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“eコマース”の 成長 “実店舗”の現実〜小売の未来を考える

小売の正しい理解_リアルもeコマースも大事

 何かものを買うといえば 実店舗 (リアル店舗) というのが当たり前だったのが、この20年で eコマース が 成長 しており、その状況を知らずして日本の未来は語れなくなった。そもそも、この「eコマース」というのは「Electronic Commerce」のことで訳せば電子商取引、要はインターネットを通して売り買いすることを意味している。その成長するeコマースについて知ることで、小売の課題や現状をわかりやすく説明してみたいと思う。

“eコマース” の現状から 実店舗 と 小売 の未来を考える

経済産業省発表による『BtoC EC 市場規模

 eコマースを考える上で、まずBtoC ECの動向に着目したい。BtoC ECというのはBusiness to Consumerで、企業から一般消費者の人に対して売る「eコマース」のことを言う。下の図を見ればわかるが、この市場はずっと右肩上がり。2016年は16.5兆円で、2017年17.9兆円と増えていき、そして2020年は下がる。19兆2779億円(経済産業省調べ)となり、前年比で836億円、減少している。

経済産業省ec市場規模2020年データ(2021年公表)
経済産業省ec市場規模2020年データ(2021年公表)

 この規模感がどれほどかのイメージがつかない人は、コンビニエンスストアを思い浮かべると良い。日本フランチャイズチェーン協会調べでは、セブン-イレブンなどのコンビニエンスストア既存店(出店から一年以上経った店)の年間売上高は 10 兆 3,421 億円(前年比+0.4%)であり、ちなみに2019年初めて10兆円を超えているのだ。

関連記事:ネット通販 の 市場規模 拡大に限界!?コロナ禍 経済産業省 EC 市場調査 を読み解く

「ネットの普及率」が急激に躍進

 さて、eコマースを後押ししているのが、いうまでもなくインターネットそのものの普及だ。これに関しても少し触れると、総務省によれば、下の図の通り、人口は減少していても概ね10代〜50代までは90%近くで推移(総務省 属性別インターネット利用率)している。ネット普及を大きく後押ししたのが、スマートフォンの台頭である。(2017年データ)

スマートフォンの普及が社会を変える

 そもそもインターネットというのはMicrosoftのOS「Windows95」の登場を機に、世の中にパソコンが浸透し、それと共に「インターネット」が脚光を集めたもので、まさに1997年にインターネット上の仮想商店街(オンラインモール)の楽天市場は、創業している。

 当時はまだISDNなどの電話回線などを使って、インターネット通信を行い、パソコンで見るのが常であった。しかし、それも2007年にiPhoneが生まれて以降は、さらに状況が一変。

 一気にスマートフォンが普及することとなり、一家に一台パソコンだったのが、一人一台スマートフォンを持ち歩くようになった。ネットはもっと多くの人に身近なものになった。そして、誰もが当たり前に、eコマースをやる様になったことによる、この市場の急成長ぶりは下記の図をみればわかると思う。これも経済産業省による、スマートフォン経由の市場規模の推移であるが、もはや50%を超えている。

eコマースと実店舗の違い

 初歩的な話だが、当然ながら、eコマースとリアルな店舗は、お金の使い方が大きく異なる。実店舗は人件費にかかるコストが大きく固定費が大きいのに対して、ネットはシステムに費用がかかり、決済の手数料、オンラインモールへの手数料など、どちらかというと、変動費の割合が大きいのが特徴だ。

 ただ、本質的にはやろうとことは同じ。結局、お客様に対して、満足度を高める為の接客、内装などを今までは「人」が自分で動いてやっていたものをシステムに置き換えているわけで、コスト面で見ると全く異なるものだが、これまで使ったことのない部分への予算配分に、これに理解を示すかが大事だ。

 そして、eコマース、実店舗の垣根を超えて、顧客単位で店は何を提供するかが大事になってきていると言って良い。

eコマースと実店舗が融合しつつある

 上記にも書いたが、それらを別々に見立てて、考えていたが、今はそれらを融合させて考えるのが常識となりつつある。デロイトトーマツという会社が出している「世界の小売 業ランキング2020」という調査データがあるが、これは小売企業から売上高上位250社を選定し分析したもので、 1位から3位の企業はeコマースと実店舗を調和させたところに、成長を見出していることが、何よりもその証拠である。

小売 世界 ランキング 2020 (出典:デロイトトーマツ)

1位ウォルマートはeコマースでの購入者に、車や店舗で受取の体制強化

 一位がWalmart(ウォルマート)であり、食料品のeコマースに勝つための戦略として、2018年度は54億米ドルを投資し、eコマースの売上高を40%増やしている。特に注目すべきは、例えば、eコマースで購入した商品を「グローサリーピックアップ」と言って、車から降りなくてもネット注文した生鮮食品を受け取れるようにする他、実店舗での受け取りを可能にするなど、受取配達拠点の拡大に投資したことが全体の売り上げに起用しているのだ。

 少し話がそれるが、世界第2位のコストコはそれを生産管理という部分で、Zest Freshというテクノロジーを取り入れている。野菜などの農作物の傾向をデータ化し、それを基に、農作物が、十分な鮮度で小売のもとへ適切な数量、出荷させるように調整して、廃棄物を削減している。eコマースに近いが仕入れ元との生産性を高める工夫にそのテクノロジーが一役買っている。ゆえに、食品廃棄の半減を通じて、コストを抑え、それを顧客に還元できるとして、売上の上昇をもたらしているのだ。

eコマースの雄Amazon.com が初めて小売全体の3位に 物流の強みに実店舗も強化

 2位は史上初めてAmazon.comがランクイン。言わずと知れたeコマースの企業であり、2018年度の小売企業上位10社の中でも最も高い18.2%の小売売上高成長率を記録。特に、世界一の品揃えを意識し、それがリアルと変わらぬくらいに簡単に手に入る様にと彼らは独自の倉庫と配送網への投資に注力したわけで、これが大きい。数々の仮説と検証があっただろうが、目的をシンプルにして、達成するAmazonの顧客第一主義の徹底ぶりをみればうなづける。

 最近では、実店舗の「ホールフーズマーケット」を買収していて、彼らはeコマースの側から実店舗の重要性を感じているのか、リアルへの投資を強化している。eコマースはやり方さえ、徹底すれば、固定費を抑えて、生産性が向上できるビジネスであるが、ここで得た収益を得てから、リアルへ進出するという流れも、ビジネスとしては賢いところだ。

 なお、Amazon freshとwhole food Marketの食品配達注文は、第4四半期に対前年同期比の2倍以上の伸びを見せていて、限りなくAmazonがそのプライム会員の制度を背景に、普通に人々の日常に浸透していると言って良い。ちなみに、Amazon freshを利用した配送サービスは以前、1ヶ月14.99米ドルの有料だったが、現在はプライム会員の特典として無料になっているのだ。

 この店には、近所の食料品店から新鮮な農産物、肉などを集めているものなので、それを鮮度の落ちぬまま、実店舗で実現する。時に彼らの強みの物流ではフォローしきれない、受け取りの強さを徹底させるべく、その利便性を高めて、Amazonでの顧客体験の価値を最大化させているのだ。

顧客に合わせてチャネルがあり、垣根を考えない

 そして、もう一つ付け加えるとすれば、今触れた小売大手の企業に限ることなく、全ての小売は顧客単位でものを考える時代になりつつある。最近ではChoosyなど場所も持たず顧客の好みだけでブランドを形成するファッションブランドがあるくらいだ。

 この流れは、過去の小売の構造を変えうる要因である。かつてであれば商品を大量に作り、それをマスメディアでアピール、その影響を見極めながら小売店がそれを購入する為の受け皿となって、それぞれの役割分担が奏功し、ヒットが生まれる。ただ、その構造は、ジャンル問わず、過去のものになりつつある。

 それはAmazon然り、大なり小なり企業が顧客のデータをしっかり把握できる時代になったからだ。顧客が何を望んでいるのかを的確に把握して、店側が様々なチャネルを用意してアプローチしていく、という時代である。ここさえ抑えておけば、小売店でありながら、自ら商品を作るという選択肢も生まれる。

 それは今言った通り、大量生産しなくとも、確実に顧客を掴んでさえいれば、その顧客に見合った数量を作り、販売し、利益を出せばいい時代だからだ。かつての小売の動きを見ながら、かつ未来のあるべき小売を理解し、前へと歩ませることこそが、これからの勝ち組となれるのではないか、と僕は考えている。

 さあ、これから、読んでいる皆さんは、どう小売に挑み、また、小売を利用するだろうか。

関連記事:世界の小売業ランキング 2021 Amazonが世界第2位に ネットシフト顕著

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