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売り買いするだけではない価値を想像し創造する FUTURE 20th SQUARE

 人々の心にどれだけ響くか。リアルの小売業はその部分で大きな強みがある。何年経っても忘れられない思い出は、その買い物とお店とともにある。だから、フューチャーショップが20周年の節目に提起したのは「FUTURE 20th SQUARE」。なるほどなと思ったのは、20周年の企画として彼らが選んだステージの一つが、バーチャル空間であること。つまり、挑んだのはそのリアルで力を発揮する体験価値の方なのだ。

・人と人とが心を通わせ、温もり感じる空間へ

 デジタルが進化したなら、そういう心に残る一生の体験に、ネットショップもトライしないといけない。フューチャーショップの代表取締役 星野裕子さんは、チャレンジ精神たっぷりに、ポジティブな想いをここに込めたことを明らかにした。ほら、写真の通り。

 「FUTURE 20th SQUARE」はメタバースを思わせる、バーチャル空間なのだ。

 着眼点がいいと思った理由は、デジタルの捉え方が変わっているからだ。デジタルを通して、人々は価値観をともにする人たちとの関係を密にする。そういう方向へと移り変わっていることは、僕自身、デジタルの最前線にいるweb3の人と話すようになって実感するようになった。

 話が逸れるかもしれないけど、こうしたメタバースと共に脚光を浴びる「NFT」がまさにそう。NFTは購入した保有者を明記するから、売る側も相手を意識する。不特定多数の人を相手にするというよりは関係性を深める。そこから、派生して、コミュニティが生まれている。

 驚くのは、保有していることが、他にも見えるから、そのコミュニティ内で持ち主同士でもが繋がり合うきっかけが生まれていること。実は、保有者同士で新しい経済を創出しているほどなのだ。

 つまり、これからの時代を切り開くのは繋がり合うきっかけを創る個性なのだ。だから、バーチャル空間で「売るだけではない」価値観を訴求しようとする、星野さんの嗅覚の良さを感じたのだ。

・胸キュンできるデジタルに近づくため

 「スタフィー」(星野さんのバーチャル上の名前)はロマンチストだ。「クリスマス時期、彼女といったあそこのスイーツは美味しかったな。あの時、お揃いで買ったマグカップ、今でも愛用しているな。お気に入りのものの価値って買った時の思い出とかエピソードとかが加わって愛情が増してくるものですよね」と語り出す。

 聞くだけで、体がソワソワしてくる(笑)。

 その一方で、「今のネット通販は、技術革新によって、利便性は勿論、ウェブそのものの技術も進化してきた」と説く。しかし、それでも出来ていないのは友達や彼氏・彼女と思い出を作りながら、買い物を楽しむということなのだと。なるほど。

 誰しも、胸がキュンキュンしたことありませんか?スタフィーの表現が若干、古さを感じさせなくもない(失礼!)が、純粋で実によい。そういう体験を、この場所でもできたらいいな。そういう想いを込めてのこの空間なのだ。

 つまり、店の魅力と重ねあわせ、個性のもとに人と人とが繋がる流れである。それは、これからの時代、今、僕が触れたデジタルが必要としていることと一致する。だから、バーチャル空間はその一例に過ぎなく、彼らの意図する「人との触れ合い」「感動」を演出していこうという声がけの方が大事だ。

・感動のスイッチはショップとともに

 さてさて、そんなわけで思い出や感動のスイッチを入れるのが、個性あふれるお店の数々である。それらは、彼らが20年かけてともに築き上げてきた同志でもある。だから、今まで蓄積の上に未来を見据えるこのロケーションにはふさわしい“パートナー”だ。

 例えば、江戸時代から続く老舗「伊藤久右衛門」はここに名を連ねた。この点、さすが、同社のEC事業部長の足立さんは、わかっている。未来を築く女性的な感性に共鳴したのだろう。彼らはECサイトでも人気が高い「アイスバー」に着目。バーチャルポップアップストアとして、その「アイスバー」を集まる人に作ってもらい、自らの商品に関心を持ってもらおうというわけだ。

 それこそが、商品写真とテキストだけでは伝わらない企業価値。

 ユーザーがアイスバーを作る中で、彼らの真意に触れることもあろう。こういう行動こそ、次の時代に生き残る上では大事なことだ。

 下手すれば、その体験を通して、伊藤久右衛門で子供が働きたいと思うかもしれない。彼氏彼女だけではなく、家族で体験してもその共感は別の価値を生む。大量生産大量消費とは別軸の話。そして、デジタルだからこそ、追求できるより個々の人間的なふれあいと企業価値の訴求である。

・訴求が難しいイメージも乗り越えるバーチャル

 それで言えば、バームクーヘンでお馴染み「治一郎」も同様だ。

 物理的な要因でなかなか訴求が難しいイメージも、バーチャル空間で体験を交えることで、それを可能にする。キャップチックにバームクーヘンの原理を抑えて、焼いて作り上げる。それとともに、横に設置された動画により、より詳しい作り方が放映される。

 モロゾフであれば「プリンお皿だしチャレンジ」を。SNSでも話題になっているエンタメ要素で、プリンをお皿に出すというシンプルなもの。それを擬似体験できるのだが、それがメタバース空間になると、よりゲーム性が増している。スタッフさん、プリンを振るために、自身がジャンプしている。。。

・慣れているから抵抗感もない

 何気ない要素も、ゲームにできるから伝えられる幅が広がる。リアル以上の価値である。バーチャル世界で、360度の空間をフルに堪能する。それはゲームの「ゼルダの伝説」然り、「フォートナイト」然り今や常識。違和感なく没入できる要素がある。

 そこに店の持つ価値を盛り込み、バーチャル上でコンパクトに伝えようとしたわけだ。果たしなく続く、空想的なイメージで構築されたその世界。空を見上げれば、花火が浮かぶ。

 ふとその横に飛ぶ、飛行船を見れば、PayPay、楽天ペイなど、協賛サービス名。

 なるほど。ちゃんと企画を立てる上で、フューチャーショップが決済で信頼を寄せるサービスを巻き込んだわけだ。近未来で、未知数な企画でありながら企業の協力が得られている。それも、20年の積み重ねの功績だろう。

・物を売り買いするだけではない価値を想像し創造する

 現場でドタバタしている部分もあったが、そんなものは仕方ない。しかし、僕はこれをやったことに意味があると思う。

 つまり、単純に、ものが売り買いして移動していくだけではない関係が大事。「胸キュン」エピソードと紐付けながら、これから店に必要な要素をバーチャル空間で提示することこそ、彼ららしい。

 それは、フューチャーショップの取引店舗とは特に、親和性が高い。どちらかと言えば、エッジが効いている店が多いからだ。企業としての考え方を披露するには、ベストな方法だったのではないかと僕は思った。

 自社ECは本当に物売りではなくなる。企業の価値は何かを考え、お客様の満足がどこで得られているのか。それを考え、ふさわしい顧客接点を作り出すことで、企業ブランディングに直結する。

  その企業の個性がより発揮される「顧客接点」の中で、どうやって体験価値を高めていけるか。思うに、ECが向かう先は、きっとこういう感受性豊かな中でのアプローチなのである。​​​​​​​メタバース空間はその一例であり、何もこれが全てではなく、店が向き合う本質に目を向けるべきである。

 その一方で小売店はブランディングを考え、その考える先に自社ECがある。20周年、おめでとう。お祝いとともに、エールを込め、素敵な“未来”を祈って、この記事を贈る。

今日はこの辺で。

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