独身の日 W11 2020 の 真実 中国の消費者 狂想曲 舞台裏
メディア各所で言われている通り 2020 年 独身の日 ( W11 )は過去最高の売り上げ 流通総額は4,982億元(約7兆4730億円)で、+85.6%である。ただ、僕としては、それらの数字やバズワードだけに踊らされないよう、今回、東海大学総合社会科学研究所 客員准教授 小嵜秀信さんに話を伺いつつ、「僕らは 独身の日 ( W11 ) から何を得なければならないのか」それを考えたいと思う。
独身の日 W11 2020 の実績
まず、冷静に数字で分析したい。独身の日 ( W11 )の流通額は4,982億元となり、前年の2,684億元から+85.6%と大きく数字が伸びた。ただ、注意したいのは、去年までと日数が異なるので、一概に比較対象にはならない。今年の数字は11月1日~11日までの流通額であり(正確には予約分入れて10月21日~11月11日となる)、だから、ここは本質を掴むべく、昨年の数字を同期間で計算しなければならない。
それでいうと、3,950億元となり、実質の流通額増額分は前年より1032億円(38.5%)のプラスだ。2017年から2018年成長率が+26.9%、2018年から2019年成長率+25.7%であったわけで、そこで+38.5%なのだから、大きな成長率であることは間違いないことがこれで実証されたわけである。
独身の日 W11 2020 特別な心理が働いたのか?
では、なぜ、中国の人がこんなにも、このタイミングで商品を買うのか、という素朴な疑問である。これについては、小嵜さんは「極論、日本でいうところのクリスマスやバレンタインデーの心理と変わらない。街中も、アプリも1111となって、買わなきゃいけない気持ちにさせられる」と話し、特別なことはない。
ただ、話を聞いて納得したのは、とにかく中国の消費者の考え方はシンプルであること。実利に伴っていないと行動はしないということ。ここが非常に重要な点である。それでいうと、中国の消費者にとって、徹底した「安さ」以外の実利はない。だから、この独身の日のタイミングで、劇的な安さが実現されていて、だからあれだけの人が動き出すというわけだ。
一方で、これだけの人が購買行動を起こすわけだから、インフラはどうかと言えば、流石に追いついていないのも実情だそうだ。それもあって今回、アリババはその締めを二回に分けているのだそうで、右肩上がりを続けている中で、限界値も見えてきている、と小嵜さんは話す。
そして、僕自身、もう一つ、この話を聞きながら、気になったことがある。それでは販売者側は疲弊してしまう。結局のところ、インフラも限界を見え始めている中で一体、誰が得するのだろうと思った。ただ、これも実はよくよく考えると、理に適っていて、皆にとってWin-Winなのである。