中国 を熟知する キレイコム W11 の時 渋谷 で仕掛ける理由
時は、11月11日の独身の日( W11 )である。株式会社 キレイコム は、特に 中国 で商売の勢いが活性化するこのタイミング(正確には11月05日〜2020年11月18日)に、仕掛けてきた。東京・渋谷の「渋谷スクランブルスクエア」で、中国で支持されるコスメを多数集め、華やかなポップアップショップを開いたのだ。これまで生粋の日本製の商品を中国に向け羽ばたかせてきた、彼らなりの戦略がここにも。その点、同社 代表取締役 上田直之さんと共に見てみる事にしよう。
かねてより、キレイコムは、日本の優れた商品力については理解していた。だが、同時に日本でのマーケットが縮小しつつあって、それらが生かせぬジレンマもあった。中でも、彼らは、社名の通り、キレイになるという女性にとっては普遍のテーマに特化することで、その商品力を広大な中国市場で生かして、大きく販売に打って出て、実績を積み上げたのである。
特に彼らが強調するのはローカライズ。中国の消費者と対話しリサーチ結果をマーケティングに生かしつつ、インフルエンサーなどを活用してプロモーションを行う事で、日本の商品力を中国で開花させてきたわけだ。
今回の東京・渋谷駅に直結する一等地、渋谷スクランブルスクエアの6階に設けられた、ポップアップショップには、中国での販売実績の高い商品が並び、10社12ブランドに及ぶという。
例えば、上の写真が「Qzup」。還元型コエンザイムQ10と健康成分を組み合わせたサプリメントである。日本でも有数のメーカー カネカが関わる自慢の逸品だ。様々な状態に合わせて複数のタイプを用意しているのが特徴で、「還巡整月」、「還巡回億」といった具合に、生理に伴うイライラの軽減など極め細やかな症状に合わせて、丁寧に優しく対応させるラインナップとなっている。
上の写真の「CENTONZE R」は、ヘアケア商品。モナコ王朝御用達のエクストラバージンオリーブオイルが含まれており、自宅でヘッドスパ感覚で、ケアができるもので、これも女性にとって大事な「美」に直結するものである。
中国 で日本のメーカーを生かす キレイコム W11 もうまく取り込んで
冒頭、戦略と書いたのは、この取材の日も独身の日(W11)の前日、11月10日だからである。予想通り、キレイコム代表取締役 上田直之さんは「このタイミングを意識しての出店」と話してくれた。
そして、「これまでは中国でも、ネット通販を軸にしているので、それだけではフォローし切れないブランド価値を求めて、この渋谷の一等地にポップアップショップをオープンさせた。また、それを、W11の前に、インフルエンサーの手により紹介してもらうことで、結果、商品の付加価値が上がってプラスに作用する。かつ、ここなら感度の高い日本の方にも知ってもらえるし、これは一石二鳥」と続けた。
かつて、上田さんの話してくれた言葉で、僕の印象に残っているのは、高度経済成長の弊害なのか「日本人は他のアジアの人に対して、下に見ているところがある」というものだ。でも、彼は言うのだ。「現実を見た方がいい。今やその面影はない。中国などの方が大国であり、すでに圧倒的な差がついているので、中国の人たちにとってみれば、小さな島国に過ぎない」と。
そのおごりを捨てて、真摯に中国のマーケットと向き合う事で、結果、日本における数々のものづくりの現場が評価されて、日本に利することとなる。キレイコム、上田さん自身には、そういう下に見る風はないけど、そうやって、彼らが中国と向き合うことは、日本への愛の裏返しなのである。日本にある貴重な財産が宝の持ち腐れにならぬように。生かすも殺すも仕掛け次第である。
今日はこの辺で。