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僕らの新たな日常を作るのは実はECの知見だ G1 commerce 時代の潮流へ

 面白いなと思って聞いていた。僕は、この日、UZENという会社にやってきている。同社はECに関係するところのソリューションを提供しているのだが、純粋なECではない企業を相手にしている。これが時代の潮流ということか。ECに関係ない企業でも、ウェブ上でサービスを提供していかないと、死活問題である。そこに寄与するのが、ECの知見であって、その彼らの高い専門的知識なのである。

毛色の異なる事業に可能性が

 UZENのそのソリューションは「G1 commerce」という。教えてくれたのは、同社 ECコンサルタント シニアマネージャー伊藤 健さんだ。純粋なECではないと書いた。要するに、ECサイトをサクッと作りたい。小売店界隈には、そういうタイプが圧倒的である中で、そうではないニッチな部分で商売をする企業を相手にしている。

 それは、どんな企業かって?

 例を挙げると、レンタル、オークション、モール、オムニチャネル、デジタルサービスの販売、海外での販売事例といった具合で多岐に渡る。ECという枠組みから少し逸脱して、事業モデルや仕組みが個性的。それゆえ、お客様から支持を受けているので、こだわりが強い。

 彼はそれを“毛色の異なる事業”と称した。ここで紹介するのは毛色の異なる事業に取り組む企業。それが合致するのは、昨今、多様化するビジネス環境にあるから。読者も、今関わる事業がいつそういう風なECらしくないビジネスモデルに変貌する可能性もなきにしもあらず。だから、ここに記した。

 さて、そもそも、既存の“EC向けの”ソリューションを提供する会社が、“毛色の異なる事業”に対して支援することが、なぜハードルとして高くなるのだろう。その答えは「(事業者が)自ら売る」ことに焦点を当てているからだ。「売る」で仕様を共通化させて、効率化を図り、広く小売事業者に提供している。

 ゆえに、その分、その毛色が変われば、難易度が高くなる。

そもそも自社“EC向け”のソリューションとは?

 そこで、“毛色の異なる事業”へのアプローチを方法を、深く理解するために、敢えて、既存の“EC向けの”ソリューションを提供する企業のタイプを説明しようと思う。自社ECを制作する場合、大抵、下記の通りになる。

 基本的には、規模感の大小に伴って、その使用するソリューションが変容する。代表的なのは、中小企業が活用する「ASPカート」である。「売る」ことに特化して、大雑把に言えば、テンプレートを使うことで仕様を共通化させ、だから、時代に合わせてアップデートしやすい。

 それに対して、ゼロから構築するフルスクラッチ型のECもある。主に大企業を中心として使うのは、それにより店の独自性を維持できるからである。よく、僕はこの二つを車に例える。

 レンタカーが「ASPカート」。自分好みではないけど、走るときに応じて変幻自在に変化できるからだ。一方で、「フルスクラッチ」は自家用車に相当する。一つ一つのメンテナンスは、個々に行わなければならないけど、完全に自分仕様にできる。

 しかし、そもそも車という部分では共通しているように、今の自社EC制作ツールは「自ら事業者が売る」という部分で共通しているわけである。

そのどちらでもない“毛色の異なる事業”

 ただ、UZENのG1 commerceに至っては、そのどちらでもない。語弊を恐れずいえば「自ら事業者が売る」ことをベースにしていない。例えば、とある事業者が自社ECモールをやりたいといった時、”既存のEC向けサービス”の仕組みを使って、それを構築するのは難しい。なぜなら、自らがテナントを募って、売る場所を提供するのであり、売るのは、出店する店の方である。

 カスタマイズをするといっても、先ほどのフルスクラッチECとは違った視点でのアプローチが必要になるのである。

 ただ、“毛色の異なる事業”であっても、UZENが自らの知見を活かせると考える理由は、どこにあるのか。それは、純粋なECとは異なる経験を多くしているから。

 つまり、システムというよりは、人に紐づく経験値とノウハウが必要。

 その点、同社にはネット黎明期から、先ほど挙げたような自社ECプラットフォームに触れてきた、百戦錬磨の専門家がいる。要するに、その専門家の知恵の使い道を、既存のECプラットフォームとは違う形で見出したところに、UZENという企業の面白さがある。

 伊藤さん曰く、事業者がどういうビジネスをやっているかで、まるで入口が変わる。変な話だが、売る以上に「やりたいこと」が存在する企業なのだ。

目的が違うからエンジニアの知恵の出し方も違う

 最終的に、ウェブ上でお金を払うという部分で行為は同じであっても、そこに至るまでのプロセス、料金体系、支払いの仕方などが全く違う。つまり、“EC向けの”ソリューションがお手上げなのは、そこがアレンジされれば、当然、システムの方もアレンジせざるを得ないからである。

 かくして、彼らはサイト全体の設計に関わり、彼らの知見が生かされることになる。

 だから、これも面白いと思ったことだが、プラットフォームを提供しながら、コンサルも行っている。すなわち、それは、売上を上げるためのコンサルではない。先ほど話した、プロセスなどをECの技術に結びつけるまでの設計部分を、しっかり要件定義して、エンジニアに伝えることができるようにするためのものだ。

 だから、合点がいく。彼らがなぜ、オムニチャネルに着手しているのかを。

 僕が事業者からよく耳にする話として、基幹システムとの連携で躓くことがある。つまり、リアルで長く、事業を続けている企業ほど、既に基幹システムがある。これが担当者を悩ませる。これらの基幹システムは、今から何十年前の仕様であったり、個々の企業の特性に合わせてカスタマイズされている。だから、それとECの仕組みを連携させるのは至難の業なのである。

プロセスも料金体系もECとは異なる企業

 だから、きちんとした要件定義をして、そこに繋げるためのECサイトの構築が必要となる。すなわち、それは純粋なECとは言えない“毛色の異なる事業”ということになる。

 当然、コストを考慮して、会社全体最適を考え、優先順位は何か。そこで活かされるのは、20年に渡るECの知見である。「こういうことをやりたい」。そんな事業者の一言に対して、何が関係するのか。UZENの場合、蓄積したものがあるから比較的、それが見えやすいわけである。

 例えば「決済機能をつけたいけど、そこにバリエーションをつけたい」。

 それだけでも、どこの決済事業者がベストなのかなど、色々な検討すべき要素がある。たった一つのことでも、数時間の議論を要することすらある。そのことを、彼らは事前に気づいて、それを元に交渉するから、お互いにストレスがない。

 聞けば聞くほど、ECではないのに、ECの知識が重要である。それが世の中に存在するビジネスの可能性を高め、裾野を広げている。クライアントのアダストリアがそうであるように、発想が先進的な企業が多い。

そうか、だから担当者との距離も近いのか?

 例えば、アダストリアは小売店ではない。顧客起点で、複数のブランドを所有して、裏側の製造、出荷を共通化させ、一つの会員IDで回遊させ、効率化を図る。だが、裏側は複雑になりやすい。だから、やりたいことを明確にし、それをシステムに落とし込むときに何が大事なのか議論できなければ、まわるはずがない。

 それは、モバイルプランニングを取材した際にも痛感したことだ。事業の中身はWi-Fiデバイスのレンタルであり、その着眼点は的中した。ただ、「売る」のとは違って返品に関しての管理などもあるし、その裏側ではエクセルなどを使って、独自で仕組みを構築できたからこそ、実現できた。

 それは財産である。けれど、事業の拡大に追いつかなくなったとき、焦り出すわけだ。その財産は手放したくない。どこから手をつければ、それらの積み上げてきた財産がデジタルの力で最大化されるのか。皆目、見当がつかないから厄介なのである。

 ECのようでECでもないこの事業をどうやって伸ばそうか。そこに手を差し伸べたのが、UZENであった。伊藤さん曰く、年商10億円レベルを超えてくると、デジタルを味方につけてやるほうが、全てが救われる。

関連記事:Wi-Fiのデバイスをレンタル?ニッチゆえの奮闘とシステムを味方につけ年商20億円企業へ飛躍の理由

ECの力を借りて成長すべきEC以外の事業はまだ存在する

 20年の積み上げてきた知識は今に生きてこそ。

 だから、今の顧客とも向き合っている。彼らはアウトドア商品と化粧品販売において、自らECサイトも運営して販売しているのだ。お客様との触れ合いを、日々、確認し、課題がどこにあるのかに向き合っていることに彼らの姿勢が表れている。店舗の言うことをただ聞くだけの下請けではないということだ。

 エンジニアも、営業も、店の担当者も同じ目線で、意見を言い合う。

 ここに尽きる。それを踏まえて言いたい。最終的に小売店が目指す先は、まさに“毛色の異なる事業”を持つことではないか。話が逸れるかもしれないけど、世界の小売大手「ウォルマート」はリアル店が各地に存在するから、店舗受け取りを強みにECを強化した。その結果、お客様がついてきて、そこで彼らはメーカーに対し、ウォルマートのECサイトに「出品」しないかと問いかけた。

 つまり、店からモールへと脱却したのだ。そして、それはリアルとネットの合わせ技によって実現したわけである。それをやったのはUZENではないけど(失礼!)、それくらい成長に繋がる大事な変化だったのだ。

 小売店が“毛色の違う事業”を持ってこそ、自らの個性を最大化し、本当に事業の成長を遂げることができると言えよう。UZENの存在を見て、それが身近にできると確信したし、だから今一度、毛色の違うそのストーリーにも目を向けて欲しいと思った次第である。

 今日はこの辺で。

 

 

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