原宿の聖地でリアルとネットを超えて 楽天市場の韓国コスメの勢いそのままに
韓国の勢いがとまらない。コスメを筆頭に、彼らの提案するものが日本の若い世代の心を捉えている。だからこそ、日本における各企業もそれをどう最大化させるかに奔走している。この日、僕がやってきたのは、ラフォーレ原宿。韓国に精通するシーズマーケットと連携して、楽天市場に並ぶ商材をリアルに並べて、リアルネットの動きを相互に触発して、ECに呼び込む新しい動きなのである。
韓国コスメ、リアルとネットを行き来して体感
1.数で見せてその集客で体感、発見に繋げる
そのお店とは、「カルチャーマーケット supported by Rakuten」。ずらり、韓国コスメ15ブランド100点以上の商品が勢揃い。全て、楽天市場に出店する韓国コスメを並べたもの、その聖地となることを狙う。
やっぱり、楽天が関わっているということで、それがOMOの拠点であることがミソ。「楽天市場」出店者を軸に韓国コスメをまとめて提案。その数がある一定、揃っているから、この「ラフォーレ原宿」という拠点を使うことの意味が見えてくる。それらを掛け合わせた時の価値である。韓国コスメはこの拠点でその裾野を広げられるだろうか。
実際、楽天市場においても、韓国コスメの存在感が高まっている。2018年から2021年のわずか3年間で、楽天市場でもその流通は約6倍になっている。下記の写真は『TIRTIR』のマスクフィットクッションシリーズで、2022年で最もバズった商品だとか。
確かにリアルの場でもそれを感じる。この日、ラフォーレ原宿の広報の方に聞くと、そう答えた。韓国関連の商品も増加傾向にあるらしい。
理由は、何だろう。「家にいる機会が増え、動画配信を目にする事で、一気に距離が縮まったからではないか」と。確かに。それまで培ってきた韓国の世界に向けた展望。それがネットを通じて身近となった。その視点も相まって、浸透したのではないかという仮説は的を得ている。
2.強いメッセージは国の垣根を越えて響く
また、それはコスメに限った話ではないのは上記の通り。楽天市場によれば、韓国に絡む商品と少しその範囲を広めてみた流通総額も出している。それによれば、3年間で2.8倍にまで成長している。
なぜそこまで浸透しやすいのだろう。「全体的に韓国の商材はキャッチーでコンセプトが明確。だから、国の垣根を越えても伝わりやすい」。僕の問いにそう答えてくれたのは、シーズマーケット 代表取締役 福元雄一さんである。
このシーズマーケットは今回のお店の要となる存在でもある。メディア出身者で構成され、その知見を活かして、PR業務を請け負っている同社。彼らは日本だけではなく、韓国系の商材に関してのPR業務も行っている。だから福元さんはそこに精通しているわけで、その言葉は重い。彼らは、そのPR業から派生して、最近は販売代理店業も行っている。複数のブランドを掛け持ちし、品揃え豊かに提案できる強みを活かし、店舗運営事業を担っているのである。
具体的には、伊勢丹新宿店の1Fに常設の店舗「Yep’s by SEEDS MARKET」。
その知見を活かす形で、このラフォーレ原宿にそのお店を作ったというわけである。つまり、彼らのリソースを生かし、楽天市場というフィールドに集まる韓国コスメを一堂に集めた。サポートしているのは楽天市場だから、リアルとネットを繋ぐ、韓国コスメの拠点を作ったわけである。
OMOとサイクルの速い韓国コスメの強みを最大化
1.このショップのビジネス構造
マネタイズはどうしているのか。僕が気になったのはそこである。それについては、出店店舗(出店ブランド)はこの店で売れたら支払う、成果報酬型。その他、楽天市場に専用ページを作っていて、出店店舗に協賛金を募っている。それぞれの立場でうまくお金が流れるよう工夫している跡もある。こういうビジネスモデルは今後、ネットの存在感が増すほど、リアルでも増えるだろう。
実は、韓国コスメに関連して、福元さんがこんなことを話していた。「現地では巨大メディアを通じて展開しているわけではありません」と。
つまり、多くはインフルエンサーの手により人気が生まれる。個々で小さなメディアを持って、各地で分散してブレイクしている。僕はそれを聞いて、「そうか。だから商品のサイクルの早いのか」と。
だから、D2Cと親和性が高い。インフルエンサーと組み、小さな商圏を見失わず、徹底するわけだ。生産性高く必要数作って、成果を出し拡大してくるから、新興勢力も多い。
逆に言えば、日本はインフルエンサーの影響力が大きいわけではない。むしろメディアの影響力が大きい。だから、シーズマーケットはそこで存在意義がある。それらの韓国コスメを束ねて、日本のメディアなどに然るべき手段でアプローチするからだ。
2.束ねることで既存から新規まで手堅く抑えられる
シーズマーケットとしては今回、「楽天市場」と組むことで、楽天のメディア力を活かすことになる。だから、楽天IDを持つユーザーに対して、楽天市場内に専用のページを作る意味が出る。これをアピールし、この場所に来て、実物に触ってもらう。そうすれば、その韓国コスメの価値を深く実感できる。
一方で、先ほど、このお店はOMO拠点であると書いた通りで、商品の横には必ず、QRコードを設置。読み込むことで、楽天市場の関連ページに飛ぶようにしているから、相互利用が触発される。
上手くできているなと思うのは、ここに新規ブランドも出店していること。下記の写真のQUA-T、LOVB LOVBなどは、まさにそれである。つまり、これがシーズマーケットの考え方にも通じる。既に楽天市場内で人気となっているブランドをフックに集まる場所を作る。そうすれば、その流れで、新しいブランドを認知できる機会が生まれて、その裾野を広げられる。
3.韓国コスメの速いサイクルで消費者を触発
ここまでの話を聞いて、わかるだろう。つまり、韓国コスメの特性上、単一ブランドで、ラフォーレ原宿に出店するのは得策ではない。むしろその速いサイクルに着目をして、既に売れているブランドを陳列するべきだ。そして、新規ブランドに目を向けて、マーケットの拡大を狙う。だから、日本初上陸のブランドもここには並ぶ。互いのメリットがある。更には、それを訴求するために、ライブコマースなども行って、売り方の多様性も狙うわけだ。
繰り返すが、複数の韓国コスメを次々入れ替えながら、タイムリーにアピールする。これが楽天市場に出店しているという括りで実現させていくことで、楽天にもメリットが生まれる。かつOMOとして、その拠点からECへと繋げることで、韓国コスメの強みをEC上で最大化できるということになるわけである。
韓国の勢いを感じさせるものであること。そして、またリアルの強みを効果的に取り入れながらECに繋げる施策であること。そして、韓国の勢いを最大化させること。以上を踏まえた、この拠点は、若い人にとって心躍らせる存在になるかどうか、今それが試されているのである。
今日はこの辺で。