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高橋貞光氏 に聞く コールセンター の 理想【2】 ビジネスモデル をどうやって確立するか

 素敵なお店には魅力的なスタッフがいる。いかにしてイキイキとその人らしくお客様に豊かな時間を提供できているのか。ここでは真にお客様と深い関係を築く コールセンター の実態に触れ、スタッフを変貌させたDMC高橋貞光さんをお迎えして、この ビジネスモデル の真相 を現場目線で解き明かしてもらった。

コールセンター ビジネスモデル の核心は オペレーターの育成にある

1.出勤率で見えてくる、一体感

 DMCの高橋さんはお客様を大切にするために、スタッフを大事にしているという現実があって、コールセンターのオペレーターのモチベーションを上げようとする点に、この ビジネスモデル の本質がある。その理論の一つ一つは、やずやグループ未来館 西野博道さんの指導あってのことと話していて、今日はその対談に西野博道さんもお招きして、あらゆる視点でその中身に触れたいと思う。

——–オペレーターを尊重する仕組みづくりはコールセンターの方のモチベーションと比例しそうですね。コールセンターの方にもどういう変化が生まれてくるのでしょう?

高橋貞光さん(以下、高橋さん) まず離職率が下がるんですよね。これはES(Employee Satisfaction)の指標でもあるんですが、職場への満足度が上がる。そこでみられるのが、最初のところで離職率。次に出勤率です。

 例えば、コールセンターの場合、シフト制です。やっぱりお子さんとかが病気になられる事があるんですよね。そういう中で、会社もどこまでバックアップできるかというところだと思います。普通の会社の場合は、オペレーターさんが会社に連絡をするんですよね。

 「すみません、今日、うちでこんなことがありまして」と。ただ、会社としては無理に出勤させられないじゃないですか。普通のところは出勤率が90%前後なんです。ところが、そこに対して、どういうメンテナンスをするかなんですよね。

 そこで大事なのは、お客様にきちんとした対応をしてもらうためにやらなきゃいけないやり方は何なのか、なんです。ここのところを本当の意味で、みなさんが一致団結して、同じようにお客様を大切にしていくという意識なんです。

 じゃあ、そのお客様を大切にしていくという事はどういうことなのか。それは、働く仲間も大切にしていくという事なんです。

 そうすると、自分のシフト表を見て、その日、お休みの人に連絡をするんです。「ごめんね、こういう理由でいけないのよ」と。「代わりに出てくれる?」と。

 そうすると、シフトの人同士でやりくりするようにして、席数はきちんとしっかり、守られるんですよね?そうすると出勤率95%以上というのは毎日、守られるようになるんです。

 結果的には、お客様の入電予想に合わせた形で、ブース数って用意するわけですから、そのブース数が9割ってことはその場合、1割の人に対応しきれなくなってしまうわけです。

 だから、出勤率をきちんと守るということは、それだけ社内的な環境というのを整えて、社内満足度が高くないといけない。代わりの人に対して「出てくれる?」なんてことはできなくなりますよね?

 そう言ったことをしてあげると、コミュニケーターさん同士でやりとりをしたりとか、いう風にして出勤率だけはきちんと守れる。その結果、離職率は減るんですよね。

2.社員思いの精神が、お客様への信頼関係を生む

———まさに、チームプレイですね。

高橋さん お客様に満足を与えるためには、社員同士のESがしっかりしていないと、お客様の最高の満足を提供できないですよね。

———整理すると、まずオペレータを生かす仕組みを作り(前編を参照)、その上で、そのコミュニケーションを支えるオペレーター同士の連携がある。そのチームプレイによってまたお客様にとってより良い環境が生まれ、それがまた、その士気向上を促して、連携をもたらす。こんな具合に、良い循環が生まれていくから、オペレーターとお客様、共に成長していくみたいな感じですかね。

高橋さん はい。それが心の通う通信販売(通心販売)です。お客様とか、周りの社員も含めて、そう。だから、よくお客さんのわがままってあるじゃないですか。西野社長のおっしゃられていることを聞いていると、そこでやずやさんは社員さんを守るんですよね。

 社員さんを大切にするって文化もあったので、そういったところから学んでいって、じゃあそういうことを具体的にどういう風にして行ったらいいのだろうとそれを実践していったんですよね。

西野博道さん(以下、西野さん) そうなんですよね。社員にも言うんです。「君がこの人とお付き合いしたくないと思ったら断ってもいいよ」と。お客さんは大事なんだけど、お客さんより君たちのが大事なのだと。

———オペレーターを尊重することが結果、お客様を尊重し、それがまたオペレータを成長させてくれるものだから、その最初段階で無理に関係を構築するくらいなら、付き合う必要はないと。お客様も大事だけどオペレーターも大事…。

西野さん その代わり、一度は付き合おうと思ったお客さんには尽くしてあげなさいと。

3.共有が良いエピソードを生み、また共有が生まれる

高橋さん そうやってお客さんを大切にするというときには、いろんなエピソードが生まれるんです、良いエピソードが。

 例えば、お客様の方から、ちょっと商品を止めたいと電話が入りましたと。そのオペレーターさんが「何か不具合な点ありましたでしょうか」と言うと「いや、そうじゃないのよ。実は私、入院することになってね。」と。

 それで「入院の間というのはその商品を止めるようにということだったからね」というような電話が入ったとしますね。

 ただそのオペレーターさんが、どこまでそこを仕事として受け止めるのか、大切な人として考えるのかによって違うんですけど、そういう風な時に自分でお手紙を書くんです。

 それで、自分たちの方でコミュニケーターさんってオフィスに自分たちが所属する島があるんですよね。SV(管理者)さんとアシスタントを入れて、十人くらいの島なんですが。

 その人たちに同じ情報を共有する。私たちでできることってなんだろうって考えて、その人たちがひとり10羽ずつですけど、折り鶴を折って100羽鶴を折って、そうするとすぐに電話がきて「ありがとうね」と。

 そういう方は退院したら、必ず自分から電話をいただけますよね?そういう情報の共有の中で、いつもと違うことこそ、大事にする。当然ながら、そのお客様の商品の情報だけではなく、そういう特別な情報というのを必ず共有するというのが大事になってきますし、それが習慣として根付いています。

4.人としてどう考えていくか。スタッフ同士皆で

 それを仕事として受け止めるのではなく、人のことをどう考えていくかという風に心持ちを持っている人たちが、集まっていかないと、そうはならないと思います。

——-なるほどなぁ。まわりまわって、全てがつながっていますね。僕らはマニュアルを大事にしたがるけど、マニュアルは本当に本質的な部分にとどめて、後はその人それぞれの想像力を重んじて、そこでのプライオリティは人に置く。するとそこには不自然さもなく、真に心が開かれていくと。

高橋さん マニュアルっていうけど、オペレーターの方はマニュアルは3割でいいと思っているんですよね。後はお客様に合わせて、7割。ルールというのも最低限、あるでしょうけど、それをどこまでオペレーターの方にお客様のことを考えた上での対応をしてあげられるか、そういうところじゃないかと思います。

 よくあるのが通販会社さんは、新規のお客さんを大事にするんですよね。通販の会社さんってお金をかけるし、人にもかけるじゃないですか。その割に、買い続けている方にはほとんど、お金をかけないんですよね。

 本来は、会社の方に利益をもたらしてくれているから、大事なのは買い続けていただいている方なんですよね。その方を大切にし続けなきゃいけないのに、なかなかそこができていないですよね。

——つまり、マニュアルに従うのは、新規を意識しているわけで、長く深く関係を持つ方のノウハウが蓄積されていないまま、新規を追っている傾向があるってわけですね。むしろそこに工数を割くのであれば、大切にすべき相手に、相応しい対応を続けていくことが重要ってことですね。

高橋さん そうなんです。やずやって、社員一人当たり、どれだけカバーしていると思います?やずやさんって一人当たり売上高で6億円稼いでいたんですよ。半端ないですよね。

大切なところを皆で守り抜くことで結果、生産性が高まる

1.その上で数字を見ていく どれだけのお客様にどれだけのことができるのか

高橋さん  逆にいうと、その中で、コールセンターもそうですけど、電話をいただく方って大体平均して6%と言われているんですよね。やずやの右腕になる方って。

 必要な人数は企業に規模に伴い勿論、増えていきますよ。でも、売り上げが増えるとともに、お客様というのが増えてきますが、やはりその中でもしっかりとフォローして相手の方がそれに気づいていただいて信頼関係を結べるっていう部分までいくと、そこは限られてくるとは思います。

 例えば、全体的に見てアクティブユーザーの20%の方々が本当の意味で、会社にとっても絶対大切にしなきゃいけないお客様だとしますよね、こことの関係構築を大事にしていかなきゃいけない。

 そういうことを考えていくと人数というよりも、しっかりとオペレーターの方には、お電話をいただいたその人を大切にしてくださいと。しっかりと100%の満足度を提供してくださいと。あとは、今後、入ってくるお客様の人数に合わせたブース配置であるとか、そこを自社で受け持つのか、外注先にも同じ教育をしなきゃいけないのです。

西野さん そうですね。私の場合は、それをシステムの方で対応できるようにしていたので、スタッフで触れなくてもいいような仕組み、システム作りということですよね。

 他の社員が受けたことでも、他の社員が取ったらわかるように、するにはどうしたらいいかとか、その辺の仕組みか、システム化ですよね。それをずっとやっってきた。

2.核心と数字が見えてくるとシステム化ができてくる

 それで、普通なら売り上げ10倍になったらスタッフ5〜6倍とか要りますよね。例えば、年商40億が400億になると。でも、やずやの場合、年商40億の時の人数と年商470億円の人数は社員さん数の違いは倍ですから。笑。倍しか増えていないんです。

——-今更ながら、西野さんがコンピュータシステムを組んだ時の話の意味を深く思いました。高橋さんのここまで言っていることをまとめると、恐らくオペレーターさんが最大限力を発揮するための仕組みが徹底されていて、彼ら自身も何をし、何を共有することが大事なのかがわかっていた。

 だから西野さんはそこにふさわしい情報をコンピュータに入れることができ、それが、いかにお客様からやずやの社員が電話取っているように思わせないことが大事、ということに繋がっていくんですね。

 これは深い。なぜに、コールセンターはそのお客様の継続度合いにより、お客様への対応を変えることができて、お客様も変わり、信頼感につながっていくのかは、コールセンターを大切に重んじ、自主性を尊重しつつ、士気を高める仕組みづくりにあるから、だと。

 もっと言えば、その中で特に継続度合いが高いお客様に関して、そこを深く守り続けていくことで、生産性を高めていて、そのための仕組みづくりを徹底してきたから、成長を続けてきたのだと。全てはオペレーターとお客様との「会話」に答えがあったのだ。

 今日はこの辺で。

二人のトークの僕が感じたことは、下記。対談よりサクッと読めます。

まとめ記事:“コールセンター”で 通販 は劇的に変わる やずや CRM の実践者 高橋貞光氏
西野さんとハヤカワさん
ハヤカワ五味さんとの対談もおすすめ。合わせてどうぞ。

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