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お届け日時も購入時の判断材料 ヤマト運輸とShopifyの連携に学ぶ、自社ECでの上手な店の活かし方

   シンプルな視点ながら本質的。些細な変化だが店舗によっては新規顧客獲得になりうる施策である。最近、ヤマト運輸はShopifyとの連携を発表したが、“発想”の仕方が実に秀逸なのだ。ヤマト運輸の持つリソースを活かして、ECサイトの環境を変えて、顧客満足度を上げやすくする。それも、彼らなりの配送という強みを生かして。僕は、ヤマト運輸 執行役員中西優さんに話を聞いて、仕組みもさることながら、考え方に「なるほど」と納得したのである。

知らず知らずに届く日にちを判断材料にしている

 結論から言えば、自社ECで、新規顧客における「お届け日の可視化」である。

 彼らが注目したのは、店舗が商品ごと、お届けまでのリードタイムを把握していること。それを活かせないかということなのだ。当然、お店は商品を受注した際、いつにお届けできるかを把握している。だから、お客様にそれを伝える。そうすることで、お客様側のECにおける利便性を高めているわけだ。

 一方でその「いつ届くか」という部分を、販売促進に繋げているのがネットのショッピングモールである。中西さんは「Amazonってなぜ、あれだけ支持されているのだろう」と考えていた。それで、至極当然な着地として「商品がいつ届くのか」というのが一目瞭然であるから。それを痛感した。

 大抵の商品は「いつまでの発注で、いつまでのお届けが可能」と表示される。最近では、それが「楽天市場」などでも可視化され、モールにおける標準になりつつある。これは、モールとしての立場を活かしたことによる利点だと中西さん。というのも「それは既に会員となっているからこそ、得られる利点」と説明してくれた。

 つまり、Amazonや楽天市場で商品を購入する際に、アプリに遷移して、その段階で既にもうログインされている。だから、僕らの顧客データのうち、住所を切り出せる。それで、いつまでにお届け可能かを指し示してくれているわけだ。

 これが、商品を購入する際の重要な判断材料となる。

自社ECでもあたかもそのサイトの会員であるかのように

 知らず知らず、商品がいつに届くのかも加味して、僕らは購入する。そこで中西さんは思ったのは、自社ECではそれができないということ。なぜなら、新規顧客であれば、顧客候補であるその相手の住所を知らないだけに、いつ届けられるかを説明できないからだ。

 その点で、モールと自社ECの差を自分たちの力で埋められないか。結果、システムエンジニアとの間で着想したのが、こちら。商品詳細画面に、郵便番号の入力バーをつけることだった。

 つまり、多くの店舗は日頃、お客様との関係で商品のお届け日を出せるフローができているはず。それは出荷から逆算して、受注のいつのタイミングであれば、いつ届くのかを日常的に、割り出しているわけである。

 だからその店のデータをそのまま、ヤマトの集荷とお届けのリードタイムと引き当てる。であれば、お客様はそこに「郵便番号」を入れるだけで、すぐに届ける日にちを表示できる。

 しかも、一度、郵便番号を入力すれば、ログが残っている。なので、基本的には同じブラウザでひらけば、常に、お届け日が表示される。もう郵便番号を改めて入れる必要はない。これにより、自社ECは別に、そこで会員登録や過去の購入実績の有無に関係なく、届ける日時を伝えられる。

 モールと同じ土俵に立ったわけだ。逆に言えば、無理にモールが主導する倉庫に入れなくても、それに近い環境を自分たちなりに作り出せるということでもある。

リソースをどう活かし顧客満足度に繋げるか

 早速、中西さんはこれを各自社ECのプラットフォームに提案した。結果、最も動きが早かったのが、Shopifyだったということにすぎず、それが発表に繋がった。

 とはいえ、今後、自社ECプラットフォームでも定着するだろう。そのShopifyの動きの速さは、個人的な印象だが、Shopifyの仕組みによるところが大きいと思う。Shopifyであれば、自社ECプラットフォーム基幹部分をイジることなく、店舗向けのアプリとして切り離して提供できるから。

 それはさておき、あとは、Shopifyを利用する店舗次第。必要性に応じて店舗向けアプリを導入すれば良い。無料である。すると、それらが実装されてモールと変わることなくお届け日時も購入の判断材料とされるわけだ。

 店舗に確認してみると、確かにお届け日時は大事なようだ。

 自社ECでも、一律、ネコポスにして翌日に届くようにしているところもあった。その意味では今回の施策は、それに加えて、柔軟性を持たせた対応ができるようになる。これであれば、お届け日時を差別化できる商品に幅を持たせることができるからだ。

 シームレスな世の中になっていく。けれど、実はそれは現状の仕組みをどう、掛け合わせるかの知恵の中で生まれるもの。実は、特別なものではない。小さいながらも大きな一歩。注文からお届けまでが、これまで以上に、リアルで買ったのと変わらぬ感覚となっていく。

 今日はこの辺で。

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