注意喚起が、お客様を特定して、関係構築に寄与する!?シナブルのナイスな着想
・意外に見落とせない細かなケア
お客様への“注意喚起”がお客様を特定することになって、その後の関係に活かすことができる。そんな話を先日、シナブルの小林社長がしていて興味深く聞いていた。
同社はもともと「EC Intelligence」というマーケティングオートメーション・ツールを手掛けている。けれど、彼が披露したのは、それを使った思いがけない使い方だったのだ。お客様の利便性の向上と関係構築を伴った、面白い視点で、興味を持って耳を傾けた。
一言で言うなら、「出し分け」なのである。
出しわけ??そう思われる方もいるだろう。
極めて些細な点なので、気づきにくい部分でもある。例えば、お客様がECで商品を購入する際に、前払いを選び、銀行振込を選んだとする。しかしながら、そのお客様がもしもその商品を「すぐに手に入れたい」と思っていたりすると、どうだろう。問題が起きやすいのである。
なぜなら、急いでいるのに、業務フロー上は急ぎで対応し切れるものになっていないからだ。銀行振込の場合、振込確認してから、商品を出荷する業務フローを組んでいるはずだ。
だから、寧ろ他の決済手段よりも時間がかかる可能性が高く、トラブルが起きやすいということになる。それなのに、お客様が「すぐに手に入れたい」と思っている。焦っているだけ、ちょっと待って!と言ってあげられたら理想的なのだが・・・。ともすれば「欲しいタイミングに届かないことが起こるかもしれない」から。
・事前にアラートを出すのも限界
ただ、ECサイト側も、ある程度、事前に購入する際の注意事項やFAQについて、サイト上に掲載をしている。ところが、先ほどの事例のように、それ自体が一般的な事象ではない場合、それまで事細かに書くわけにはいかない。
どんなものでもそうだが、色々書き過ぎると、かえって大事なことが埋もれて、伝わりづらくなるからである。つまり注意事項やFAQはなるべく、少なくしたいという心理も働く。かくして先ほどの理想的な展開とは遠ざかっている。やむ得ないね。そう言って、先ほどのお客様は店側の都合で置き去りにされてしまうわけである。それでいいのでだろうか。
そこでシナブルが考えたのが、自らMAの機能を使えばいいじゃないかということ。つまり「出し分け」だ。MAの機能を使えば、その出しわけが可能でお客様ごと、案内を変えることができる。なるほど。
本来、彼らの使い方なら、お客様の行動履歴から分析して、しかるべき行動をとったお客様には、ポップアップ表示などをさせる。それが王道だ。なぜなら、MAのツールで「販売促進をしている」為に多くは導入しているのだから。購入するきっかけを作れるから購買率が上がって、彼らの利点を活かせる。
・発想の転換
しかし、ここで小林社長が言っているのは、本来攻めの姿勢のその視点を守りの視点で用いるということである。なるほど。バナーで商品購入を促すアクションとしてポップアップなどを出していたものを、「注意喚起のためのバナー」として表示するわけだ。
そこで迷うお客さまを守り、ミスを減少させていく。これは現場を守るし、個々のお客様に的確な購入フローを提示して、顧客満足度につなげられる。どれだけニッチな購入ニーズであっても彼らの仕組みは、まさにそれを共通化して、自動化する。そういう視点って大事ですよねと小林さん。
しかも、ここからがシナブルらしい。そういう注意喚起すら見逃さず、顧客理解に努める材料にすればいいと。それもまた、今まで曖昧な存在だったそのお客様を特定できる素材となる。なるほど。彼らは日頃、その行動履歴などをメールのアクションなどで活かしてる。つまり、迷って行動したことも、彼らにとっては精度を高める要素に直結するから、結果的に、売り上げが上がるのだというわけである。
注意喚起でサイトの痒い所に手が届く設計を実装しつつ満足度につなげる。そこにとどまらず、その後のリピートの材料にしていく。どこにお客様を知るヒントがあるかわからないという話なのだ。
改めて、ネット通販の最大の強みは「特定」である。あらゆる行動や情報に基づき、特定することによって価値を見出すこと。実は災いに絡む内容も、プラスになる。大事なのはその特定をどうやって導き出し、自分たちの価値に繋げていくかなのだ。
今日はこの辺で。