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倉庫潜入ルポ!BEENOS 越境ECトレンド2023上半期  趣味嗜好は国境を越える 

 人の価値観とは計り知れない。一見、万人受けしなくても、ある特定の人には価値あるものと受け止められることがある。だから、日本の国内で見たら見向きもされないものでも、世界で見ると、そうではない。それを顕在化させたのが、越境EC。今回、Buyeeなどを提供するBEENOSが、2023年のトレンドを紹介。あわせて、その倉庫も見せてもらって、それを痛感した次第である。

日本の価値に気づく海外ユーザー

1.アメリカ、台湾などを中心に日本の商品は高く評価

 BEENOSは「Buyee」というサービスを筆頭に越境ECでは存在感を示す。商工リサーチの調べたところではその流通はNO1。そのデータは業界の今を示すには信頼に値するものだ。

 そこに基けば、昨年から円安の影響で、日本の商品に注目が更に集まっている。ご覧の通り、この市場は右肩上がりの状態。表は越境ECの流通の推移として、Buyeeの流通総額である。2023年1-6月の流通総額は前年比22.8%増に至っている。(決算資料より)。

 現状、地域別で見ると、アメリカ、台湾、香港と続く。

2.Buyeeを通して日本の価値を知って購入

 では、Buyeeとは何か。簡単にいうと、日本の通販サイトと海外にいる人の間に「Buyee」という通販サイトを挟むわけだ。

 「Buyee」はアクセスする海外の人の言語に合わせて、その通販サイトを表示。同時に、購入できる環境ができているのだ。それで商品を購入すればその「Buyee」が日本の通販サイトから代理で購入。それをBEENOSの倉庫に入れもらって、現地のお客様に送ってくれる。

 つまり、通販サイトからすれば、日本のお客様に売る感覚で、その倉庫に入れるわけだ。だから、何ら抵抗はなく、実施するのも楽。その環境設定もタグを入れるだけで良いのだ。通販サイトに限らず、メルカリなどのプラットフォーマーもこの仕組みを使っており、その影響力は大きい。

嗜好性がフルに発揮される越境EC

1.じ、自動車のドア??

 実際、海外の人は、日本のどんな商品に関心を持っているのか。データを見ると、そこが気になる。正直、そのトレンドの内容と倉庫の両方を見て、初めて見えてきた僕の実感。それは、このマーケットではリユース関連における存在感が大きいということだ。

 どういうことか。つまり、わざわざ海外のサイトの人が日本の通販サイトにアクセスして、購入するわけだから、独創的で、他には到底見られない商品ということになるからだ。

 この日、僕が倉庫を訪ねてみて、驚いたのは自動車のドアである。

 そうすると、売れる商材は、「嗜好性の強いアイテム」ということになる。

2,2023年上半期でもフィギュア、ゲームなどが好調

 だから、それに先立って行われた発表会でも、それが現れている。

 2023年上半期(全世代、購入UU数)で見ると、1位「フィギュア」、2位「ゲーム」、3位が「自動車・バイクパーツ」。強引かもしれないが、度肝を抜いた「自動車のドア」にしても、パーツと言えば、パーツである。

 しかも、面白いのは、その嗜好性は、世代間によって異なる。それは収入や価値観に左右されやすいからであろう。そのことは、この日、発表会で本間哲平さんが明らかにしてくれた、各世代の人気ジャンルに現れている。彼は関連会社BeeCruise執行役員で、海外進出やプロモーションなどに詳しい。

 10代では1位「フィギュア」、2位「アニメグッズ」、3位「ファッション」の順。20代では1位「フィギュア」、2位「ゲーム」、3位「アニメグッズ」の順。30代も1位「ゲーム」、2位「フィギュア」、3位「コミック・アニメグッズ」の順。

3.コンテンツへの関心から生活の質向上へ

 比較的、若年層から始まって30代くらいまでは、コンテンツの影響を受けやすい。それを背景に、推し活ともいえる動きが見られる。それゆえ、コンテンツ単位で買われるから、比較的、一つ一つの単価が安くなり、手が届きやすい関連グッズに集中。

 ところが、40代に入ると3位に「自動車・バイクパーツ」が入ってくる(ちなみに1位「フィギュア」、2位「ゲーム」でこちらも嗜好性が高い)。

 さらに、50代から60代となると、その1位が「オーディオ機器」となる。つまり、コンテンツ単位ではなくその生活シーンをいかに向上させるかに変わってきている。だから、単価の高い商材を購入する傾向が見られるわけだ。

 広く手に届くエンタメから、より重厚で豊かさを求める視点へとチェンジしているのだ。

4.世代によって興味関心は変わっていく

 特に、この表はそれらを顕著に示している。ヒットジャンルの世代別構成比である。

 緑は製造系ジャンルで、先ほど触れた生活の充実さを向上させるもの。その緑の割合が、年齢とともに拡大しているのがわかるだろう。

 そして、趣味嗜好がこの市場で大事なことを示すように、共通して人気が高いのはフィギュア。(黄色の部分)。

 余談になるが、以前、雑貨系のおもちゃメーカーと話していた時のことを思い出した。日本企業のフィギュアの精密さは、世界的に見ても真似できないレベルと言っていたのだ。つまり、日本の通販サイトで買わなければいけない理由がここにあるわけだ。

5.ブランド力は独自力であり個性

 改めて、その言葉で、リユースであるとか新品であるとかに関係なく、強さを示すものが何かがわかる。独自性で真似できない商品力こそが、越境ECでの影響力に直結し、伸び代がある部分だ。それはあらゆる尺度で考えれば、できないことはない。

 例えば、中古品、新品に関係なく、支持されるのが「ファッション」だろう。(上の表ではピンクの部分。)2023年のトレンドを見ても顕著である。先ほどの世代別構成比も、全世代に支持されている。ただ、これも独自性が大事であり、わかりやすく、他の人が手にしていないものを購入する傾向が強い。

 例えば、越境ECの利用者のうち10代で1位は「ヒステリックグラマー」。1986年、原宿に直営店をオープンさせたのを機にブレイクし、UK、USAとその売り先を広げ、海外で名前が知られるところとなった。ちなみに、40代ではそれが徐々にラグジュアリー感が出てきて、「ISSEY MIYAKE」などのブランドも見られるようになる。

 いずれも世界に認知されている、日本を代表するブランド。越境ECのユーザーが何を求めているかを感じさせるデータではないかと思う。ブランドがいいと言っているわけではない。オリジナリティを持った商品力こそが大事であるのだ。

しかもそれは今で言えば、SNSがあるおかげで、必ずしも、マス向けでなくて良いから、多くの人にチャンスがあるものなのだ。

欠かせない倉庫の「縁の下の力持ち」的な役目

1.手間がかかろうと引き受け市場拡大に寄与

 ただ、BEENOSに限ったところで言えば、倉庫での手間暇を徹底的にかけて、その流通を活性化させようとしたところに価値があるだろう。倉庫内を、歩いていても顕著に出ていて、繰り返しになるが、リユースの存在感は大きく、それこそ、彼らの真骨頂だと言わざるを得ない。特にそれ関連の作業の大変さは、この場所に来てこそ実感するものだ。

 すでに使った一点ものが、持ち主のお客様の手で梱包されている。だから、それを、倉庫は中身を開いて、丁寧に検品する。

 入れ物は多種多様になるから、そのまま活かせるものと活かせられないものを振り分けて、後者は新しい箱なり袋なりに入れる。

 これがそのまま、出荷される礎。ゲートのようなところにそれらを流し込むと、自動的にそのサイズが出る。だから、BEENOSとしては、国ごとの配送料も出せるわけだ。

 あとは、BEENOS側で手配している配送業者に、この倉庫から出荷手配をしてもらう。

2.配送への配慮もまた重要な要素

 ただ、購入者が買うのは1品とは限らない。むしろ、単価的にも、複数購入することのほうが多い。だから、振り分けられたそれらは一旦、倉庫に保管されることもあり、一緒に入れる商品が届き次第、同梱するわけである。先ほどの通り、一般ユーザーのものが混ざっているから、形はさまざまで保管も難しいだろう。

 加えて、その梱包の仕方である。以前、直井社長が、海外で配送することの難しさを話す過程で、配送の仕方に触れていたことがある。「日本は丁寧に、配送をするのが常識だけど、海外はそうだとは限らない。だから、その強度の検査は、折を見て行いました」と。

 この倉庫でも精密機械などは、フローとしてより強度の高い梱包にするように組まれている。なるほど、彼の言葉は、こういうことだったのかと気付かされる。企業秘密なので、明かせないとのことだが、この場所でしか見られないような梱包があったのは事実である。

3.国境を超えて伝わる価値とは何か?

 これを売主側で全てやるのは現実的ではない。しかも、現場にいる倉庫の方々すら、この丁寧さは驚くほど。ここまでやる必要があるのかと思えると。でも、そこにBEENOSとしての信念が見え隠れする。

 改めて、越境ECを牽引しているのは、より差別化要因の高い、一点ものだと痛感する。どこでも買えるものを、わざわざ、国を跨いでまで、手に入れようとは思わない。逆に言えば、そういう嗜好性の強さは何よりも大きな武器となる。

ただ、現状で言えば、それが発揮されやすいのがリユース。今は物流環境での扱いが難しいからこそ、彼らの地味な泥臭い努力が差別化要因となり、これらの伸び代を支えている。現状で言えば、倉庫然り、裏方の頑張りなしにはありえないのだ。

 だから越境ECの今の状況を、倉庫での動きを交えて書くことで、そのランキングの意味や、理由をよりリアルに実感できたのではないか。

 彼ら曰く、自分たちのサービスは手軽に参入できる分、スタートアップの商材がブレイクすることも少なくないと説明している。わかりやすい要素が顕著に出る中古品ではもうその可能性を発揮している。そうだとすれば、新品でどうその付加価値を発揮できるか。そこに可能性がある。

 どれだけマニアックな商材で扱いが難しくても、寧ろそれが価値となるインフラだからだ。小さくとも深く熱い熱狂が生まれる時代。だからこそ、越境ECで輝く商品の未来を期待したい。

 今日はこの辺で。 

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