東急不動産 商業施設 の未来 リアル を救う DX デジタル化
逆説的だが、リアルの 商業施設 のデジタル化が、リアルの価値を引き上げる。 東急不動産 株式会社が昨日、「Yahoo! JAPAN DATA Conference2020 」で、自らのデジタルトランスフォーメーション( DX )の取り組みを説明している中で、痛感した事だ。
東急不動産 の 商業施設 の受け入れ方
東急不動産 の話によれば、まず、リアルの商業施設側のブランドや企業の受け入れ方が変化している。下の図の通り、過去(左)は、決められた場所にある一定の期間を長く提供していく形だ。それが、今(右)では、フレキシブルにメッシュ型賃貸。マトリックス状に、自由に小さなスペースをきめ細やかに利用できるようにしているのだ。
こうする事で、出店サイズに柔軟性を持たせることができる。結果、小さなところから中規模、大規模、全てに対応が可能で、部分的に、飛び石で出店するなどのこれまでなかった発想や仕掛けも可能となる。
現に、東急不動産 の案件で言えば「東急プラザ渋谷」の店舗「111」。下の写真の通りだが、40坪のスペースに、異なる4ブランドが入る。ただ、ここには、共通のテーマ性を持たせて、ディスプレイも揃え、一つの商業空間を作ると共に、2週間ごとにテーマは変化させるなどして、仮説と検証を繰り返す。
当然ながら、そういう風に「受け入れ方」が変わると、品揃えもブランドの顔ぶれも違ってくるから、その組み合わせの過程で、デジタルを取り入れるのである。例えば、チョコレートブランドが出店したいと申し出たとしよう。一緒に横並びするブランドとして何がふさわしいのか?
それこそ、ヤフーの検索データに基くのである。チョコレートを検索する層が同じく検索していたキーワードは、なんと、陶器やバス用品のラグジュアリー系のブランドであった。それであれば、相応しいテーマで、統一感を出して、リアルならではの体験に繋げ、それがそれぞれのブランドの価値をトータルで上げていく。ここまですれば、ネット専業のブランドなども敢えてリアル拠点への出店をすることのメリットはあるだろう。
データを受け入れる事で活用し、発展に繋げる
東急不動産も言っていたが、どんなに老舗であっても、案外、自社の中にはデータが蓄積されていないこともあるので、まさに、ヤフーが自分たちのデータの有用性という主張している所以はそこにあるのだろう。
面白いではないか。一見すると、結びつかないチョコと陶器。しかし、顧客起点でデジタルを通して見るとそれらが結びつく。見えないものを見えるように変えてくれるこの事実こそ、デジタルの真骨頂。それを体験重視のリアルの世界がその答えを解き明かす、というのだから。
小売もリアルとネットでシームレスに
勿論、それは小売における革命の可能性も秘めていて、東急不動産は、リアルとデジタルをシームレスに結び付けようと画策している。彼らの構想によれば、RFIDを使って店内の商品を、スマホで読み取ると、その読み取った商品の詳細へと遷移するよう設計。詳細ページにカートをつけて、シームレスに両者をつなぐ、というわけである。
それ以外でもWiFiなどを活用したりしながら、お客様の行動を可視化して、出店企業にフィードバックしたり、自らの事業の向上に役立てていくという事で商業施設自体での情報収集も、デジタルを絡めて、本格化していく模様。
聞いていて思ったのは、不動産会社も、デベロッパーとして、単純に、その土地に必要な商業施設を作り、その商業施設に賛同するブランドを紐付けて、活性化させていくだけでは、時代のニーズに応えられなくなってきた、という事だ。
不動産会社も、消費者を捉えて、自らも必要なデータを持ち合わせ、それを利活用する事で、リアルネットを行き来しながら、その商業施設が、出店店舗に、トータルでどんな価値をもたらすのか、を考えねばならない、ということ。提案する内容もボーダレスが求められる時代なのである。
今日はこの辺で。