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20年売れ続ける商品の舞台裏 “やずや”が商品開発で絶対抑える大前提

  やずやといえば、健康食品の先駆けであり、その特徴として“定期購入”と呼ばれる手法を取り入れた点にある。彼らはソフトとハードを程よく取り入れながら、上手にお客様を惹きつけている。ハードは商品。ソフトはそれを補完するオペレーターの存在である。商品をオペレーターとどうやって補完しあうことで、その商品価値を上げているのか。ここでは、その点について、やずや大番頭 西野博道さんに聞くことにしよう。

継続して買ってもらえる 商品 その 作り方 をやずやに聞く

1.素材を見れば、実はどこも同じ

 のっけから、西野さんはぶっちゃける。笑。「うちで扱う黒酢といっても、ほとんど原料は同じですよね」と本音で語って笑う。確かに「酢」であれば、成分にはどれも「クエン酸」が含まれている。「酢」を作る工程にしても同じで、酒を作りそれを発酵させて作るわけだ。

 極論、同じようなものを作れてしまうわけだ。それでも彼らの商品がなぜ、ずっと売れ続けるのか。大事なのは、そこの部分である。

 大抵は、素材が同じ。だからこそ、多くの企業はその素材自体を指して「うちは違う!」と説明してしまう。しかし、ここで西野さんが強調するのは「そこの部分で競い合っても仕方がないんです」。

 もっと別のところに彼らなりのロジックがあるということか。

 「痛む箇所を良くするのは、厳密には薬でも難しいはず。ましてサプリメントでそれを解決しようなんて、もってのほか」と笑う。

2.健康「補助」食品だからできる役目がある

 だから、「栄養補助食品」である考え方を重要視している。薬ではなく栄養素。栄養素を効果的で、効率よく摂取していくのがやずやの商品なのだと説明するのである。

 だから、わかりやすく、やずやは自らのターゲットを60歳以降にしたわけだ。

 サプリメントを提供する60歳というのは「20年後が見えない人たち」であり、ここでやずやの商品が「栄養補助食品」である意味が出てくる。20年後の元気な自分を支える為に、今日飲んだ方が良い商品なのだと説明をしている。「ずっと飲み続けましょう」。そう言って、顧客の生活の一部になっていくというわけなのだ。

 つい買い続ける理由がわかる。僕らも「健康のために」とよく野菜を食べる。けれど、別に翌日、腕の痛みがなくなっていることなど期待しているわけはない。つまり、何年も健康でいられる。そんな自信を植え付けてくれるからこそ野菜を食べるのと一緒なのだ。

買ってからのケアを含めての商品の価値

1.最初は「小さな実感」

 とはいえ、薬ではない。だから即効性があるわけではない。そこで、どうやってお客様が継続するようになるというのだろう。その点、消費者の気持ちを「やずや」はよく抑えているのだ。

 「商品を買った当初は誰しも不安ですよね。当然、咳が治まったというようなことは起こりません」。

 そこで、大事な役目を果たすのが「コールセンター」なのである。オペレーターが連絡を取って「買って良かった」という安心感をお客様に与えるのである。

 「どうですか?調子は?」などと最初のアクションを忘れない。そううやって、親身なコミュニケーションに繋げて、それを絶やさない。これを西野さんは「小さな実感」と呼んでいる。

2.小さな実感が奏功する理由

 これをフックに関係性を積み重ねていく。すると実は別の利点が生まれるのである。

 それを考える上で、大事なキーワードは「3つの健康」である。つまり、やずやが念頭に置いている「健康」というのは商品単体の話ではない。その「3つの健康」をフォローすることで商品を補完するのである。

  • 「身体的な健康」:食事、健康食品、運動、睡眠などを意味している。
  • 「社会的健康」:ひとりぼっちじゃなく社会の一員として生活しているという実感
  • 「精神的健康」:幸福感。

 商品をお客様に提供しながらも、この3つの「こと」を大事にする。だから、彼らのものづくりは同時に「ことづくり」でもある。そこを念頭に置いて、商品開発を行なっているから、コールセンターとお客様に二人三脚で、足並みを揃えて商品を使い続けていく。また、応援されて、心身ともに健康となってその関係はより深いものになっていくのである。

 だから、西野さんはその関係性を赤ん坊のように、すくすく育っていくと例えて、購入回数ごと、下記のような言い方をしている。※Fは購入回数

・初回顧客、よちよち顧客:F1-F2顧客
コツコツ顧客:F3-F6顧客
・優良顧客:F7-F14顧客
ゴールド顧客:F15以上顧客

3.次第に「会社への信頼」が大事に

 だから、コールセンターは接し方を変えていく。赤ん坊から少し成長した少年、少女と対応を変えるように。そこで生かされるのは、過去の他のお客様とのやりとりである。それらはコールセンター内で蓄積される事で、コールセンターはより良い関係構築を生み出す拠点となる。

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 そして、お送りする「お便り」の中で、他の人の体験談を添える。こんな多くの人が「飲んで良い」と言っているんだ。そうやって前向きな気持ちをサポートし、お医者さんから寄せられたメッセージを一緒に送る。ハードとソフトで健康全般をトータルにケアしていく。だから強い。

 そうなると、商品に対して実感を得られるようになっていく。それが更にコールセンターと顧客の距離を近づけるのである。それが浸透してくるとお客様は次第に「この商品を作っているのはどんな会社なのか」に関心を抱く。「どれだけ社員がいるのか」などという気持ちが芽生えることも少なくない。

 ゆえに今度は、社員からのメッセージや社員の日常などを伝えていく。

 「やずやさんなら、こんな事してくれるんだ」。商品の信頼だったのが、会社への信頼へと変わっていく。自ずと、お客様がアクションを起こすようになって、信頼は一層深まる。

3.会社と顧客一体となって

 ここまでくると、もはや「やずや」の一員。

 西野さんの話で面白かったのは、ここを更に乗り越えたお客様には、敢えて特別感の演出を行うというのだ。どんなことをするのですか?。そう聞くと時に「綾小路きみまろさんを舞台に呼びました。しかもそれは5000人だけしか招待しないんです」と。

 人数を絞ることで「仲間内でも自分だけしか誘われていない」高揚感を作り出すわけだ。それがまた人生の楽しさを倍加させていく。それはエンターテイメントに近いと言って良い。ある意味、気の利いたサプライズなどを盛り込みながら、「やずや」は健康を「心身ともに」追いかけ続ける。

 だから、健康“補助”食品でも成立するのである。

 「病は気から」とはよく言ったもの。商品をきっかけにして、間違いなく薬とは違って、内側から元気にしてくれている。だから、西野さんは声を大にして言う。「商品単体を送ってもダメで、複合的な要素、他の人とは違う特別感などがあって初めて成立するのです」と。

 今日はこの辺で。

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