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いぶし銀企業、素材と製法で勝負を挑む

 企業は各々、強みを持っている。ただ、それを直球でぶつけるばかりではない。敢えて時代のニーズに合わせ、従来とは、違った使い道で力を発揮しているのだ。今日は二つの会社の素材を活かした他とは違う着眼点に焦点を当てよう。

ウェットスーツの素材がウォーミンググッズに

 ヘルメット潜水という会社は、湯たんぽなどのウォーミンググッズを、大分県の国東市の自社工場で、一品一品、手作りで手がけている。でも、それがただのウォーミンググッズではないのである。いかにして、この小さな工場が多くのファンに支持され、脚光を浴びているか。それは、ウォーミンググッズの一つ一つが、ウエットスーツの素材に着想を得て、作成されているからである。

 考えてみれば、ウェットスーツは、あれだけ冷たい水の中に飛び込んでも、快適に海の中を泳げる仕様になっている。つまり、素材に秘密があるからなのだ。そこに使われるクロロプレンゴムという特殊素材は、断熱性、保温性、防水性、弾力性に長けている。快適な泳ぎができるのは、その力によるものである。

 だから、それをこのウォーミンググッズに取り入れた。

海に、布団に。素材の個性で使い分け

 この素材のチョイスこそがこの商品企画のミソである。

 この特殊素材にナイロンジャージを貼り付け、湯たんぽを手がけたのである。それによって、大きな差別化要因を手にした。多くの湯たんぽは、タオルケットなどで包まない限り、低温火傷になる恐れがあって、必ず、タオルを必要とする。

 ところが、この商品は、カバーなしで使える。その素材のおかげで断熱性が高く、その心配が大幅に軽減されているのだ。生地の中には微細な気泡が無数にあって、その気泡の作用で熱の伝わり具合が、緩やかになる。だから、カバーなしで直接、体に密着しても低温火傷をしづらいというわけである。

 しかも保温性にも長けているから、布団の中では、8〜10時間。部屋での使用時は、3〜5時間も暖かさが持続するわけである。かくして小さな工場の革命は、その独自性で世間の脚光を浴びることになったのである。

絨毯の製法が今の生活にもとどろく

 続いては、山形の話。絨毯に込められた思いが今の生活に生きている。「これ、なんて読むんですか?」思わず僕は、聞いてしまった。その企業名は「米沢緞通(よねざわ・だんつう)」。「緞通」というのは、絨毯など敷物用の織物のことを言う。同社は、山形県米沢にその工房を構えて、長らくその絨毯を生産していた。ただ、ライフスタイルの変容とともに、絨毯の需要が減少して、提案したのが「チェアラグ」である。

 彼らは織物に関しては自信がある。長年、工房で研究を続け、最終的には手織絨毯業を営むようになった。この手織絨毯の特徴は、強く打ち込みが出来る分だけ、その仕上がりにおいては「毛が抜けづらく丈夫なもの」になる。それが評判となり、多くの人に支持されたのだ。

 ただ、絨毯を使う機会が減ったのは、部屋のサイズが小さくなったから。また、フローリングを重んじる住宅が増えたことで、そのものの利用機会が減った。ただ、その技術に裏打ちされた品質は、裏切らない。

 チェアラグは、コンパクトに、またフローリングの椅子などに使えることから、その肌触りの良さと、利便性の高さで勝負をした。また、革用のブラシも提案して、その繊細な編み方が革を痛めることなく、綺麗にしてくれるという新しい価値を生み出したのである。

 いぶし銀企業の意地を見た。企業それぞれにその強みがあり、それを今にどう活かすかは日夜、格闘している。思いがけず、その商品の素材や製法などが、きっかけとなって脚光を浴びるのである。

 今日はこの辺で。

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