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その伝統は食品ロスという時代の流れにも向き合い、新たな感動を生み出す 「榮太樓總本鋪」

 改めて、老舗というのは古さを追うだけでは続かない。新しさを取り入れることで、伝統を守っていることを痛感した。「榮太樓總本鋪」代表取締役 細田将己さんの挑戦には毎度、驚かされる。彼の話で実に印象的だったのは、流通に対して敏感であること。ネクストリテールラボに参加して、驚いたのは、最近もまた、食品ロスの部分に、和菓子で挑んでいるとか。そのブランド価値を浸透させ方が常に型破りでありながら、でも、それは伝統への愛ゆえのことだ。

味は譲らず時代には柔軟に

 思えば、流通の時の話もそうだった。味に対しては一貫して譲らない。けれど、百貨店、そしてコンビニという具合に、その売り先においては、その時代に生きる人たちの届くところにと、柔軟に変化させてきた彼ら。それについては、この記事で書いた通りだけど、どれだけ美味しいものを作っても届かなければ、衰退していく。それを肌身に感じているからこその挑戦なのだ。

関連:榮太樓總本鋪 “革新” は “伝統” を守る為に 細田副社長に直撃

 最近、食品ロスの部分にも進出したのも、時代の流れであり、関心を持つ人に対してそれを訴求して、新しい出会いを創出する。また、従来のお客様への啓蒙という意味合いもなくはないだろう。そして、僕が気づきを得たのは、食品の使い道という部分である。

大手和菓子屋では初のTABETEへのトライ

 具体的な施策において、彼らが着目したのは「TABETE」である。これは、食品ロスを削減するシェアリングサービス。ユーザーはアプリ上でクレジットカードによる決済をした上で、廃棄されるはずであった商品を店舗で受け取れるようにするわけである。

 つまり、このアプリを持っている人は、横断的に店舗の垣根を越えて、そのフードロスに関心がある人。だから、その価値観で「榮太樓總本鋪」の商品を手にしてもらうわけであり、その部分における新規顧客開拓になっている。

 当然、そのままでは、廃棄されていたものが、その関心の高いユーザーによって購入されて、減少しているのだから、三方よしというわけである。

 アプリで決済を済ませたユーザーは、「榮太樓總本鋪」でいえば、日本橋本店、玉川高島屋店、アトレ恵比寿店で受け取るのだという。彼らの想定を超えた売り上げで、その関心の高さを実感したという。ちなみに、TABETEのほうでは、通常の一箱よりも安く提供されている反面、その中身は何であるかは指定できない。その日の都合で、売れ残ったものが入っている分だけ安くなるという設計だからだ。

 ただ、悲しいかな、彼らのメインの卸先に、百貨店ではこの安く売るという行為自体に抵抗があって、踏み出せていない。だが、逆にそれによって、これらの動きの存在感が際立つことになっていて、彼らとしては、商品の状況に合わせて、使い道を棲み分けしているのが見事だ。

売り先に合わせて商品の使い道を使い分ける

 そして、彼らには自ら製造をするという強みがある。彼らは三菱食品と組んで、未利用の食材を取り入れ、商品にした。それが、愛媛県とつくった 温州みかん。みかんは、通常、そのままとれたてを出荷して、多くの人がそれを堪能する。しかし、当然、売れないものもある。だから、それらもジュースなどにして有効活用している。

 しかし、多くはここまでで止まっている。その際に使われる皮は「もう使いようがない」と。

 でも、その固定概念が機会損失を生み出す。その思い込みゆえ、廃棄にされることが多いから。「榮太樓總本鋪」愛媛県の県知事から相談され、考えた。そして、その皮の粉末で「榮太樓總本鋪」の製法が活きた。掛け合わせることで飴を作り出したのである。

 多くの飴は砂糖と水飴によって作られる。そして、そこに香料と着色料が加えられて完成するわけだ。ただ、この過程の中で、そのみかんの皮の粉末を入れる。そうすることで、彼らは無香料、無着色の飴を作り出したというわけである。結果新しい価値が生まれた。

 未利用食材であっても、違う知見を取り入れれば、新しい美味しい食品が生まれる。これは以前、ABCスタイルの「サステナ缶」でも書いたことだ。

関連:魚をいたわる漁業関係者の真心に、レシピで応えるABCスタイル「サステナ缶」の優しさ

  彼らの商品(製造)力が、こういう形でも発揮されるということが証明された。これも老舗が築いた伝統を生かした動きで、未来につながる。

ずっと変わらぬ人への想いは食品ロスにも

 そして、細田さんは思いがけず、あたたかな話をしてくれた。きんつばが彼らを成長させたように、その食材あんこに対してのこだわりは随一。だからこそ、そのあんこをもって、子ども食堂に社長自ら、足を運ぶそうなのだ。

 そのあんこで、こども食堂に集まる子どもたちに、おしるこをふるまうのである。その家庭環境ゆえに、和菓子を食べたことがなかったりする。それゆえ、それを食べたその子どもたちの感動は大きく、一度、食べたらそこから離れないのだという。「来ていないお父さんにも食べさせたいな」そう口にする子供もいるのだとか。彼は、様々な家庭が存在するを身にしみて感じたと言う。

 でも、実は、これだって食品ロス対策の一つなのである。だから、僕は思う「商品の使い道でしょ」と。ともすれば、廃棄されるようなもの。でも、このように使い道はある。その使い道次第で、こんなにも素敵な感動を呼び起こせるなら、その一歩を踏み出す価値があるってものだ。

 そこで、「榮太樓總本鋪」の力を知った子供たちは、将来、大人になった時に、何を思うだろう。やっぱり、流通で変革を成し遂げる時と同じ感覚を抱いた。伝統を重んじるからこそ、勇気ある挑戦があり、それが必ずや健全で前向きな未来を作り出すのだ。安易に捨てる行為に、愛はあるだろうか。立ち止まって、捨てる前に、できることを考えてみよう。「榮太樓總本鋪」のように。

 今日はこの辺で。

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