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僕らが抱く“花”や“服”の価値はもう古い 違った価値観で商売を成立させる D2C

 なんだろうな、ものの価値っていうのはどこに潜んでいるかわからない。だから、ものに依存して、力任せに売るのではなく、そういう価値観を探して、商売に変える工夫がこれからは大事だし、そういうものが受け入れられる時代なのかもと思った。先日、ふらりとフラクタの会社に立ち寄り、僕はそういう新感覚のブランドのポップアップストアに触れて、そんなことを思ったのである。

花 を集めて価値にする

 言うなれば、それは「ものではなく価値で追う」時代だと言うこと。だから、僕らが当たり前に向き合っている商材も実は視点を変えれば、全く別の価値観を持って、人々の心を満たすことだってあるかもしれないし、それが企業とお客様との長きに渡る関係性を築くかもしれない。

 まさにそれを後押ししているのが「 D2C 」であって、例えば、花ひとつにしても、それが集まれば、その色合いは価値となる。僕が「BOTANIC」というブランドと話をして気づいたのは、それだ。

 BOTANIC代表取締役 上甲友規さんは、例えば、どれだけ鮮やかなピンクのものでもただそれを集めてくるだけではダサく見えてしまうし、何をどう組み合わせるかに価値があると思ったと話す。その話を聞くに、僕は「そうか、花もまた、服でいうところのコーディネイトのよう」そう思った。それはセンスであり価値観だから、そこをお客様と心を通わせるのだ。そこが共感できていれば、このブランドが毎月、それを提案して、日常の心を満たすことができる。

 そうだなあ、どちらかというと花そのものを売るというよりは、花がもたらす人の気持ちの方にフォーカスしているのかもしれない。通常の花よりももっと人々の生活そのものに馴染んでいるから、サブスクが成立するのであって、彼の役目はそれをユーザーとの間でもっと共感を生み出して、ファンを醸成していくことになるのだろう。

 これで、お客様がリピートすることになれば、セレクトも彼らが生産の状況も踏まえ、行うことができて、良質なものを最適な環境で必要な数だけ用意して、生産性も高くなる。D2Cだからこそできる、深いお客様との関係性がもたらす、花の新しい価値だし、ビジネスの在り方だと思う。

自然を思い価値にする

 服にしてもそうだ。季節ごと新作を提案して、それをプロモーションして売り出して、というのはこれまでの常識であったけど、「O0u(オー・ゼロ・ユー)」は、敢えて、生産数を抑えて、真に必要な数だけ、必要なものを手掛けて、お客様と向き合おうとする。そうやって材料を無駄にしないという理念を掲げることで、そこから生まれる発想全般が新しいものになるのである。

 僕が一番「なるほど」と思ったのは「手元には既に材料が存在している」という話。それを必要に応じて、いろいろな商品へと作り替えていくのであって、それも最初、必要最低限の数量で商品の生産にかけて、その後の受注状況に照らし合わせて拡大し、世の中から在庫過多による廃棄を防ごうというものである。

 これらの素材が用意できているのは、この会社自体がアダストリアの関連企業だからという強みもある。既存ブランドは既存ブランドで、しっかり売上が出しつつ、次の時代を踏まえ、通常のラインとは敢えて違った姿勢を打ち出し、その生産体制、売り方を含めて見直して、新しい発想を取り入れる。

 勿論、その精神は商品そのものにも宿っていて、「これは無染色なんです」とニットガウンを紹介してくれたのはこのブランドを手掛けるアドアーリンクの高橋朗さん。

 「アルパカってご存知ですか?その毛を使ったもので、この色はそのアルパカそのものの色なんです」と続けた。染色しないという姿勢を打ち出して、商品そのものにも彼らのメッセージを添えているのが分かるし、ダウンジャケットにしてもそれ自体再生ナイロンを使用しているし、バッグもリンゴの皮を用いていて、自然への優しい配慮を忘れない。

 高橋さんは今はこういうポップアップストアを繰り返すことでメッセージを伝え、それらをネットショップへと誘導して、やはりその価値観に触れてもらって、継続して購入するファンを作っていく。彼らの姿勢はしっかり届き始めていて、現状でも商品に対するリピート率が高いことでそれは実感しているという。

生活に密着して価値にする

 今の話で言えば、大手企業が生産体制などを見直す中で、ブランドの新たな姿勢を模索していたけど、一方で、全く洋服の知見もない中、無名なたった一人の人物が立ち上げたという「Jocund(ジョコンド)」というブランドもまた、服に新しい価値をもたらすものであった。

 着目したのは、リモートワークに特化した仕事と家の間をいく洋服である。自らが質の高い暮らしを意識して、インテリアなどの良さを日頃から、YouTubeで発信しているそうで、登録者数は万を超える。既にその価値観は一部の間で浸透していたけど、自らその質の高い暮らしに連動して、こうしたリモートワークに特化した服の必要性を着想したわけである。僕はここに、彼自身の進化があると思っていて、価値観からものづくりにして、よりマネタイズするフェーズに来たと言えます。

 ただ、ものづくりに関しては知見がなく、当然ながら、立ち上げ当初は、その作り方すら知らなかったという。でも彼なりに、リモートワークを繰り返す中で、ボタンのない袖、お尻で踏まない裾など、そこに相応しいと考えるこれまでにないタイプのアパレルデザインを考えた。それこそ自ら、ネットの検索から始めて、自ら工場に問い合わせ、必要な予算を割り出して、クラウドファンディングに挑むのである。

 この部分にお気づきいただけるだろうか。まず価値観を醸成すれば、ものづくりが後からついてきているという現実。かつてであれば、考えられないわけである。ものではなく、価値から生まれるものづくりである。

 だから、思うんだ。僕らは商品に対しての固定概念を一度、取り外した方がいいと。大量生産大量消費にはない、真にお客様と育む価値観をどう構築するか、である。ものではなく価値で追う時代だと痛感させられたわけである。

 今日はこの辺で。

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