国際物流総合展 物流の多様化 働く環境の変化を実感
先日、僕は「国際物流総合展」というイベントに潜入していた。大きな機械が所狭しと飾られていて、物流現場の一端をそこにみることができる。勿論、多くは倉庫の現場の人たちが、最新マシンなどに触れるという要素がある。ただ、僕はこれを小売の文脈で見たら、どうだろうと思ってみた次第である。そこでいうと、省人化で、働く環境も変わってきているという事かなと。
国際物流総合展 今物流のあるべき姿は?
1.今必要な倉庫とは何か
例えば、日本通運では、荷物仕分けロボットシステムを紹介していて、倉庫の環境改善も進んでいることを明らかにした。
彼らはかつてでいう「ペリカン便」のようなBtoCをやっていない。だから、一見、日本通運と小売の関係値はそれほどないように見える。ただ、こういう要素をテコに、裏では貢献できていると胸を張る。今後は、だからこそ、前面にでていきたいと抱負を語るわけだ。まずは倉庫環境の改善から、図っていく。
そこで、決め手となるのは、正確さと時間。写真の機材は、単調な繰り返し作業の非生産性に着目したもの。多品種商品を高精度で認識して、ピックし出荷検品をするわけである。彼らはこういう強みをフックにして、倉庫の改善を、メーカーや小売業者に提案。それを契機に、オムニチャネルのプラットフォームを構築したいと意図しているというわけである。彼らの想いはどれだけ小売にプラスに働くだろうか。
2.多様化する小売に応える物流現場
もう一つは、多様化する小売のあり方に応える物流現場の姿。
日立物流が提供している「レコビズ」というサービス。昨今、販売するだけではなく「レンタル」を始めるメーカーが増えてきたことを反映したものである。
メーカーとしては商品を買ってもらいたいのは勿論である。
けれど、最近は財布の紐が硬くなってきている。だから、買おうかどうか迷っている層に対してもアプローチを試みたいということになる。つまり、レンタルを通して、お試し需要を狙っている。
ところが、そうは言っても「売る」のとはわけが違う。レンタルゆえに戻ってくる。だから、それを再度、別のユーザーに使ってもらう為、いかに新品同様にまで戻せるかという部分が懸念材料となる。それに応えるのが日立物流だと。元々、メーカーの傘下であるから、そういうメンテナンスの知見を活かせる。レンタルを考えるメーカーに対して、そのリソースを提供して、新たな顧客を創造しようというわけである。
3.海外との距離を近づける
昨今、ボーダレスになっている。この日、日本郵便が、強調していたのは、海外への配送に関しての充実であった。そもそも、彼らの場合、小さな単位のEMSに始まり、法人向けの国際宅配便サービス「UGX」というサービスを持っている。この写真にもあるけど、江戸てんというお店では和風の商材が多いので、これらを積極的に活用して業績を伸ばしているのだ。
UGXは、越境ECなどで、海外のマーケットプレイスに出す場合に有効。海外配送にかかる一切の手間がかからない。例えば、事業が拡大するほど、仕入れ元の会社数が増えて、扱う個口が増えるので、それをまとめて一箇所に納品してそれから海外配送を行う。その上、関税の元払いが可能であるので、利便性が高いという具合である。
マーケットプレイス出店から規模を大きくする場合は、どうなのか。自社の海外物流を改善したいという動きに繋がる。そこで、彼らはTOLLというグループ会社の価値を述べるのである。TOLLは、海外に拠点を持ち、広範なネットワークにより、よりグローバルな流通を可能にする。つまり、ネットを基点とした海外の取引が大きくなってきていることを窺わせる。
4.どの物流拠点も生産性高く運用できる
また、まだ既存の物流現場では、非生産的な現状が存在する。それを実行できていない物流現場と、事情のわからぬ荷主。そこを対象に、データと仕組みで、改善していこうという動きも見られた。それがKURANDOのロジメーターというサービス。現場の作業効率を向上させながら、会社全体の生産性を高められるのが特徴。
例えば、手動で集計していた必要なデータをワンクリックで管理できる。また、そこで集めたデータはその全体の目的に対しての生産性を高めるための材料にして、さらに業務改善を行うというわけである。
実際、こういう仕組みは一部の大手企業では導入されている部分もあるけど、結局、ごく一般的な企業に導入できるかどうかが大事だいうこと。そこで、デジタルを取り入れて、彼ら自身も自動化してシステムを提供する事で、誰でも手が届く金額で、それが実践できる事に意義を感じている。
今回、実際、各社を回って感じたのは、物流の縦割り的な発想が時代にそぐわなくなっていること。小売然り、その多様化する事業のあり方に対応するべく、それをいかに根性論で乗り切らない仕組み化が大事だということだ。
改めて、デジタル化も機械化の最新鋭はここにはあった。だが、大事なのは人間と機械が共存すること。そして、デジタル化を通して、その仕組みをいかに効率化するかという本質的な部分が大事だと思う。その意味で今一度、この最新鋭を見て、機械でもデジタルでもなく、自らが変わらなければいけないことを実感する次第である。
今日はこの辺で。