多治見の陶磁器 ギフトの思い遣りとセットで付加価値高める 陶磁工房 桃山
ともすれば、商品は価格競争に走りがち。だからこそ、付加価値はどうやって生まれるのか。それを今一度、考えたくて「陶磁工房桃山」の話を聞いた。答えてくれたのは 代表取締役 舩戸正直さんである。彼らはネットショップであり、温もりとはほど遠く見えそうなところで、他にはない付加価値のある商品を提供している。
産地だからこそ
その商品とは何か?
ずばり陶器である。実は「陶磁工房桃山」があるのが岐阜県多治見市。そこは、陶磁器の産地である。だからこそ、彼らはその地元を大事に思いつつ、地元メーカーと連携している。ただ彼らの真骨頂は、そこへの想いを踏まえて考え出した付加価値であり、それがギフトである。
今から10年以上前、「陶磁器を売るお店はそれまでも存在していた」。「名入れを行うお店も存在していた」。けれど、その両方を扱うお店はなかったのだ。
陶磁器に対して産地だからこそ、愛着があった。それゆえ、安易に価格競争にそれらの商品を巻き込みたくないという思いもあっただろう。そこで、ギフトを着想し、陶磁器と名入れを組み合わせたところに、付加価値を見出した。つまり、自慢の陶磁器を手段に、相手への想いを伝える商売を意図したのである。
特別な思いが生まれる人生の節目に
思えば、結婚、出産、還暦など人生の節目はある。その節目は特別だ。思いを込めてプレゼントを送るからこそ陶磁器の価値はそれに相応しい。また、陶磁器にとっても思い出のワンシーンに彩られるのは嬉しい。
結果、その方向性を貫いた結果、人を喜ばせるサービス精神に溢れることとなった。この日、実は、舩戸さんから「実は、今日、用意しているものがありまして」と手渡されたものがあって、開いて驚いた。
なんと、陶磁器で作ったマグカップには、僕のイラストと、team145という弊社の社名が書かれていたのである。言っておくが、彼らに対して、用意してくださいとは一言も言っていない。
店の気持ちが商品の付加価値となる
しかし、今回、こういう機会をいただいたお礼も込めて、ご用意いただいたというわけである。まさに、この精神に、この企業としてのカラーが見られる。
オーダーMyキャラ!というコンセプトであり、似顔絵が描かれている。
これは、贈る相手の人を敢えてキャラクター化することによって、その商品に特別な愛着を、感じてもらえるようにしているわけである。いろんな要素をそのギフトに掛け合わせて、地元の自慢の陶磁器の付加価値をあげているのである。
驚いているのも塚野も、マグカップを裏へ返すと、あっ・・・。
「We Will Rock You 」と書かれていて、驚いた。実はこのメッセージは、当初名刺の裏に記載していた言葉なのであり、どこでどう調べて、この文言を入れたのか。
これこそが、舩戸さんの言う、期待値を超えたところのサプライズである。とことん、相手が喜ぶことを先回りして、考えることが、彼らの姿勢なのである。
期待値を上回るサプライズ
この日、スタッフの方にも同席してもらうと、そこにも思いが溢れていた。
ネットショップはお客様とのやり取りでも顔が見えない。だから、メールや電話でのやり取りがほとんどである。それゆえ、実物もない中、どんなものが届くのだろう。その届く瞬間まで、お客様は、色々想いを巡らせているようだと振り返る。
でも、結局、マグカップに描かれたキャラクターの絵を見て、「そっくり!びっくりした」と喜ぶ姿を、我が事のように喜ぶお客様の報告を耳にして、いい仕事ができているという実感を得るというのだ。
相手への思いやりは、プライスレスであり、そこの期待値を超えるギフトは何にも変え難い思い出となる。だから、いつしか贈られた側が、贈る側へと変わり、素敵なギフトの連鎖が起こっている。真にものづくりへのリスペクトと、思いやりがあって、成せる技である。
今日はこの辺で。