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やずや “商品開発”の 考え方 と裏話 vol.2 健康食品 香酢 誕生

商品開発 舞台裏

 「やずや」はあれだけのヒット商品の開発をいかにして行ってきたのか。シリーズのこの企画であるが、こちらの記事に続いて、もう一段階、踏み込んで、やずやグループ株式会社未来館 取締役社長 西野博道さんに聞いた。 健康食品 の中身はどのように 商品開発 されたのか、それをお客さんにどう提供していくことで、その価値を最大化させたのか。そこに焦点を当て、話していただいた。

健康食品 商品開発 の前提に 通販会社の姿勢

 「やずや」にとって「商品」とは一体何だろう。お客さんの生活上の悩みを解決する手段ではあるが、それは、やずやが一緒になって、応援していくことで初めて形を為す。これが彼らの中で一貫している考え方だ。前提として、やずやはターゲットを60才〜に設定。この世代ならではの悩み、20年先が見えずに、霧がかかってしまっているそこまでの未来。それを商品は、どうやって明るくできるか、という視点に立っている。

 ただ、彼らが提供しているのは薬ではない。薬であれば、どこか具合が悪くなったものを解決させるわけだが、それとは違う「健康」の意味を彼らなりに考えている。具体的には、「精神的」「身体的」「社会的」の3つの観点からアプローチして、お客さんを「健康」な方向へと導いていく。

 「身体的な健康」とは食事、健康食品、運動、睡眠などを意味しており、「社会的健康」はひとりぼっちじゃなく社会の一員として生活しているという実感、「精神的健康」というのは幸福感だとしている。

 この3つをフォローしていく為に、商品という「もの」を手段として、「こと」を添えて応援していく。商品とお客さんとの接点のセットでアプローチしているのが、やずやが長く愛される所以である。

商品開発 の裏にあるのはお客さんの潜在的な「願い」

 商品開発というと、よくありがちなのは、とある成分に着目して、それが良いから商品を作るという視点。だが、やずやは違う。予めお客さんを見据えて「何をしたがっているのか」を見極め、その「したがっている」ことを商品プラスαで解決する、というわけである。

 そのためには、消費者が「何に一番困っているか」から探し出し、彼らでいうと、材料を挙げてみて、そこで必要とされたのは「酢」であり、そこを起点に生まれたのが、やずやの屋台骨を支える「香酢」である。酢が勿論、健康に良いものだとしても、「酢」は酸っぱくて、到底、飲めるものではない。だから、これを健康食品として、出す必要性があったのだ。

 「りんご酢」などは存在していたものの、大体が酸っぱいので、彼らは「酸っぱくなくて酢のような物」の実現に拘った。ただ「酸っぱくなくなれば、もうそれは酢じゃないんですよね。現実的に見れば、酸っぱくない酢なんてあり得ない」と西野さんは語る通り、それは容易ではなかった。

 ただ、その時は存在していなくとも、お客さんの中に、それを欲する潜在的なニーズがあると分かって作ろうとするから、意味がある。世の中にない商品となって、独自性を持って、受け入れられるのだ。試行錯誤の末、彼らは「酸っぱくない酢を探そう」とするからいけないのであって、「酸っぱい酢のまま、カプセルに入れればいい」と着想するのである。まさに発想の転換である。

 ただ、カプセルに入れる為には、中身を粉末にする必要性があり、市販の酢を蒸発させて、粉末にしようとしたものの、何も残らない。市販の酢は99.9%水分で構成されていて、振り出しに戻る。その後、中国で粉末が作れる工場があることを知る。そこではまず酒を作りそれを籾殻に吸わせて、2年間、蓋をすると、粉末になるという形式で、それこそ「香酢」の原点。苦労の末に生まれた商品であった。

商品企画でやるべきこと

 ここで、今回の取材には、今まさに「猫のサプリ」を作ろうとしている堀浩子さんが自ら志願し、145マガジン“見習い編集部員”として参加してくれていて、その質問がまた、この商品開発の核心を突いた良いものなので、披露したい。

堀さん〜私は、今自分の会社で、猫用のサプリメントを作っているのですが、西野さんたち「やずや」は今の話で言うと「酢」について深く勉強したのでしょうか?

西野さん〜ものづくりはものづくりの専門家に任せていますね。今更、私たちが勉強しても“なんちゃって専門家”なので、専門分野はその専門家の方に任せて、工場の人も含めてやっていくということですかね。だから、工場もうちが発注して、そこで終わりではなく、それ以後も、工場にお客さんのお便りもフィードバックするんですよね。

西野さん〜お客さんは、こんな風に言っているよと。そこには、ものにまつわる専門知識に詳しい人や、管理栄養士がいますから。勿論、多少私たちも勉強しないといけないけど、ただ、1〜2年の知識であれば、お客さんの方が詳しかったりする。

堀さん〜ペットのサプリだと、サプリを作れる工場はあるけど、動物のペットを作れる資格を持っていなかったりするんです。栄養士でありつつ、ペットのことを考えられる人がいなくて、「だったら自分で勉強して、やるしかない」かなって思っていて。。。

西野さん〜堀さんでいうなら、まず、獣医と組めばいいですよね。獣医が猫の専門家ですから。

堀さん〜うーん、、、

石郷〜堀さん、こういうことじゃないですかね?西野さんたちの一番の使命は「お客さんにとって一番の存在になる」ってこと。そのためには、別に自分が専門家にならなくてよくて、自分自身が誰よりも詳しい人との接点を持って、お客さんの窓口になっているということが大事であって。それは、自分自身が専門家になることじゃなくてってことじゃないかと思うんですよね。

西野さん〜そうですそうです。専門家にならない方がいい。自分のパートナーとして持っておけばいいんです。私の周りにはお客さんもいますし、専門家もいます。例えば、お客さんに何か聞かれたら、それをまた、その先生に聞いて答えた方がいいですよね。我々が生半可の知識で言うのよりは、ずっと信頼してくれます。

堀さん〜今、まさに猫のサプリのサンプルとかを作っているのですが、市場のサプリとか食べさせたくないんですよね。じゃあ、それについて、自分で勉強するしかないのか、と思っていたんですけど、そうか。獣医さんと組めばいいんですよね。

西野さん〜そうです。知り合いの獣医も今度、ご紹介しますよ。

 このやりとりは核心をついていて、商品企画といえど、全部を自分でやることなく、適材適所で専門家を生かしつつ、自分のできることに集中して打ち込んでやればいいということを言っている。例えるなら、演劇みたいなもので、そこで配役を決めないと、そのそれぞれの役割の人は力が発揮できない。だから、通販会社は全体を見据え、お客さんの立場に一番忠実になって相応しい“配役”を自分で考えていくことなのである。

商品開発 を最大化する その後のお客さんとのやり取り

 さて、「20年後も元気でいたい。健康でいたい」。そんな願いが前提にあって、商品化が行われ、ここから先はコールセンターの出番である。商品そのものでそれらの実感を与えつつ、健康にまつわる要素は、コミュニケーションでフォローしていくわけだ。

 例えば、「香酢」を買ってくれたお客さんが80代だとすると、ひとりぼっちの人は結構多い。子供たちも遠方に住んでいて、一年に一度か二度しか会わないのであれば、我々がその遠くの親戚よりも精神的付き合いをしていく為に、ダイレクトメールなどやるわけだ。

 お客さんの手紙への返事だってやずやは決して、怠ることなく丁寧に送り返す。それは健康をもたらす一部分みたいなもので、そうやって「社会的健康」を支援していくわけである。

 買った当初は、買って良かったという安心感が大事。健康食品で、いきなり元気になるのは難しいので、商品に対しての安心をもたらす為に、「どうですか?調子は?」などと、コミュニケーションを通して、お客さんの「小さな実感」を積み重ねていくのだ。

 合わせて、お便りの中で、他の人の体験談を添えて、こんな多くの人が「飲んで良い」と言っているんだ、と前向きな気持ちをサポート。医者から寄せられたメッセージを一緒に送ったりして、健康全般をトータルにケアしていく、というわけなのだ。

やずやの「香酢」が他と違う理由

 やずやが提供する「香酢」の価値が徐々に伝わり始めると、やずやという会社に信頼感を抱き初め、やずやそのものがお客さんの生活の中に浸透して、やずやという「会社」に対して興味を持ち始めてくる。

 「この商品を作っているのはどんな会社」であって、「どれだけ社員がいる」のかという気持ちが芽生える頃に、社員からのメッセージや社員の日常とかを伝えていく。やずやさんなら、こんな事してくれるんだな、と。商品の信頼だったのが会社への信頼へと変わっていく、この部分が重要である。

 そうすると人は期待してくるようになって、やずやからもっと吸収したいという気持ちに至る。もはや健康ジャンルにおいては「やずや」という風になって、香酢に限らず、深い関心を持って受け入れてくれる。

 ここまでくると、やずやの一員であり、敢えて特別感の演出を行うべく、時に、綾小路きみまろさんを舞台に呼んで、五千人だけ招待をすることもあった。人数を絞ることで、「仲間内でも自分だけしか誘われていない」高揚感を作り出し、それがまた人生の楽しさを倍加させていて、エンターテイメントに近い。やずやは、健康というのを「心身ともに」追いかけ続ける。

全てを巻き込み、価値に変えていく

 「病は気から」と言ったもので、「香酢」をきっかけにして、間違いなく、薬とは違って、内側から元気にしてくれている。だから、西野さんは声を大にして言う。「商品単体を送ってもダメで、複合的な要素、他の人とは違う特別感などがあって初めて成立するのです」と。

 今回の取材で改めて、分かったことは、商品企画というのも多くの人を巻き込んで作っていく。時に工場、時に栄養士、時にコールセンター。それぞれがプロフェッショナルであるけど、それぞれの専門性を活かすために、目指す方法を指し示して、情報共有を積極的に行ってこそ、それは、お客さんの満足度へと繋がっていくのである。

 だからこそ、まずは通販会社側の姿勢が大事であり、しかるべき立ち位置を、お客さんとの関係の中で、築いていく。彼らでいうところの20年先の健康という輝かしい未来は、ものづくりとことづくりの両輪がバランスよく回ってこそ実現しているのである。

 今日はこの辺で。

 

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