Bean to Barへの想い チョコで“幸”あれ sachitakagi
商品はメディアだな。そう思ったきっかけは“sachitakagi”というブランドにある。それを手がける高木幸世さんはこう僕にたずねた。「Bean to Bar(ビーントゥバー)」という言葉をご存知ですか?と。僕はその言葉の意味とともに、彼女の並ならぬチョコレートの思いに触れることができた。
sachitakagi チョコレートに込められた原料 植物への愛
1.Bean to Barとは
「Bean to Bar(ビーントゥバー)」。
皆さんはご存知だろうか。実は、この言葉は2000年代前半にアメリカで広がった考え方で、カカオ豆から板チョコレートになるまで一貫して製造を行うことを指すものである。
その言葉と高木さんとは、深く繋がっている。
元々菓子職人である彼女は、遡ること数年前、自分の技術の向上のために、少しハイレベルなチョコレート菓子を作れるようにと、その為の勉強を始めるのである。そして、学ぶ過程で、チョコレートの原料カカオ豆の産地国でコスタリカにいくことになって、そこで運命が開ける。
2.コスタリカで開かれた運命
彼女はそこで、現地の人の頑張りを目の当たりにして感激する。それと同時に、カカオ豆をはじめとする植物の魅力に惹かれることになるのだ。彼女は、自ら手がけるそのチョコの使命として、現地の人たちの頑張りやその魅力を伝えるようと考え、ブランドを立ち上げた。
多くのお菓子屋は“既に出来上がった”チョコレートを前提としている。
だから、その背景について多く触れることはあまりない。けれど、むしろ彼女の場合はその逆で、商品を作って広がるほど、その原料の魅力を知ってもらえる機会が増えれば、と考えている。そこが、他のチョコレートブランドと視点が違うわけである。
だから、商品はメディアとしての側面もあるのだなと思った次第である。
コスタリカからカカオ豆を仕入れチョコを作る
1.sachitakagi その想いは仕入れから
ゆえに「sachitakagi」はコスタリカからカカオ豆を仕入れて、自分たちの会社がある京都でチョコレートにして、そこで出来上がった商品で、そうしたバックボーンと共にその想いを伝えようと意気込む。
商品はどちらに?
僕がそういうと「これなんです!タイル屋さんですか?って言われちゃうんですけど」と笑顔を浮かべた。紹介してくれたのが「chocography」というシリーズだ。一つは、正方形のチョコレートがアートのように美しく表現されている。その横にはもう一つ。薔薇に象られたチョコが華やかさを際立てる。
2.見た目はきっかけでしかない
見た目だけではない。
チョコレートというのは、味わいをより滑らかにするためにミルクなどを使う。だが、敢えてそれを一切使わないようにしようと決めている。それは、その商品を通して植物の力を伝えたい。そう思っているから。そう高木さんは力強く語ってくれた。
また、生チョコレートというのは多くはココアパウダーを乗せて提供する。しかし、このブランドでは植物のカラフルさを表現したいと思って、敢えてこのようなデザインにしているという。花であれば華やかさというように、それを素直に伝えることで、彼女のいう植物への想いも表している。
3.チョコを通して重いと主張があってそこから広がる
僕は通販という文脈で、多くのブレイクするお店を見てきている。特に最近は、堂々と自分の思いを主張して、そこに強い共感が生まれて、その関係性は商品によってより強固になって、成長を遂げているという印象を抱いている。
高木さんのようにチョコを売りたいのは勿論だろうが、そこだけではなく、チョコを通じて伝えたい思いがある。それは今の通販のヒットに通じる物がある。きっと、そこにお客様との心を通わせるきっかけがうまれるに違いない。また、商品自体のこだわりをみるに、それを通してお客様はチョコの美味しさという実感を伴って、彼女のいうチョコが生まれるまでのストーリーに想いを馳せるだろう。
結果、それがコスタリカの人たちの誇りとなって、もっと人を魅了するチョコが生まれる土台となる事を切に祈る。それも彼女にしかできないメッセージの発し方において生まれていくのだとしたら、それは真に素敵に思うし、僕はエールを送りたいのだ。
今日はこの辺で。