本チエインというマテハンなどの機器を持つ物流系の会社と合弁会社を作ったことを知ったからだ。以前、EC関係の話題で、この会社の名前を耳にして、どちらかといえば、裏方(失礼!)。そのような会社にKDDIが着目したのか、気になったのである。

 それについては追って話すが、KDDIの考える未来とそれらの施策が紐づいていることも興味深い。決算発表だけに、事業の最近の動きを振り返りながら、そこに言及したいと思う。

 まず売上高でみれば、YOYで+2.0%増、営業利益はYOYで+0,4%。屋台骨を支えるのは「通信」。(au、UQモバイル、povo)IDの獲得は3100万人を達成。予定より早いペースで達成しているという。auからUQモバイルへの移行は減少傾向にあり、純増している。

 僕が個人的に気になったのは金融事業の成長ぶり。彼らはそこから金融などで付加価値を高めて、エンゲージメントを向上させている。語弊を恐れずいえば、KDDIに金融のイメージなどない。だからこそ、伸び代があるとも言える。仕組みを作り出せば、その分だけ、伸びていく。そもそも通信が継続的なつながりを生むもの。だから、あわせて金融サービスを提供すれば、こちらも継続利用となり、伸びる一方だ。

通信の金額部分を補完し売り上げに寄与する金融事業

 だから、金融の営業利益はYOYで+87.7%。決済・金融の取扱高はYOYで+23.3%となっている。

 au PAY カードは920万人(YOYで+87万人)、au PAY会員も3438万人(YOYで+282万人)au カブコム証券口座数も167万人(YOY +13万人)。

 通信の会社というよりは、ライフスタイル全般をフォローする会社に変貌。特に、金融事業は、深掘りの余地があり、au PAYゴールドカード会員数はYOY+48.6%。今や彼らの事業の礎を担う。彼らなりに通信料金の低下への対処と、自らの通信の価値の最大化に努めた成果だ。

 ただ、その信用はどこから生まれるのかといえば、通信。5G新周波数の活用を本格化させると共に、品質の向上を強調し、高速・大容量の部分を盤石にする。すると、逆にスマホの利用機会が増えることになり、金融などの利用機会の増加に繋がる。どこまでいっても、通信を重んじる姿勢に変わりはない。

toB視点で事業を伸ばす

 ただ、彼らが新たに見出した「金融」は存在するだけでは意味がない。お金を循環させる要素として、au PAYマーケットなどのECがあることを忘れてはならない。こういう背景を踏まえれば、限りなくそのモールは会員組織としての色彩が強くなっていることは明らか。そこに出店しているお店においては、継続顧客をどう掴むかがキーになってくるに違いない。

 このように彼らの稼ぎ頭はtoCだった。でも、この決算発表ではtoBに注力していくことを強調していていて、それが最初の話にも関連してくる。

 というのも、まだ世の中の事業には、デジタル化が浸透しきれていない。デジタルが浸透することで、既存事業の生産性が良くなる可能性が高い。だから、彼らがそこに裾野を広げるのは、世の中のニーズに合致している。つまり、解決しきれていない課題に対して彼らだからこそ、向き合えて、それは彼らの事業の次なる伸び代となるわけである。

 ここまで「toB」はどうだったのだろう。下記の通り、今までは「NEXTコア」という言い方をしていて、伸びはYOYで+30.4%。ここに投資をして、本腰を入れて、全方位で伸ばすことに価値を感じるのはうなづける。

 そして満を持して、高橋さんがこの日、掲げたのが「KDDI BUSINESS」である。KDDIの法人事業のブランド名である。ここに彼らの強みである通信を最大化し、世の中にDXを推進して、課題解決をへと導く。

例えば物流も改善すべき点はデジタルで補える

 例えば、物流に絡むところである。なにも物流が抱える課題はECに限った話ではなく、物流の大半はBtoBであり、実は、2024年問題の一番の課題はこちらのほうである。

 世の中のBtoBの物流に絡むところにデジタルで手を差し伸べる。そうすることで、物流環境全体が良くなるというわけなのである。

参考:2024年問題 の真実 ドライバーの未来を想い 今こそ荷主が考えるべき時

 だから、ここの部分に、デジタルを持ち込むことで、生産性を高めることの意味を考えるべきなのだ。しかも、彼らの本気度を窺えるのが「Nexa Wave」である。2024年4月に椿本チエインとKDDIで合弁で設立する会社であり、物流倉庫のDXを担う。

 実際、椿本チエインの数々の挑戦を鑑みれば、KDDIが自らの可能性とを掛け合わせて、期待をしたのは想像に難くない。少し専門的な話になるけど、以前、少しだけ、椿本チエインを記事にさせてもらった。彼らは以前、オルビスの物流倉庫で独自のAGVを完成させるのに貢献した企業である。

参考記事:流通サービス 入魂 オルビス 通販で生きる 唯一無二の AGV

法人事業のブランドを本格展開しtoBを鮮明に

 こういうデジタルの浸透を、あらゆるジャンルで横断的に、toBの文脈で行う。それが「KDDI BUSINESS」ということになる。toC向けとは別に、法人事業のブランド化をはかるのは、以下の通り。倉庫物流以外も、コンタクトセンターや放送エンタメなど、あらゆるジャンルに、グループアセットとAIを組み合わせて、そのデータ基盤を有効活用する土台を作るという。

 KDDIの決算発表にきたのは今回初だが、気づきが多かった。

 ある意味、KDDIもまた経済圏を形成していて、真ん中にあるのは、彼らが強調するのは通信の品質。彼らの場合、このユーザーたちの満足度を補完する意味で、金融などがある。だから、ライフスタイル領域への参入を行うことで、ARPUを上げていく。通信の利用者が何を求めているかを考え、そこで裾野を広げるわけだ。おのずと、ARPUを上がって、企業の躍進につながる。

 それらは主にtoCにおいてであったから、更なる事業の拡大をどこに求めるか。自ら通信で培ったIOTなどのデジタルリソースは、今度、toBにて提供。あらゆる企業の業務改善の一躍を担うことで自らの成長へと繋げるわけである。水や電気のように、デジタルはあらゆる事業に当たり前に浸透するインフラ。デジタルは、どれだけ、世の中の事業の質を高めることができるだろう。KDDIの動きと共に、しっかり見ていこうではないか。

 今日はこの辺で。

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